ドライバーを構えるとき、ボールの後ろにヘッドをセットしますが、そのヘッドをソールする場合と浮かす場合があります。
正しいスイングをするためには、ヘッドをソールするか浮かすか、どちらを選んだほうが良いのかを考察していきます。
ドライバーを構えるときにヘッドを浮かすのはNG?
ドライバーを構えるときにヘッドを浮かすゴルファーがいます。
ドライバーのスイングはアッパーブローで、ヘッドの軌道上であるボールの後ろ側にソールをするのが一般的です。
ソールする箇所はスイングの最下点です。
練習場のアイアンマットで、力強い素振りを繰り返します。
ドライバーのソールが練習場のマットに擦るようにすると、やがてスイングの最下点が定まるはずです。
そこを基点にしてヘッドが上昇したところでインパクトできるように、ティーアップしたボールを左側にセットするときれいなアッパーブローのスイングになります。
こんな面倒なスイングをするのは、ドライバーのロフト角が14度に満たないからです。
一般的な男性用ドライバーのロフト角は11度以下ですが、インパクト時の打ち出し角は14~16度が適正と言われています。
ボールの置いていないスイングの最下点を通過して、ヘッドが上昇したところでインパクトをすれば、上を向き出したフェースが14~16度で打ち出してくれます。
そのためには、ヘッドを浮かせて構えるよりも、ソールして構えたほうが再現性は高まると考えられます。
構えてからドライバーヘッドを浮かすことにメリットはない?
アッパーブローのスイング軌道を理解していると、ドライバーを浮かせるメリットは考えにくいはずです。
ゴルフは再現性のスポーツですから、アドレスでセットしたフェース面をインパクトで再現することが求められています。
ところがドライバーショットはアッパーブローですから、インパクトの少し手前のヘッドを見て、そこから先をイメージしてセットするわけです。
スイング軌道を見ると浮かすメリットはないのですが、アドレスの構えとしてはメリットがあるようです。
ドライバーでのティーショットは、他のどのクラブよりも緊張度が高まり、余分な力が入ってミスショットを誘発しやすいものです。
それを防ぐために多くのゴルファーがヘッドを前後左右に揺らしたり、円を描いたりとワッグルを行います。
余分な力はグリップを握る手に伝わり、その握力が手首の動きを制限してしまいます。
そこでワッグルをすることで、アドレスの姿勢をとりながら手首のマッサージをしてリラックスするわけです。
効果のほどは「バツグン!」で、緊張をほぐす動作の1つとなっています。
緊張をほぐすためにはドライバーを構えたときにヘッドを浮かすべき
ドライバーを構えたことで緊張が増して余分な力が入ってしまうのであれば、それを取り除くためにヘッドを浮かすアドレスをすることがあります。
このあとヘッドを置いてテークバックを開始するゴルファーもいますが、多くはヘッドの揺れをテークバックのきっかけとして使っているようです。
つまりワッグルをしている人の多くは、ヘッドを浮かすアドレスをしていることになります。
ドライバーのヘッドを浮かして揺らしたことで、緊張がほぐれてプラスに働くことはあってもマイナスに作用したと聞くことはないようです。
なぜならアドレスに入ったとき、一旦スイングの最下点にヘッドをソールして、そこから浮かしていたので、スイングの最下点から大きく外れているわけではなかったのです。
実際には練習によって身につけたスイング軌道は、テークバックの直前でもヘッドをどこでセットしたとしても、狂いなく最下点を通過することができるわけです。
練習で身につけたものを発揮することも、再現性になるのがゴルフなのかもしれません。
ドライバーのヘッドを浮かす構えをしても空振りしない理由
ドライバーのボールの位置は、左足内側のかかとの延長線上が良いとされています。
スタンス幅に個人差はありますが、内々でおよそ50センチ幅のスタンスとします。
そのスタンス幅の半分が中心点ですから、左サイドは中心から25センチある計算になります。
仮にスイングの最下点をスタンスの中心でセットしたとき、シャフトの軸の中心からリーディングエッジの先端までの距離であるフェースプログレッションがおよそ2センチ、ヘッドをセットしたときに誤差3センチを含めて合計5センチを差し引くと、ボールまでの距離はまだ20センチもあります。
この状態でドライバーをスイングしても、最下点からボールまでの間隔が長すぎて、空振りする可能性が高くなります。
それなのに実際はなぜ空振りしないのかというと、テークバックで肩を回したときに腰も一緒に右回転するからです。
それに伴い回転軸である背骨は右足側に移動しています。
そしてダウンスイングで右足の回転軸は一気に左足へと移動するのです。
ドライバーのヘッドを浮かす構えをしても、回転軸が右側から左側に移動している間に、空振りせずジャストミートできるわけです。
ヘッドを浮かす構えが正しいのかもしれない!
ドライバーは体重移動をすることで飛距離アップに繋がります。
スタンス内で体重移動をしますので、ドライバーを構えるときはワイドスタンスにすることが多いようです。
結果的にこのスタンスの幅がそのままインパクトゾーンとなります。
本来は回転軸を中心に円のスイングをしている中で回転軸をスライドさせると、スイングは楕円形になります。
その横長のスイング軌道は、すなわちドライバーのヘッドの動きになるわけです。
そうするとインパクトゾーンが長いほど、ヘッドの直進をイメージすることができます。
ただしスイング自体は背骨を中心にした円のスイングですから、自転する地球が太陽の周りを回るように、円の回転をしながら移動しているだけです。
ゴルフスイングにおいてこの並進運動と回転運動に気がつくと、歳差(さいさ)運動が気になるはずです。
地球の自転軸が傾いているように、ドライバーを構えたときに前傾姿勢をとって体を捻っているわけですから、コマの歳差運動、つまり地面に対して平行に回転しようとする力が働くことになります。
そうであればヘッド浮かす構えが正しいということになるはずです。
ドライバーヘッドを浮かす構えの「裏の裏」を考える
少し面倒なスイング理論の説明になってしまいましたが、そもそもドライバーはアッパーブローでインパクトをしていないということです。
ドライバーのスイングの基本となるアッパーブローは、適正な打ち出し角とバックスピン量を抑えるためのものです。
ところが体重移動をするスイングでは、左足内側に左の壁を作り、それを越えないようにスイングをします。
その位置はスイングの最下点でもあり、しかもティーアップしたボールの位置でもあるわけです。
地面スレスレをスイングの最下点で設定すると、体重移動によって最下点が左側に移動するため、インパクトではクラウン(ヘッドの頂頭部)に当たる可能性が高くなります。
そう考えると、ヘッドを浮かす構えをしたほうがジャストミートする確率は高くなるということになります。
それでもヘッドを浮かすアドレスをするゴルファーは極わずかで、多くはボールの後ろにソールして構えていて、それもまた問題はないのです。
これはダウンスイングで、グリップを振り下ろすときに、体は逆方向に伸び上がろうとすることでヘッドが浮いた状態になるからです。
だとすると「裏の裏」で、ドライバーのヘッドはソールして構えたほうが正しいインパクトができるということになるのかもしれません。
奥が深いドライバーのヘッドを浮かす構えの是非
ドライバーのヘッドを浮かす構え方ではアッパーブローのスイングができないという考え方と、体重移動をするのだからそもそもアッパーブローでインパクトはしていないという考え方があります。
どちらが正しいのか、正解は自分の球筋で判断するしかなさそうです。