ドライバーを短く持つことを格好悪いと思ったりしていませんか。
実のところゴルフクラブは、目いっぱい長く持つより少しグリップエンドを余らせたほうが良いことが多いのです。
それはクラブの長さやバランスが関係してくるからです。
今回は短く持つことによるメリットやドライバーのバランスについて話をします。
ドライバーを短く持つのは当たり前?
ドライバーは短く持つのがおすすめです。
『唐突に何を言い出すのか?』と思った人は多いかもしれません。
そう思うのは、ドライバーはシャフトの長さを活かしてヘッドスピードを上げたほうが飛距離が出るに決まっていると思っているからでしょう。
間違いではありませんが、それはしっかりと振り抜きながらもミート率が維持できる場合に限る話です。
しかし、現実はなかなかできるものではありません。
トップの男子プロでさえ、ドライバーを短く持つことをしています。
慣れていなければ『短く持つと振りにくい』と感じることもあるでしょう。
グリップエンドが邪魔になって気になるからです。
しかし、それは元々長く握り過ぎてしまい、左手の正しい位置でクラブの重みを感じられていなかっただけです。
グリップエンドを左手の小指ギリギリで握ってしまうと、人差し指が支点になって重さを感じてしまうはずです。
正しくは小指の付け根か少し下の手のひらで重さを感じます。
この感じ方ができるバランスでグリップをしていれば短く握っても違和感はありません。
ドライバーを短く持つメリットとデメリット
ドライバーを短く持つのが当たり前と話をしましたが、それはなぜだと思いますか。
一般的に売られている最近のドライバーは、45.25インチから45.75インチが多くなります。
それは長さを利用してシャフトのしなりを使いやすくしたり、ヘッドスピードを上げやすくしたりと目的は様々です。
しかしプロゴルファーは45インチ、人によっては44.75インチと短いシャフトにしています。
●短く持つことによるメリット
・カウンターバランスの効果により、振り抜きやすくなる
・ミート率が上がる、もしくは安定することで飛距離が伸びる
●短く持つことのデメリット
・本来のフレックスよりもシャフトが硬く感じる
・ヘッドスピードが落ちるため、ミート率が良くても飛距離が落ちる
メリットとデメリットは常にトレードオフの関係にあるため、どちらを選択するかは自由です。
ただし、ゴルフは再現性のスポーツである以上、安定したドライバーの飛距離を得るにはどうするべきかを考えると良いでしょう。
シャフトの長さにかかわらず、短く持つ癖をつける
ドライバーに限らず、アイアンやウェッジも少し短く持つ癖をつけることをおすすめします。
アマチュアの場合、先に説明した通り左手のグリップ位置が正しくなく、適正にクラブの重さを感じられていないケースがあります。
また、アマチュアの心理として長く持てば持つほどヘッドスピードが出ると考え、グリップエンドギリギリを持とうとします。
しかしお伝えした通り、長く持ち過ぎていると適したポジションで重さが感じられないだけでなく、シャフトの長さを有効活用できない可能性も出てきます。
先ほど説明した通り、グリップエンドギリギリを持った場合、左手の人差し指に重さを感じるようになります。
これは、支点がその位置に来ている証拠です。
逆に少し短めに握り、左手の小指付け根で重さを感じられている場合、そこが支点になります。
支点からクラブヘッドまでの長さがヘッドスピードを上げるために有効になりますが、どちらのほうが有効の長さがあるでしょうか。
ての幅を見れば、しっかりと小指の付け根でクラブを支え、バランスをとった握り方をするほうが有効なのが分かります。
始めのうちは、どうしても長く握ろうとする癖が出るので、指1~2本分は短く持つようにしましょう。
短く持つとカウンターバランスの効果が得られる
ドライバーを短く持つ有名なプロゴルファーは今平周吾選手です。
彼は基本的に短く持つようにしています。
それはカウンターバランスの効果を上手く利用しているためです。
それでは、そのカウンターバランスとは一体どのようなものなのでしょうか。
カウンターバランスとは、グリップを短く持つことによってヘッドの重さを余らせたグリップ側で打ち消す働きを言います。
通常の位置でグリップした場合と、短く握った場合でクラブの重さの感覚が変わるのはイメージできますか。
例えば野球のバットを長く持つのと中間を持つのとで重さの感じ方が変わるようなものです。
これと同じ原理です。
クラブの総重量は変わりませんが、短く持つことによって重心近くを握ることによって、自らバランスを軽くし、振り抜きやすいようにしているのです。
話をした通り、一般的に売られているドライバーのシャフトは、プロゴルファーが使うものに比べて比較的長いです。
短く持つことによって振り抜きやすくなりますし、シャフトが短い分ミート率も上がります。
力の無いゴルファーや女性ゴルファーは一度試してみることをおすすめします。
ドライバーの通常バランスは重い
ドライバーのバランスを気にしたことがありますか。
クラブのバランスはアルファベットと数字の組み合わせで表します。
男性向けのドライバーによくある50g台の純正シャフトバランスは、D0~D2といったところでしょうか。
ヘッドスピードが40m/s前半くらいのゴルファーであればちょうど良いかもしれません。
しかしヘッドスピードが速いゴルファーは重量を上げたり、フレックスを硬くしたりします。
同じ長さのまま60gや70gのカスタムシャフトを入れたりすると、バランスはD2~D4といったところになるかもしれません。
このバランスで一般的なアマチュアが振ろうとした場合、どんなにヘッドスピードが出る場合でも重く感じるはずです。
短く持つことで軽く感じると記述しましたが、それでもラウンドの最後には疲れて振れないでしょう。
つまり重量やフレックスを突き詰めていくと、通常のバランスでは重いと感じることが出てくるのです。
ドライバーのバランスは軽く、重量は重くするのがおすすめ
最近、軽いバランスでスイングが緩まない重量のドライバーを選ぶプロが多くなっています。
例えば、松山英樹選手は80gと重いシャフトを入れていますが、バランスはD3程度になっています。
プロスペックとも言えるシャフトフレックスでは、どうしてもバランスが重くなりがちですが、長さを控えめにしてD3のバランスです。
また重量級ドライバーを軽いバランスにしている代表格が、池田勇太選手です。
重いクラブで打ったほうが、強く力の乗ったボールが出るため飛距離も伸びやすくなります。
70gのシャフトを入れているため、クラブ重量は320gを超えており、かなり重めです。
しかし、バランスC5~C9で調整を繰り返していると言われます。
重いクラブを自分が振り切れるバランスにした結果がDバランスではなく、Cバランスに辿り着いたのでしょう。
結果的に池田選手は20ヤード前後飛距離を伸ばすことに成功したようです。
Cバランスと言えば、女性向けのセッティングですが、それは過去の固定概念であり、現代は異なります。
同様にクラブはバランスを統一させることが大切とクラブセッティングだと言われていましたが、それも崩れつつあります。
数値上は多少バランスにズレがあっても、それぞれグリップを握る位置を考えれば、振り心地は揃えられるのです。
ドライバーのバランスを上手く使う
バランスを理解すれば、ミート率の向上や飛距離アップも可能です。
何より、シャフトの選ぶ幅も広がるのです。
バランスを正しく理解して、自分に合ったドライバースペックを見つけてください。
それが他人から見て不自然に見えても、振りやすくなる明確な理由があれば問題はないはずです。