パターに鉛を貼る箇所とその効果。そして剥がすタイミング

パターの調子が悪いと感じたときは、ヘッドを効かせてみると脱出できると言われています。

ヘッドに鉛を貼るだけで効果はありますが、一方でもっと貼ったらどうなるのだろうとエスカレートしてしまうものです。

今回はパターに鉛を貼るときのポイントと効果について話を進めます。

パターに鉛をつけると自分好みに感じられる効果がある

ゴルフショップで並んでいるパターを手にとって構えてみて、ビビっときた経験はありませんか?

パターを握っただけで「これは入る」と感じたとしたら、それが安心感と言われるものかもしれません。

しかしながらそのパターで実際にパッティングをすると、思ったほどの効果は得られないことがあります。

安心感の源は、握ったときや軽くヘッドを揺らしたときに、ヘッドに重さを感じたからではないでしょうか。

「ヘッドが効いている」とストロークが安定するので、テークバックでヘッドを引いたときに揺れを感じません。

いわゆるスーッと引けるのです。

ただヘッドに重さを感じることは、必ずしも良いとばかりは言えません。

最近のゴルフ場のグリーンは高速化されてきているので、軽いタッチのほうが合うことが多くなってきているからです。

重いヘッドでストロークすると、「打ちすぎ」になってしまい、かえって距離感を作るのが難しくなってきます。

無理に市販品で探さなくても、自分のパターに鉛を貼ることで、自分好みの重みを感じられる実用的なパターを作っていくことができます。

パターヘッドに鉛をつけるとどんな効果がある?

パターのヘッドに鉛を貼ればヘッドを重く感じますから、軽くヘッドを揺らすだけで効いていることが実感できます。

ただヘッドの効くパターが必ずしも良いとは限りませんので調整が必要です。

鉛を貼る前に大事なことがあります。

ゴルフルールでは、フェース面に鉛を貼ってはいけない決まりがあります。

それから貼った鉛はプレー中に剥がしてはいけない決まりもあります。

さらにプレー中に貼ってもいけない決まりもあります。

つまりスタートしたら緊急のとき以外は、鉛を触らないようにすることです。

緊急時とは、不可抗力で鉛が剥がれそう、もしくは剥がれてしまった場合です。

ルール違反にはなりませんが、剥がれるのは鉛板の厚みが原因であることがほとんどですから、角を潰してひっかかりを無くしておくようにしましょう。

一般的に鉛を貼る箇所は裏面と下部の2つに分かれ、さらにトゥ(先端)、センター(中央)、ヒール(根元)の3つに分かれているのですが、それぞれに効果は違ってきます。

パターヘッドのソールに鉛を貼った効果とは?

パターヘッドの下部であるソールから確認しましょう。

テークバックやストロークが安定せず、ヘッドを引くと揺れるような場合には、ヘッドのソール部分に鉛を貼ると改善の効果があります。

パターヘッドの形状にもよりますが、例えばピン型のパターの場合には、ソールの中央部分が膨らんでいて、両サイドは若干湾曲しています。

ストロークでソールを擦って鉛が一部剥がれると、ルール上ではむしり取ってはいけないことになっています。

そのため元に戻すしかないわけですが、両面テープが剥がれていれば実質復元するのは無理ですし、仮にスペアがあっても遅延プレーはルール違反なので修理している暇はありません。

こういったことから「剥がれない箇所に貼る」ことが、もっとも確実な方法です。

トゥ側とヒール側に鉛を貼れば、前後のバランスも崩れることなく、ヘッドだけが重くなるので、ストロークは安定するはずです。

なお貼った鉛の角はティーやグリーンフォークを押し付けると、つぶれて出っ張りがなくすことができますが、仕上がりを考えるとハンマーなど硬くて平らなもので押し潰すようにすると、パターケースの中に入っていても綺麗に見えるはずです。

パターのバックフェースの中央に鉛を貼った効果とは?

パターヘッドに鉛を貼るバックフェースの中央部を確認しましょう。

バックフェースの中央に鉛を貼る効果は、ボールの転がりの安定感向上にあります。

パターのフェースは垂直に見えますが、アイアン同様にロフト角があって、わずかですがフェースに斜度があります。

このフェースをボールに向けてスライドすると、フェースの斜度の影響で少しだけバックスピンがかかります。

打ち出すボールは軽く浮いてから転がり出しますが、そのときボールにスピンがかかった分だけストロークした力にロスが生まれます。

つまり転がりが悪くカップの手前で止まるのは、打ち出しでパワーロスが発生しているからだと考えられるのです。

そこでパターヘッドの裏側に鉛をつけたことで、奥行きのあるヘッドと同じように重心深度が深くなるため直進性が高まり転がりを良くします。

またソールにつけたときと同じストロークの安定にも効果があるので、パターに鉛をつける人の多くはこの箇所に貼っています。

バックフェースの両サイドに鉛を貼った効果とは?

次にバックフェースの両サイドに鉛を貼った場合を確認しましょう。

バックフェースの両サイドに鉛を貼る効果は、ボールの転がりが良くなることです。

パターヘッドの重量が左右に分配されるためヘッド慣性モーメント大きくなってストロークしたボールに順回転がかかりやすくなり、カップの手前でストップすることなくカップインまで転がり続けることが期待できます。

バックフェースの中央に鉛を貼ったときの効果をより鮮明にできるとも考えられますが、まずは中央に貼ってそれでも効果が薄いときに両サイドにも鉛を貼って補完するイメージが良いかもしれません。

ここで1つの疑問が湧くと思いますが、これら全部に鉛を貼ったら効果はあるかということです。

グリーンの速さを考えると重ければ良いということはなく、むしろマイナスになることが考えられるので、できるだけポイントを絞って鉛を貼るのほうが良いでしょう。

パターに貼った鉛の効果が分からなくなったときの対処法

パターヘッドに鉛を貼って効果を確かめていくと、つい多目に貼ってしまうものです。

しかしながらたくさん貼るとグリップとヘッドのバランスが崩れて、順目の下りラインでは軽く打とうとして打ち切れないことがあるでしょう。

パターヘッドの鉛はドライバーやアイアンにつけるものと違って、感覚的な要素が大きいため、つけすぎには注意が必要です。

一応ヘッドが効きすぎていると感じたら、カウンターバランスを取るという手もあります。

グリップのすぐ先に鉛テープを巻くと手元が重くなり、ヘッドとグリップのバランスが保てます。

ただし、パッティングは微妙な感覚があるので、ヘッドに鉛を貼って、次にシャフトに鉛を貼ってと繰り返すことは、パター自体への不信感しか残らなくなるかもしれません。

このようなときは一旦違うパターに取り替えて、しばらくバランスを気にしなくて良い別のパターを使うようにしましょう。

感覚が消えたころに鉛をすべて剥がして新たな気持ちで握ると、今度はほんの少しだけ鉛をつけても効果が出てくるはずです。

パターに鉛を貼る効果と剥がす勇気

パターを自分好みにカスタマイズするのに鉛を使うのはおすすめです。

ストロークの安定やボールの転がり、また直進性が増す可能性があるからです。

なによりも入りそうな気がする感覚が湧き上がるので、安心感が生まれてくるはずです。

その代わり違和感があれば固執せずにすぐに剥がすようにしましょう。