続々と高性能のパターが発売されてきていて、パッティングがシンプルになってきたと言われています。
そんな中、従来のものと重さを比較すると、傾向としてかなり重くなってきているようです。
パターの重さが増したことが高性能と関係するのか考えます。
従来のパターの重さと比較すると重くなった理由は?
近年のパターは大型化してきたことで、必然的に重さを増してきています。
ゴルフクラブは全般的に軽量化されてきている中、パターだけが重さを増しているのですから、そこには特別な意味があるのかもしれません。
単純に軽いパターと重いパターを比較するのではなく、なぜ重さが重要視されているのかについて考えていきます。
まずパターの重さが増した要因としては、ヘッドの大型化があります。
同じような素材で作られていますから、サイズが大きくなれば必然的に重くなります。
ヘッドが大型化したのは、重さを重視したからではありません。
トゥ側からヒール側までの幅が長いほどスクエアに合わせやすいことから、フェースの幅は広がりました。
また引きやすさを重視したことで、真っ直ぐに引くためのガイドの役割をする構造にしたために、バックフェース側も長くなり重量も増えたわけです。
つまりヘッドのサイズが大型化した目的は、正確なストロークのためであって、重量を増やす目的ではなかったということです。
シャフトとヘッドを比較するとパターの重さの配分が分かる
パターの重さには、ヘッドのほかにシャフトの重さが加わっています。
ヘッドとシャフトを比較してみると、ネオマレットタイプのヘッドが約350グラムだとして、シャフトは100グラム程度です。
全重量が仮に500グラムだとすると、ヘッドの重さが7割、シャフトの重さが2割ですから、比較すると圧倒的にヘッドが重たいことが分かります。
ただしシャフトの場合には、長さや構造によって重さは変わるので、一概に比較することはできませんが、全体構成比からするとシャフトの3倍以上の重さがヘッドにあることが分かります。
もっともシャフトがしなるほどのスイングをするわけではありませんし、シャフトの重さでストロークの軌道を安定させることはほとんどなく、パターの場合にはシャフトを重くしても意味はなさそうです。
ただシャフト単体であればヘッドの1/3以下ですが、グリップが装着されているため、これを含めると少し重量配分は変わってきます。
グリップは材質やサイズによって重さが極端に違いますが、およそ50グラムから100グラムと考えて良いでしょう。
パターのヘッドとシャフトとグリップの重さを比較
パターのヘッドとシャフトのバランスを比較するとき、シャフトに装着されたグリップの重さを考えると分かりやすいかもしれません。
500グラムの重いパターの内訳は、仮にヘッドが350グラムでシャフトが100グラムだとすると、グリップは50グラムという計算になります。
そうすると全重量の3割がシャフトとグリップになるのですが、グリップの重さもヘッドと同様で、大型化されたことで重さが増しただけで、全重量を重くしようとした結果、サイズを大きくしたわけではありません。
つまりパターの重さが増したのは、ヘッドとグリップの大型化による必然であって、重さによってパッティングをコントロールしようと考えたわけではないと考えられます。
もちろんヘッドが重くなったことでストロークの軌道が安定したとか、少しのストローク幅でも転がりが良くなったといったプラス面はあります。
ただ、そのプラス面を狙って大型化したのではなく、テークバックの引きやすさやグリップの握りやすさを求めた結果、全重量が増えることになっただけです。
ネオマレットパターが比較的重さがあるのは単なる副産物
パターの重さはタイプによって大幅に違います。
人気となっているネオマレットタイプのパターは比較的重たく、伝統的なPINGタイプのパターは軽めに作られています。
PINGタイプのパターは振り子のストロークを主体とするため、重くても使いにくいことはありません。
使用の段階で、ソールやバックフェースなどに鉛板をたくさんつけている人もいるので、重さに対する需要はあるのかもしれません。
ただ振り子の軌道が完成されていれば、振り幅が転がりの距離になるわけですから、極端な重量変更は伝統的なパターの形を崩してしまうことになります。
メーカー名がそのままパターの形とされているくらいですから、そう簡単にフルモデルチェンジはできないはずです。
一方でネオマレットタイプのパターは、全般的に重くなっていますが、これはヘッドを効かせたストロークのためではなく、扱いやすさを追及した結果重くなっただけです。
もしも、その重さによって良い効果が現れたとしたら、それは単なる副産物と考えても良いかもしれません。
パターの重さと転がり具合を比較することが大切
パターの操作性を重さで比較してみると、ヘッドの重いパターはストロークの幅を小さくしても転がりが良くなります。
ストロークの幅が小さいということは、それだけフェースの向きが狂わないということに繋がります。
パッティングラインに対してフェースを垂直にセットして、それを再現することでラインに乗せるストロークは完成するわけです。
あとは距離感をつかむだけですから、パッティングを習得するという観点からすれば、扱いやすいパターになるはずです。
一方で軽いパターを見るとストロークの幅は大きくなりますが、下りで転がりの良いグリーンでは、微細なタッチでもしっかりと打つことができます。
しっかりボールを打つことによって、カップの手前で止まるようなことはなくなり、「あとひと転がり」が期待できるからです。
特にグリーンが高速化されている中、微細なタッチを打ち分けられるパターは重要です。
こういったことから、普段のラウンドで使うコースの状況とパターの重さが合っているかを考えてみると分かりやすいかもしれません。
パターヘッドとグリップ側の重さを比較してバランスを取る
大型のパターヘッドが作られ、太いグリップが装着されたことで、パター全体の重量は重くなってきています。
ただヘッドとシャフトのバランスが崩れると、ヘッドが効きすぎて操作がしづらくなるので、グリップ側を重くしなければなりません。
パターの場合は他のクラブと比較はできませんが、それでもヘッドの重さを緩和するために、カウンター的なグリップの重さが必要です。
もしもグリップの重量だけで足りないようなら、グリップテープの下に鉛を貼ったり、シャフトエンドの中に鉛棒を入れてバランスを調節することになります。
ただでさえ重くなっているのに鉛を装着することで全体重量はさらに重くなりますが、バランスが取れれば構えたときに重さを感じなくなります。
グリップを握ってパターヘッドを少しだけ浮かしたときに、わずか3グラム程度の重さの違いを感じることなどできません。
しかしバランスの違いは一瞬で気がつくはずです。
大げさに言えば、パターを逆さまに持つようなバランスの変化です。
パターの扱いやすさとは、重量としての重さではなく、その重さがどこにかかっているのかが重要になるということです。
高性能パターを伝統的なパターの重さと比較しても意味はない
ネオマレットタイプの重さは増えてきていて、伝統的なPINGタイプと比較すると、随分と重くなってきています。
そうなったのは、重くしようとしたからではありません。
ネオマレットタイプのパターは高性能なことは周知の通りですが、その性能は重量によるものではなく、仮に重さがパッティングに好影響を与えたとしてもそれは副産物でしかないのです。