アイアンを選ぶときにはミスのない簡単なものや高性能なものが気になりますが、上級者やプロが好む軟鉄鍛造タイプは初心者にとっても良いアイアンと言われているそうです。
今回は、扱いが難しいと言われる軟鉄鍛造アイアンを初心者にすすめる理由を紹介します。
初心者でも経験を積めば軟鉄製のアイアンを使いたくなる
ゴルファーとして経験を積んでくると、上手くなったら軟鉄鍛造のアイアンを使いたいと思えるようになるかもしれません。
初心者のうちは、フェースに当てることができれば真っ直ぐに打ち出すことができ、しかも普通にスイングをしてもボールが上がって高弾道の球筋になるアイアンショットが可能なクラブを選ぶものです。
そうしたスイングに関係なくミスをカバーしてくれるプラス面のある初心者用のアイアンは、便利な反面で意図するショットができないというマイナス面もあります。
本来であればフェースが開いたミスショットだとスライスするはずですが、初心者用のアイアンはそのミスをカバーしほぼ真っ直ぐに打ち出されます。
意識的にフェードボールを打っても、真っ直ぐに飛んでいくとしたら、使い勝手が悪くなるということなのです。
自分の意思を敏感に反応させることができるのが今回話題とする軟鉄鍛造のアイアンと言われています。
その最たるものがウェッジで、別途購入しているウェッジの多くは軟鉄鍛造となっています。
軟鉄のアイアンは初心者にとって高嶺の花?
初心者にとって軟鉄鍛造のアイアンは高嶺の花なのでしょうか?
身の丈に合っていない道具を使うと、使いこなすまでに時間がかかり、習得する前の練習段階でドロップアウトすることが多いようです。
始めてすぐに結果を欲しがる現代人にとって、練習場に半年通って腕を磨き、それからコースデビューという昔のパターンは精神的に合っていないと考えられます。
ある程度フェースにボールが当たるようになったら、まずはコースデビューして自分の問題点を確認し、さらに練習を重ねていくほうが上達度は早いかもしれません。
もちろん将来的にシングルを目指すのであれば、半年間みっちり練習をしてからコースデビューしたほうが良いに決まっています。
ただゴルファー全体の数パーセントしかいないシングルですから、目標と掲げていても継続できなければ意味はありません。
だとすると、最初は簡単なアイアンを使い、本当に上級者となってから軟鉄鍛造を使うのが一般的な道筋だとも言えます。
軟鉄製のアイアンを使ったほうが初心者は上手くなる?
初心者にとってハードルの高いと言われる軟鉄鍛造のアイアンですが、逆に最初から軟鉄鍛造のアイアンを使ったほうが上達度が早くなるという考え方もあるようです。
そもそも軟鉄鍛造とは、軟らかい鉄を素材にして熱して圧をかける製法のことで、日本刀の鍛冶をイメージすると良いかもしれません。
軟らかい鉄を使っていることから、「軟らかい打感」になると言われていて、トッププロの多くはこのタイプを使用しています。
トッププロが使う理由としてはその軟らかい打感もありますが、鍛造のアイアンはブレードタイプのシンプルな作りになっているため、正しいインパクトができればスイートスポットの反発によって、飛距離やスピン量は理想のものを手に入れることができます。
さらにフェードやドローに打ち分けることもできますし、フェースを開いてフワッと上げることもできます。
プレイヤーの意のままに、コントロールができるモデルと言われているわけです。
そうなるとミスショットをした場合もすぐ結果が分かるため、これから練習を重ねていく初心者にとっては、コーチの役割を担ってくれるクラブということになるらしいのです。
初心者だからこそ軟鉄鍛造のアイアンをすすめる理由
初心者が軟鉄鍛造のアイアンを使うと、正しいインパクトができたかどうか、打ち出したボールを見て判断することができるのはメリットではないでしょうか。
初心者用のアイアンを使うとミスショットをカバーしてしまい、自分のスイングの欠点を見過ごしてしまってスイング技術が向上しないと考えているプロもいます。
元々昔は軟鉄鍛造のアイアンしかなかったので、初心者から上級者まで皆このタイプを使用していました。
そこからゴルフ人口が増えてきたことから、大量生産による低価格設定を目指し、鋳造モデルができるようになります。
溶かした金属を型に流し込むことで作る鋳造モデルは、生産力がアップしただけではなく、それまでに作れなかった複雑な形状のアイアンを誕生させることになります。
また熱した金属に圧を加えて鍛える鍛造とは違い、様々な金属を取り入れることにも成功し、錆びにくいステンレス製のアイアンも容易に作れるようになります。
すでにアイアンの性能という点で見ると、鋳造タイプは鍛造タイプを超えていますが、軟鉄でなければ調整できないライ角の問題があります。
初心者こそ大事!軟鉄のアイアンはライ角調整ができる
既製のアイアンは日本人の平均身長を基準としてシャフトの角度を決めています。
ヘッドから立ち上がるシャフトの傾きは、平均身長170センチを基準にしていると言われていますから、それ以外の身長であればライ角を調整しなければなりません。
身長が高ければシャフトの傾きをアップライトにし、身長が低ければフラットにして構えることになります。
シャフトを挿してるヒール側の部分、ホーゼルを曲げることでライ角を変えます。
ただしステンレスのような硬い金属だと力を入れても曲げることができないため、自分のスイングフォームを変えなくてはいけません。
軟鉄だからこそライ角調整ができるわけです。
しかもシンプルなブレードタイプのアイアンに近いほど、ライ角を曲げたときのヘッドの歪みに対して影響を受け難いと言われています。
上級者になればクラブに合わせたスイングフォームでも軌道を安定させることはできますが、初心者だからこそ自分のスイングに合わせたクラブを使うことが重要だと考えられます。
初心者だからこそアイアンは軟鉄タイプを使いたい!
初心者がアイアンを選ぶ場合は、軟鉄鍛造を選択肢の1つとして持っておくと良いでしょう。
アイアンに求められるものは、ターゲットまでの正確な距離と方向です。
そのためにはミスショットの可能性が少ないクラブ選びは不可欠なわけですが、一方でこれからの伸びしろを考えると、正確なインパクトが身につくアイアン選びも捨てがたいものがあります。
練習場でアイアンの練習をしていると、徐々にダフリ気味のスイング軌道になるものです。
それに気づかずしっかりミートできるようになったと思ってコースに出ると、上手く当たらずにショートする場面が頻繁に続くことがあります。
ボールを横から払う気持ちが強くなると、ボールの手前からソールが人工芝の上を滑ってインパクトを迎えているからです。
そんなミスショットを見逃さず、コースでのプレーに役立つ練習ができるようにするためには、当たり損ねをダイレクトに感じられる軟鉄鍛造のアイアンがやはり良いかもしれません。
あとは練習頻度にもよりますので、練習はほどほどに即コースでラウンドを楽しみたいのであれば、初心者用の大型キャビティバックのアイアンを選ぶべきでしょう。
軟鉄鍛造のアイアンは初心者にとってハードルは低い
上級者に好まれる軟鉄のアイアンは、初心者にとってハードルが高いのかと言えば決してそんなことはなく、自分の意思を伝えやすいアイアンだからこそ、ミスショットが分かり小まめな修正が可能になるという考え方もあります。
初心者がアイアンを選ぶときには、これからのゴルフライフをイメージしてください。
一生懸命練習に励むのであれば軟鉄鍛造を、即コースデビューして楽しみたいのであれば鋳造タイプの大型キャビティを選ぶと良いのではないでしょうか。