知らないと損?アイアンの番手ずらしとその効果を活用する

『番手ずらし』という言葉を聞いたことがありますか。

アイアンで行われるこの番手ずらしですが、その効果を知ると色々と応用できます。

この機会に、ひとつの方法としてノウハウを蓄積してください。

アイアンの番手ずらしとは

色々情報収集をしているゴルファーなら知っているかもしれませんが、番手ずらしとはどんなことでしょうか。

一般的にはアイアンの調整方法のひとつで、他の番手のシャフトを入れることを言います。

アイアンのシャフトは、番手ごとに長さが違いますが、同じ重さになるように作られています。

それでは、なぜそこまで計算されたシャフトを、わざわざ番手をずらして入れる必要があるのでしょうか。

番手ずらしの本来の目的として微妙なフレックスの調整を可能にする効果があるからです。

フレックスが自分に合わないが、番手ずらしをすれば合った硬さに設定できることがあります。

シャフトは同じフレックスでも番手が変われば実際の軟らかさが変わります。

長いと柔らかく、短いと硬くなります。

例えば、XとSの間、SとRの間のフレックスを作りたければ、番手をずらすことで可能になります。

具体的な方法はふたつです。

長い番手のシャフトを短い番手へ入れると軟らかく、かつ余分にシャフトカットをするため重量が軽くなります。

逆に短い番手のシャフトを長い番手に入れると硬く重くなります。

なぜそうなるかというと、アイアンヘッドは番手差およそ7グラムで作られているからです。

先端に重いヘッドをつけるほどしなりやすくなるのはイメージしやすいでしょう。

このように番手ずらしを行うことで、フレックスや重量調整ができる効果があるのです。

種類は限定されますが、シャフトを2番手ずらして微妙なフレックスにこだわるゴルファーもいるくらいです。

アイアンの一般的な番手ずらしの方法

アイアンの番手ずらしの方法はふたつあるとお伝えしました。

しかし一般的には長い番手を短い番手へずらす、つまり軟らかく、かつ軽くする番手ずらしを行います。

理由はものすごく簡単です。

番手をずらしてシャフトを入れると、それぞれの番手に合わせてシャフトの長さを調整する必要があります。

アイアンのシャフトは通常番手ごとに0.5インチ差になります。

先ほど種類が限定すると言いましたが、短い番手用を長い番手に入れると長さが足りない、また最も短いピッチングウェッジに当てるシャフトがないため別で用意しなくてはいけません。

一方、長い番手から短い番手へずらすようにすれば、シャフトをカットしての調整は必要ですが、番手通りの長さにでき、シャフトが足りなくなることがありません。

番手ずらしで微妙なフレックスを実現するためには、硬いシャフトから軟らかくするのが効率も良く、効果的というわけです。

一般的な番手ずらしの効果はこのような感じです。

しかし、番手ずらしを別の視点から見れば、もっとメリットが出るかもしれません。

次は、番手ずらしを別の視点から考えてみます。

番手ずらしの効果をさらに得るためには

アイアンの番手ずらしは、シャフトのフレックスを微調整することが本来の目的と説明しました。

しかし、他の視点で考えてみるとさらなる効果を期待できるかもしれません。

可変式スリーブが着いているドライバーが良い例です。

ロフト角、ライ角、フェースアングルを簡単に調整し、自分に合わせることを本来の目的としています。

しかし他の視点で考えると、対応のスリーブが装着されたシャフトであれば、自分で簡単に交換できるという他のメリットが出ます。

アイアンの番手ずらしも同様に他の効果を得られないのでしょうか。

番手ずらしに似た効果があるのが、話題の飛び系アイアンです。

飛び系アイアンの特徴はロフトが立っているため、通常の同じ番手と比べると飛距離が出やすくなっています。

27度の飛び系の7番アイアンで考えてみましょう。

通常プロゴルファーが使う7番アイアンは33度や34度です。

つまり2番手近く違うため、通常で言えば5番アイアンのロフトが飛び系の7番アイアンになります。

それでもシャフト長は通常の7番アイアンと同じ、もしくは少し長く6番アイアンと同じです。

番手ずらしと同じ仕組みで別の効果を得られています。

番手ずらしでシャフトの長さ調整の効果を得るためには

番手ずらしを他の視点から見ると、シャフトの長さの調整、短いシャフトで上位番手のロフトが使える効果が出ます。

この視点で効果を得ようとした場合、いくつかの条件をクリアしなくてはいけません。

●ロフト角とシャフトの長さの関係

ロフト角とシャフトの長さはあらかじめ計算されて作られています。

通常の番手ずらしの場合は、シャフトの長さを揃えます。

そのため、ロフト角とシャフトの長さは飛び系アイアンを参考にすれば1番手以内にしましょう。

●ヘッドスピードが速いか遅いか

ロフト角が起きるにつれ、シャフトの長さが長くなるのはなぜでしょうか。

アイアンは重心深度が浅く、ボールが上がりにくい作りです。

ロフト角が起きるとボールを上げるために、ヘッドスピードが必要になります。

ヘッドスピードが十分に足りているゴルファーであれば良いですが、遅いゴルファーが今回のような番手ずらしを応用しても、それほど効果は得られません。

そのためシンプルにワンフレックス落とすほうが良いでしょう。

条件がクリアできれば、短いシャフトで上位番手のロフト角を使えるため、アイアンのミート率向上の効果も得られるはずです。

アイアン以外でも番手ずらしの効果は得られる

通常、番手ずらしはアイアンで行いますが、先に紹介した他の視点で効果を得られるという観点では、他のクラブでも効果を得られます。

●アイアン型ユーティリティ

プロゴルファーで多く行っているのがアイアン型ユーティリティや2番アイアン、3番アイアンをユーティリティ代わりに使うときです。

やはりプロゴルファーとは言え、シャフトが長くボールが上がりにくいアイアン型(ロングアイアン含む)では、ミスショットの確率が高くなります。

そこでミスを許容するという意味でも、1番手下のシャフトに変え、長さを短くすることで、ミート率を上げ、ミスショットを減らす対策をしています。

●フェアウェイウッド

ミスの許容を高めるという点では、フェアウェイウッドでも工夫すればプラスの効果が得られます。

フェアウェイウッドで最も難しいのが3Wと言われています。

クラブヘッドが小さく、ロフト角も立っているため、なかなか正確に扱うことができません。

そこで、ドライバーシャフトを活用する方法です。

アイアンの番手ずらしとやり方は少し違いますが、ドライバー用のシャフトをそのまま装着する方法です。

最近はフェアウェイウッド専用設計シャフトも増えてきましたが、ドライバー用を挿すのは昔から行われていました。

その際は先端を0.5インチから1インチカットすることで硬いほうでフレックス調整をするのですが、それをあえてせず先端を軟らかいまま使うことでヘッドが走りやすくボールを上がりやすくするのです。

アマチュアが効果を得られる番手ずらし

アイアンの番手ずらしの目的、その他の効果、応用の方法を話してきましたが、実際にアマチュアには役に立つのでしょうか。

まず本来の番手ずらしの効果は、よほどのこだわりがない限りあまり効果は期待できないかもしれません。

微妙な違いを感じることが難しいからです。

ただし女性の場合は女性用と男性用の間のフレックスが欲しいという人であれば、それなりに効果は得やすいかもしれません。

次にシャフトの長さをうまく利用したミート率の向上についてです。

どうにかしてロングアイアンを使いたい場合は、効果が得られるかもしれません。

ただ最近では飛び系アイアンも多く出ているため、コンボでのセッティングを活用すると良いでしょう。

実際にプロゴルファーもやっていますが、ロングアイアンの距離を飛び系アイアンで埋める方法です。

番手ずらしをするよりも、そちらのほうが手軽にできます。

その他のクラブで活用する場合は、最後に紹介したフェアウェイウッドでの活用が有効です。

3Wをクラブセッティングに組み込んでいる人はいますが、使う機会が全くない、ミスが怖くて使っていないという場合は、シャフト調整方法は有効です。

さらに5Wに3W調整を加える方法も良いと考えられます。

番手ずらしに限らず色々な可能性を考える

ゴルフを続けていくのであれば、様々な工夫をして自分に合ったクラブを模索することをおすすめします。

プレーをするだけでなく、そうした創意工夫もゴルフの楽しみ方のひとつです。

基本的な知識を理解すれば、クラブヘッドとシャフトの組み合わせは無限大です。

ぜひ色々試し、自分に合ったクラブを見つけてみてください。