ウェッジのヘッドの効きを良くするために鉛を使うことがあります。
貼り方によっては効果が見られる場合もありますが、期待に添えていない場合も多々あります。
今回は鉛の効果を得る貼り方や貼る箇所に違いがあるのかについてお話しします。
ドライバーとウェッジの鉛の貼り方の意味は違う?
ウェッジにも鉛を貼ることはありますが、ドライバーの貼り方とは目的が違ってくるようです。
ドライバーに鉛を貼るのは、ミスショットとなるスライスやフックを防ぐためか、理想とする高弾道や低弾道の球筋に近づけるためです。
さらにインパクトでの球のつかまりや球離れの良さなど、感覚的な部分での効果を求める場合もあります。
一方ウェッジはアプローチの距離を考えると、スライスやフックを防がなければならないほど飛距離を出すことはありません。
仮にフルショットしてフックやスライスの症状があったとしても、ヘッドやシャフトに鉛を貼って修正するのは難しいかもしれません。
一般的なドライバーの総重量は約300グラム、一方ウェッジの総重量は約450グラムですから、鉛を貼らなくても十分に重たく作られています。
しかもシャフトの長さはゴルフクラブの中でもっとも短いわけですから、ヘッドが重くなっていると考えることができます。
ウェッジの鉛の貼り方はつかまりの良さを求めるもの?
元々ウェッジは球のつかまりが良くなるようにヘッドは重く作られていますが、そのヘッドに鉛を貼ると、さらに重たくなるので効果は大きくなるはずです。
ただしショートアプローチが主体となるウェッジは、つかまりの良さを求めるよりも球離れの良さを求めるほうが多いのではないでしょうか。
つかまりの良さとは、インパクトしてからワンテンポ遅れてボールを飛び出すようなイメージです。
振り幅が小さくスイングスピードの遅いショートアプローチで、つかまりが良いと引っ掛けの心配があります。
それよりもインパクトの瞬間にポンと弾き出せるような、球離れの良いウェッジのほうが狙い通りにボールを運ぶことができそうです。
このような状況を「操作性が良い」とも表現しますが、ヘッドに鉛を貼っても操作性は良くなりません。
操作性を良くする鉛の貼り方は、ヘッドが軽くなったと感じるようにしなければなりません。
そこでグリップ側を重くすることで、バランスの上でヘッド側を軽くします。
グリップラバーの先端のシャフトに鉛テープを巻いて貼るのが一般的な方法です。
ヘッドを重くしたときのウェッジシャフトへの鉛の貼り方
シャフトに鉛テープを貼る場合は、ルール上で規制される部分があるので、しっかりとルールに則した貼り方をしなくてはいけません。
まず貼る箇所はグリップラバーの先端のシャフトで、貼るときはグリップラバーに密着させます。
鉛テープは必ず一周させて、テープの両端のつなぎ目が重なったり、間隔が開いたりしないようピッタリ合わせるようにします。
鉛テープを貼る前に、手脂や汚れを綺麗に落としておくことが大事です。
貼る箇所に汚れがあると、使用中に剥がれやすくなる可能性が高まるからです。
ラウンドをスタートする前であれば、鉛テープを貼ったり剥がしたりすることはできますが、1度スタートすると故意に剥がすことはできません。
このルールがあるからこそ、シャフトのしなりがないグリップの先端に鉛テープを貼るわけです。
ウェッジのヘッドに軽さが感じられなければ、貼った鉛テープの上に、もう1枚鉛テープを重ねますが、このときも先に貼った鉛テープからはみ出さないよう、細心の注意を払って丁寧に貼るようにしましょう。
ウェッジへの鉛の貼り方や扱い方が面倒に感じるときの対策
ウェッジのグリップ側に鉛テープを巻くと、ヘッドが軽く感じて操作性が良くなります。
しかしルール上の貼り方や扱い方が面倒と感じる場合には、1度グリップを外してシャフトの内側に鉛を入れる方法のほうが効果も得やすく見た目は変化がありません。
ワインの栓に使っているコルクを2個用意して、先にコルクを1個シャフトの中に入れて、次に砂状の鉛を入れて、もう1つのコルクで栓をします。
砂状の鉛が動かないように、あとから入れるコルクをしっかりと押し込むようすれば、それがカウンターとなってヘッドを軽くすることができます。
ただしシャフトの内部に鉛を入れてバランスを変える場合には、少量ずつ入れて感覚を確かめることはできません。
最初のコルクを入れる時点で、鉛の量を決めておかないと、2個目の栓をするコルクがはみ出す恐れがあるからです。
またグリップラバーは両面テープで接着するため、そう何回も着けたり外したりはできません。
バランスを計測する方法もありますが、元々ヘッドが重いか軽いかは個人の感覚によるところが大きいため、実際に合うかは何度か作るしかないかもしれません。
ウェッジへの鉛調整はバランス重視
ウェッジに鉛を使う場合は、貼り方にもよりますがバランスを重視することになります。
ウェッジは元々ヘッド側が重くなるようにバランスが配置されていますが、それ以上に重くしたい人もいるわけです。
このバランスの配分については好みの問題ですから、良い悪いはありません。
ウェッジのヘッドに鉛を貼るときは、シャフトと同様に貼る部分の汚れを綺麗に拭き取ることが必要です。
ちなみにフェース面に貼ることはルールで規制されていますが、基本的にはそれ以外の箇所であればどこに鉛を貼っても大丈夫です。
注意しなければならないのは、ソール部分に貼ってウェッジを芝面に打ち込むと、一発で剥がれる恐れがあることです。
プレー中は故意に剥がすことができないルールになっているので、扱いが面倒になるところには貼らないほうが良いかもしれません。
仮に剥がれそうになった場合には、補修をすることはできますが、プレーの遅延は認められていませんので、実質修理することはできないと思ったほうが良いでしょう。
ウェッジの鉛貼りに過度な期待はしないこと
ウェッジの鉛についてはバランス重視を挙げていますが、鉛の効力としてはこのほかにもバックスピンを増やす貼り方があります。
ウェッジのヘッドのバックフェース上部に鉛を貼ると、バックスピンが増えると言われています。
それまでの回転数よりも増えると言われていますが、その効果については個人差があるので、必ずしもキュルキュルと戻るようなバックスピンにはならないかもしれません。
逆にバックフェース下部に鉛を貼ると、転がりが良くなると言われています。
ここで考えられるのは、バックスピンをかけたいロフト角の大きなウェッジはバックフェースの上部に鉛を貼り、ピッチエンドランのような転がすアプローチを主体にするロフト角の小さなウェッジは、バックフェースの下部に鉛を貼ると良いということです。
単にバランスを変えるだけではなく、打ち出すボールをイメージして、貼り方を変えることで両得になる可能性があるということです。
ただし鉛によって極端にバックスピン量が増えたり、倍以上転がることはないので、過度な期待はしないほうが良いでしょう。
鉛は貼り方によってスイングリズムを安定させる
ウェッジは鉛の貼り方によって球筋を変えるというよりも、クラブ全体のバランスを変える効果のほうが大きくなります。
ヘッドが重たく作られているウェッジは、数グラムで球筋に影響を与えるほどの効果を求めることは無駄で、スイングリズムを安定させるための役割を重視したほうが良いかもしれません。