パターの中に「レディース用」という区分があります。
色や柄は男女が共有できるユニセックス化が進んでいますが、平均身長を基準とするシャフトの長さとして、現在もレディース用の商品は店頭に並んでいます。
今回はパターを含めたゴルフクラブに「レディース用」は必要なのかを考えていきます。
レディース用のパターとはシャフトの長さとグリップが違うだけ?
いくつかのドライバーはユニセックスになってきているようですが、パターはまだメンズとレディースが分かれています。
ヘッドは同じタイプのものを使っていても、その違いとなるのはシャフトの長さとグリップの太さが主なところです。
手のサイズが小さなレディースは、ゴルフクラブを握るときに、グリップが太いと力が入らないため細めのものを装着しています。
しかしながらパターの場合には、その太さが有利に働くため、レディースであっても男性と同じサイズが当然のように装着されています。
その代わりカラーのバリエーションが違い、あきらかにレディース用と思われるものがあります。
ただカラーは競技に直接影響を与えるようなことはなく、好みの問題ですからその差別化が意味をしていない部分もあるかもしれません。
メンズに比べると競技人口が少ないレディースで、さらに「女子用」の商品化で販売数が確保できるのかは微妙なところです。
逆にユニセックスで共用したほうが単品の販売数では安定するかもしれないとも考えられます。
レディース用のパターにはシャフトの長さの基準がある
レディース用のパターでメンズとの違いはシャフトの長さです。
一般男性の平均身長は170センチなので、メンズのゴルフクラブは170センチを基準としています。
身長によってアドレスでグリップを構える位置を想定し、それに合わせたライ角を設定してシャフトの長さは決まります。
同じようにレディース用のパターも身長によって長さは決まるわけですが、基準としている身長は160センチだと言われます。
これもまた平均身長の158センチを基準としているので、誤差の範囲で多くの人に合う長さとなっています。
160センチの身長に合うパターの長さとして32インチを割り出していることから、店頭のレディース用パターの大半はこのサイズになっています。
ただメンズとは違い、レディースの場合には年齢によって平均身長には違いがあります。
総合的には158センチですが、20歳は159.5センチで、40歳代は157.9センチと多少違いが出てきています。
数値の差は小さいように見えますが、実際では20歳に高身長の人がいることが考えられます。
そう考えると32インチのレディース用パターは短いはずです。
レディース用パターの長さの基準を平均身長にすると合わない
多くのレディース用のパターは平均身長を参考にシャフトの長さは32インチを基準としています。
そしてメンズ用のパターのシャフトの長さも平均身長を基準としています。
店頭に並ぶパターの約8割が身長170センチを基準とした34インチのパターです。
圧倒的なゴルフ人口は170センチを中心として製品は作られているからです。
ゴルファー全体から見るレディースゴルファーの構成比率は1割程度ですから、在庫として抱える販売店は、売れ筋の32インチを主たる商品として揃えるのは当たり前のことかもしれません。
つまりゴルフショップの店頭では、レディース用のパターは32インチから選ぶことになるわけです。
一方これからゴルフをはじめる若い人たちは、統計上の平均身長を上回る人たちが増えてきているわけですから、32インチのパターでは合わない可能性があります。
実は以前から160センチ以上のレディースは大勢いたわけですが、その人たちの多くはメンズ用のパターを使用していたので不満を訴える人はいなかったようです。
以前からレディース用パターの長さを使っていたわけではない
レディース用のパターが短いゴルファーは、「一般用」と言われるメンズ用パターを選べば簡単に長さを合わせることができます。
さらに機能的に考えても、身長とシャフトの長さが合ったことで正しいアドレスがとれるようになります。
自分にとって不自然な姿勢でアドレスすれば、ストロークに影響することは必然です。
またグリップの太さについては好みはありますが、太めのタイプを使うのが現在の流行となっています。
ルール上パターにだけ認められた例外規定のお陰で、四角形の大型パターのほうが「スクエアにストロークできる」と高評価となっています。
つまり以前からパターもドライバー同様に、ユニセックスの時代になっていたわけです。
ただレディース用と別枠の商品群があるため、そのことが隠れていたのかもしれません。
このユニセックス化によって、メンズのグリップにも変化が現れています。
白色やパステルカラーはレディース用の証だった時代から、今では男女を問わずお洒落なカラーや模様のグリップが使用されています。
レディース用パターの32インチの長さは意外に使いやすい
パターの長さはすでにユニセックスとなっていたと考えられます。
レディース用の区分はあっても、実質上はメンズのパターを使用する人たちが大勢いて、しかも色や柄はレディース用と見間違えるほどお洒落感漂うものもあります。
さらにゴルファー人口の9割を占めるメンズのパターの中には、170センチの平均身長を基準とした34インチ以外の長さのパターも品揃えされています。
それが全体の2割程度だとしても、構成比率を考えるとレディース用のパターよりも豊富な品揃えになることは想像がつくでしょう。
店頭の商品が男女を問わないユニセックスがメインとなってくると、女性用というカテゴリーは特殊な状態になってきています。
往年の名手と称されるレディース用品を愛する人たちからの支持によって高級路線化したものか、もしくはゴルフクラブのことをあまり知らない初心者を対象としたやさしいタイプの両極が揃うことになります。
基本のパッティングフォームを重視するゴルファーにとっては、レディース用の32インチのパターは使いやすいのかもしれません。
レディース用パターとして長さを区分する時代ではない!
レディース用のパターの長さが画一化しているのに対して、パターのフォームは基本から外れてきていることで、長さに対する混乱は起きていないのかもしれません。
肩幅のスタンスで前傾姿勢をとり、左目の真下にボールがセットされるフォームを基本としたとき、最近のフォームがここから逸脱しているわけではありません。
ただグリップの握り方や構え方が変わってきたことで、パターの長さも以前とは違うものになってきています。
伝統的なパターの構え方として、両肩と両肘とグリップで五角形の作るフォームがあります。
両肘を曲げるわけですから、両腕を伸ばすフォームよりもグリップの位置は当然高くなります。
仮にこの状態に合わせたパターの長さが32インチであれば、同じ角度で前傾姿勢をとり両腕を伸ばすフォームの場合には、32インチよりも短いパターが必要になります。
一方でレディースゴルファーの平均身長は伸びてきていますので、短いパターを探さなくても「ちょうど良い長さ」になる可能性もあるわけです。
このようにパッティングフォームによってパターの長さは決まるため、「レディース用」という性別での区分は実態にそぐわない時代になっていると考えられます。
パターをレディースと区分する理由は長さではないかも
ゴルフ界では今もなお男女の区分している傾向があります。
パターのレディース用もそのひとつで、レディース用として長さを区分しているように思えますが、実態とは違う区分となっています。
男女の違いを認めることも大事ですが、そろそろユニセックスな「パター」として品揃えしても良い時代になってきていると考えるべきではないでしょうか。