これまでの歴史から、ドライバーは軽くて長いほうが飛ぶと考えられてきました。
それが近年短尺ドライバーを使って300ヤード超えのプロが増えてきています。
今回は、これまでの歴史とルール、そして既存のドライバーをシャフトカットして短尺ドライバーを作るときに注意しなければならないポイント、そしてバランス調整を紹介していきます。
バランスの悪い長尺ドライバーから短尺ドライバーに変える
ドライバーの飛距離が伸びてきたことで、ゴルファーはもっと飛距離が欲しいと、新しいドライバーを購入してきましたが、ゴルフ界はルールによって飛距離が出ないようにと努力をしてきました。
格段に飛距離が伸びたのは、羽毛を丸めて革で包んでいたボールがゴム製になったときです。
ボールの進化に合わせて、シャフトはスチール製になり、ヘッドにはプレートをつけるようになります。
その中で飛びすぎるということで、スモールボールを禁止し、以降は飛ばないラージボールを使用することとしたわけです。
次に飛距離が格段に伸びたのはメタル製のヘッドが作られたときです。
正確には、この内側が空洞のメタルヘッドを契機に、ヘッドの軽量化と反発力の開発が続きます。
これもまた飛びすぎるということで、ルールによって高反発ヘッドの使用を禁じることとなったわけです。
3つ目に飛距離が伸びた時期は、カーボンシャフトを先頭にした、ドライバーの軽量化です。
この軽量化によって、それまではバランスが重くて振り切れなかった長さのシャフトを操れるようになります。
今のところはシャフトの長さに対する規制は行なわれていませんが、歴史を振り返ってみると、やがて短尺ドライバーの時代がやってくると考えられます。
短尺ドライバーの基準が曖昧でバランスコントロールできない
ドライバーのシャフトの長さについてのルール規制は、すでに噂として流れてはきています。
現行の48インチを46インチまで短くすることで、飛距離を抑制するのではないかと言われているわけですが、この規制はそれまでの2つの規制と比べると現実的ではありません。
ラージボールを制定したとき、ゴルファーは皆スモールボールを使っていましたし、高反発ヘッドも多くのゴルファーが愛用していたからこそ飛距離を抑制できたわけです。
それに対して48インチのシャフトを使っているゴルファーは、果たしてどれくらいの確率なのでしょう。
一時は長いシャフトが飛距離を生むと考えられていて、いわゆる長尺ドライバーを試したわけですが、長すぎてバランスをコントロールすることができずに、多くのゴルファーは46インチ以下に切り替わっていています。
すでに46インチが短尺ドライバーと思っている人はいないわけです。
つまり飛距離抑制のためのルール改正をするのであれば、46インチよりも短くしなければ意味はないということになります。
短尺ドライバーが加わると重量フローが歪みバランスが崩れる
ゴルフの楽しみは豪快なドライバーショットと、パッティングラインを読む一時と言われています。
すでに前者は2度も大きなルール規制によって楽しみを奪われ、さらに新たなルール改正によってパティングラインを熟考する時間さえ奪われてしまいました。
その上、シャフトの短尺化による規制がされると、ゴルフクラブの買い換えを考えなくてはいけなくなるため、今以上にゴルフ離れが進むことに繋がるかもしれません。
46インチのゴルフクラブは、ドライバーくらいしかないので、単純にドライバーを買い換えれば問題はないと考えるかもしれません。
ただゴルファーの中には、パターを除く13本のゴルフクラブの一定の数値によってバランスを取り統一しています。
この数値を重量フローと言いますが、各ゴルフクラブの重量と長さをグラフに落とし込み、右肩下がりの直線に対して数値が乱高下していないかをチェックします。
そのグラフの起点となるのがドライバーであり、今よりも短尺にすれば重量フローに歪みが生じるので、他のクラブも見直す必要が出るかもしれないわけです。
短尺ドライバーを作るのであればバランス調整が必要
ドライバーの短尺化は他のゴルフクラブとのバランスを考えなくてはいけませんが、同時にドライバー自体のバランスも考える必要があります。
仮に実効性のあるルール変更が行なわれたとすると、シャフトの長さは45インチが限度になるかもしれません。
現在のドライバーは45インチから46インチ程度が主流なので、もしかすると1インチ長くて買い換えなければならない人が出てくるかもしれません。
ゴルフクラブの中でも高額なのがドライバーですから、簡単に買い換えられる人ばかりではありません。
そのため長さが規制されれば、多くのゴルファーはシャフトカットを考えるのではないかと思われます。
1インチは約2.5センチですから、グリップエンドから親指の太さ1本分をカットするだけのことです。
もし仮に規制が設けられたとしても、シャフトカットで乗り切ることができるわけです。
そうして長さはシャフトカットでクリアできますが、それに伴ってバランス調整が必要不可欠になります。
短尺ドライバーに改造すれば自分でバランス調整もする
短尺ドライバーが必ずしも飛距離減になるとは限りません。
高反発ヘッドの規制によって、さまざまな部分で性能を見直したこともあり、多くのプロはすでに短尺ドライバーを使用しています。
それでも300ヤードを超える飛距離を出しているわけですから、規制が設けられても飛距離を制限することは難しいのかもしれません。
そのプロのセッティングを分析し、アマチュアにも適用できる短尺ドライバーの良さを引き出すことができれば、今以上に飛距離は伸びると考えられます。
これはすでに長尺ドライバーのときに、シャフトが長くなるほどヘッドコントロールが難しくなることを学習していることがポイントです。
シャフトが短くなるほどミート率が上がり、飛距離と方向性が良くなる可能性を秘めているからです。
プロはシャフトが長くてもフェースの芯でボールをとらえる技術を持っていますが、アマチュアは短いほど確実なミートがしやすくなり、芯でとらえてはじき出すボールは、今まで以上に飛ばすことができるようになります。
問題は既製の短尺ドライバーでなく、シャフトカットしたドライバーでは、バランス調整が必要になるということです。
短尺ドライバーの適正なバランスは2グラムの鉛で見つける
ドライバーのシャフトをカットして短尺ドライバーを作った場合、それまでよりもヘッドは軽く感じるはずです。
グリップを短く握ると、スイングが簡単に感じることがあります。
これは握り方によってバランスを変えたために、ヘッド側が軽くなり動かしやすくなったからです。
スムーズなスイングができるようになり、しかもシャフトの長さが短くなったことでミート率が上がり、結果的に飛距離は伸ばすことができます。
仮に短尺ドライバーを作って、ヘッド側が軽くなってスイングがスムーズになれば、それはそれで何も問題はないはずです。
対してヘッド側が軽すぎると、スイング軌道が不安定になり、また軽さから手打ちになる恐れがあるので、上手くフェースを合わせられなくなる可能性もあります。
この場合にはバランス調整が必要です。
ヘッドのソールかバックフェースに鉛板を2グラム貼って、しばらく様子をみて違和感があればさらに2グラムを増量するように、気長な調整を行ないましょう。
そもそもバランスは重さの配分ですから、個々の好みによって違いがあるので、納得がいくまで貼ったり剥がしたりしながら調整していく必要があります。
少し手間はかかりますが、新たなルール改正があったとしても、これで対応すれば心配はないはずです。
短尺ドライバーの効果とバランス調整の必要性を理解すること
必要に応じて短尺ドライバーを作る場合には、単に不要な分だけシャフトカットをして終了するのではなく、ヘッド側が軽くなるので同時にバランス調整を行なわなければならない点は忘れてはなりません。
基本的にバランスは感覚的な部分が強いため、納得がいくまで少量の鉛を貼って調整していくことをおすすめします。