一般的なドライバーの長さが114.3cmになったのは飛ぶから?

ドライバーの長さは通常inch(インチ)で表記されますが、日常生活ではcm(センチ)が多く、分かっているはずのインチでもいまひとつピンとこないことがあります。

普段は使わないinchをcmに置き換えることで、見えてくるものがあります。

今回はそんな内容で話を進めていきます。

ドライバーはcmで換算すると長さを感じないかも?

飛距離を狙うドライバーは、ヘッドスピードの速さが重要です。

ヘッドスピードの速さとスイートスポットでのミート、この2つの条件が高まるほど打ち出すときの初速が速くなります。

一般的なゴルファーのヘッドスピードは、38m/s(秒速38メートル)~43m/s(秒速43メートル)程度と言われています。

このヘッドスピードの速さがそのままボールへの衝撃力になりますので、38m/sよりは43m/sのほうが飛ぶことは分かると思います。

それからミートはスイートスポットにより近い箇所と打つことで、インパクトしたボールを弾ませて飛ばすことができます。

フェースにはもっとも弾む箇所があり、そこをスイートスポットと呼びます。

スポットはポイント(点)で表現していますが、実際にはポイント周辺のスイートエリア(範囲)でボールをとらえられればOKです。

それからスイングの外周を回るヘッドの動きは速くなるので、ドライバーの長さがヘッドスピードの速さに影響を与えます。

長いドライバーは扱いが難しいような気がしますが、inchで表している長さをcmで換算すると、思ったほど長くないと感じる場合があります。

一般的なドライバーの長さが114.3cm程度になった理由

ドライバーの長さは時代によって変わってきています。

ヘッドが小さくて重かった時代は40inch以下が一般的でした。

ところが硬い金属を薄くのばして作る軽くて大きなヘッドができてから、ドライバーの長さは45inch前後となっていきます。

45inchは、センチメートルで換算すると114.3cmです。

40inchが101.6cmですから、その差は12.7cmです。

これは比較するまでもなく、明らかにヘッドスピードの差になって現れます。

同じスイングスピードでも外周を移動するヘッドは加速していることになります。

ルール上のクラブの長さは、18inch(45.7cm)以上48inch(121.9cm)以下でなければなりません。

上限一杯の長さのドライバーを使えばヘッドスピードは速くなり、強いインパクトを与えることができるわけですが、一方でミートする確率が下がりやすいため、ヘッドスピードの速さを飛距離に活かすことができないケースが大半なのです。

ドライバーの長さを親指1本分の2.54cm短く握る感覚

ミート率の低下は飛距離に悪影響があることから、長いドライバーを敬遠する動きが強まっています。

これはアマチュアに限ったことではなく、プロゴルファーの世界でも短尺ドライバーが席巻しているので、ゴルフ界ではシャフトの長さよりもスプリング効果のほうが飛ぶと考えられているようです。

一般的にドライバーの長さが1inch違うと、飛距離は5ヤード違うと言われています。

45inchのドライバーを46inchに持ち替えただけで5ヤード違うわけです。

1inchは2.54cmですから、およそ親指の太さ1本分です。

グリップエンドから少し空けて握るゴルファーであれば、1インチ短くしている長さではないでしょうか。

また指の太さ1本分がミート率にどれほどの影響があるのか疑問に思うことでしょう。

個人差はありますが飛距離5ヤードを帳消しにして、さらに飛距離を落とすとは考えにくいような気がするものです。

しかしながらトップアスリートであるプロゴルファーでさえ、コンマ5(0.5inch)単位でドライバーの長さを調節しているのが事実です。

最近のドライバーの長さが0.6cm単位な理由

近年のドライバーの長さをみると0.5inch単位で刻まれていて、プロゴルファーが公表しているスペックでは0.25inch単位になってきています。

0.25inchは0.6cmですから、グリップエンドのわずかな隙間で消化できる長さです。

これはプロならではのこだわりとも思えますが、実はクラブの長さを測る基準が変わったことが影響を及ぼしています。

クラブの長さ測定には、「ヒールエンド法」と「60度測定法」の2種類があったのですが、元々はヒールエンド法で表示していました。

ところが2004年にルール改正が行われて、クラブの長さは60度測定法で長さを表示することに限定されたため、同じ長さのクラブで表示される数値が違ってきたわけです。

そのため0.25inchの単位で表示されているのは、従来のヒールエンド法のシャフトを装着したための結果ということになります。

ちなみにクラブを寝かせてソールと床面の内角が60度になるようにセットした状態で、60度の接点からグリップエンドまでの長さを測るのが60度測定法です。

ドライバーの長さにこだわってもグリップエンドは2.54cm余っている

現在では、長尺ドライバーはヘッドスピードを速くすることができても、ミート率が落ちるので飛距離アップにはつながらないというのが一般的な解釈となっています。

では短いほどミート率は上がるのかと言えば、そんなことはありません。

ミート率とは、インパクトのときのボールの初速をヘッドスピードの速さで割ったものを数値化したものです。

正しいインパクトによってそれが効果的であるかを客観的な数値に置き換えたものです。

最高値は1.56ですが、これは理論上の数値であって実際には1.3くらいが一般ゴルファーのミート率ですしトッププロになると1.5をマークする場合もあります。

この一般ゴルファーとプロゴルファーの違いをみても分かるように、上手な人ほどミート率は高くなっています。

これを逆に考えると、アマチュアでもドライバーの長さを使いこなすことができれば、プロ並みのミート率が可能になるわけです。

スイングスピードを上げるのには限界があります。

しかし45inchを1inch、つまり2.54cm長くして46インチに持ち換えれば飛距離アップは叶うわけで、その延長線上には48インチのドライバーの選択があるのかもしれません。

ドライバーの長さは0.6cmの違いで大きく変わる

市販されているドライバーの多くは、45~45.5inchになっています。

プロゴルファーがドライバーの長さを短めにセッティングしてきたことから、主流は「短尺」となってきました。

それでも、ゴルファーの多くはアスリートタイプの筋力を備えているわけではないので、46.25~46.5inchも使われています。

現在では46インチ以上のドライバーは長尺クラブに部類されます。

これもまた時代の流れによったものであり、いずれ見直しがあるのかもしれません。

この短いドライバーが流行した背景には、スイートエリアの開発とボールの進化が関係しているようです。

1.56以上のミート率があると高反発クラブに分類されてしまいますが、各社がギリギリまでミート率を上げてきた結果、ミート率の低かったゴルファーの飛距離が伸びることになります。

これはピンポイントでとらえていると考えられていたプロゴルファーにも影響を与え、結果的に正しいインパクトが飛距離アップの鍵と考えられるようになってきたことが要因にあります。

わずか2.5cm、さらには0.6cmの違いですら、飛距離の違いが出る時代となってきています。

ドライバーの長さをinchからcmに変えると見えてくるものがある

ドライバーは飛距離を求めるクラブですから、ヘッドスピードを速くさせるシャフトの長さは重要です。

ただミート率を考えると、長さだけでは飛距離を伸ばせないことが分かってきます。

inchをcmに置き換えることで、道具を再評価して自分に合ったものを使うようにしましょう。