肩に力が入っていると言われたことはありませんか?
ゴルフの場合、肩に力が入っているとスイングがきごちなくなり、軌道がブレてしまってうまくショットすることができません。
そこで上半身の脱力を覚えると飛距離も増し、正確性もアップします。
それではどのように脱力するか順番に解説していきます。
脱力はスポーツの基本!
あらゆるスポーツにおいて脱力は基本です。
ゴルフだけでなく、野球やサッカーなどの球技、ボクシングや相撲などの格闘技、短距離走やウエイトリフティングでさえ脱力は必要です。
ただ脱力といってもずっと力を抜くわけではありません。
正確にいうと力の入れどころを理解するということです。
例えば、短距離走で「位置について」からずっと力を入れている人はいません。
スタートのピストルが鳴った瞬間にMAXの力を解放して、トップスピードに乗るまでの間だけ力を入れます。
時間にすると1秒もありません。
そこからトップスピードに乗ってしまえば、あとはいかにリラックスして走れるかが重要になるのです。
またウエイトリフティングでは、ゆっくりと何秒も何分もかけてバーベルを持ち上げる人はいません。
リラックスした状態から一気に力を解放して一瞬でバーベルを持ち上げます。
なぜそうするかというと、「リラックス状態から一気に力を解放する」という方法が一番力を発揮できるからです。
ゴルフの場合も例外ではありません。
ずっと力が入っている状態でスイングすると、スイング軌道も安定せず、スイングスピードも上がりません。
特に上半身に力が入っている状態だとバランスを保つこともできなくなってしまいます。
脱力はゴルフにこそ必要?上半身に力が入ると上達できない
上半身に力を入れたままの状態でスイングするとどうなるのでしょうか。
力を入れたままの状態でスイングすると、スイング軌道も安定せず、スイングスピードも上がりません。
またスイング軌道が安定しなければ正確なショットは打てません。
そしてスイングスピードが上がらなければ飛距離を伸ばすことができません。
なぜそうなるかというと、力が入りすぎると筋肉が緊張した状態になり関節が固まって可動域を失ってしまうからです。
ゴルフスイングの時は、足の親指、足首、膝、股関節、腰、肩甲骨、肩、肘、手首などあらゆる関節を駆使してスイングします。
しかしながら関節が固まるとスムーズにスイングすることができなくなります。
その関節を動かすのが筋肉ですが、筋肉が緊張状態にあると脳のイメージ通り関節を動かすことができません。
自分ではイメージ通りスイングしているつもりでも、筋肉がイメージについて来れなくなるということです。
まずはいかに良いイメージを持つことができるかということが大切ですが、そのイメージを再現できなければ成果に繋がりません。
脱力してリラックス状態を作らなければイメージを再現することができないということなのです。
上半身の脱力イメージを作ろう
例えば、プロ野球でいうと西武ライオンズの中村剛也選手や、三冠王を3度獲得した落合博満さんの現役時代のスイングをイメージしてください。
知らない方はYouTubeなどでチェックしてみると良いでしょう。
本当に軽く振ってるように見えるのに、ホームランを量産するのです。
大切なことはボールに対して正確にコンタクトすることです。
3年くらい前だったと思いますが、所沢の西武ドームでの試合の日。
大谷翔平選手の登板日だったのですが、その日中村選手はあの大谷選手からなんと2本のホームランを放ちました。
150km後半のストレートに対して正確にコンタクトするためには脱力は必須です。
中村選手曰く、余計な力が入るとブレが生じてしまう。
スイングがブレると良い角度で打球も上がらず、タイミングも狂ってしまう。
そのためどれだけ上半身の力を抜いてゆっくり振れるかがテーマ。
インタビューでこのように語っていました。
ボールを遠くに飛ばすために、「強く叩く」とか「スイングスピードを上げる」ということには一切触れていません。
正確にスイングして正確にボールを捉えることに集中しています。
ゴルフの場合も同じように、「強くスイングしよう」「スイングスピードを上げよう」という意識では、スイングにブレが生じて正確にボールを捉えることができません。
脱力のイメージをしっかり持って、正確にボールを捉えることに集中しましょう。
正確に捉えることができ、ミート率さえ上がれば飛距離はアップするからです。
上半身の脱力ができているかチェックポイントを知ろう
上半身に力が入っているかどうかを確認するために、以下の4つのことを意識してみてください。
1.握力の低下、左手親指の付け根(外側)が痛い。
グリップを強く握りすぎている時に起こります。
ゴルフコースの場合、ハーフ休憩の時やラウンド終了後に、握力がなくなったり左手親指の付け根が擦れて痛い場合は、力が入りすぎている証拠です。
グリップは2~3割の力で軽く握っていれば十分です。
2.アドレスの時に首が短くなる。
肩に力が入ると首がすくむ傾向にあります。
アドレスに入った時に普通に立っている時よりも首が短く見えるときは、肩に力が入っている傾向にあります。
周りの人にチェックしてもらいましょう。
もし首が短くなっていると指摘されたら、1度打席を外して肩を上下に揺らして脱力しましょう。
3.スライスボールが増える。
上半身に力が入ると、左肩が開いて、アウトサイドイン(ドアスイング)になる傾向にあり、ボールにスライス回転がかかってしまいます。
右に流し打ちのイメージでインサイドアウトのスイングを心がけましょう。
4.インパクトのときに身体が後ろに傾いている。
飛距離を出そうとしすぎると、身体の軸が後ろに傾いてアッパースイングのようになる人がいます。
軸がブレると目線がズレてしまうので正確にインパクトすることができません。
また、インパクトの時に両ひざが伸び上がったり、右ひざが折れてしまうことも身体が傾いてしまう原因となります。
身体の中心に軸を置いて、コマのように回転してスイングするよう意識しましょう。
ゴルフ上達につながる脱力の考え方を整理しよう
いくら練習してもなかなか上達しない人がいますが、そういう人は考え方が間違えてる場合が多いです。
いくつか例を挙げます。
1.遠くへ飛ばしたいから力いっぱいスイングする。
繰り返しになりますが、力いっぱいスイングするとスイング軌道が安定しないので、ボールを正確に捉えることができません。
正確に捉えられないと、飛距離が出ないどころか真っすぐ飛びません。
上半身をしっかりと脱力させてミート率を上げることを意識しましょう。
ゴルフショップはもちろんのこと、打ちっぱなしによってはミート率を計測できるところもあります。
力いっぱい振った時のミート率と飛距離と、上半身の力を抜いた時のミート率と飛距離をそれぞれ比べてみてください。
2.スライスするから右へ曲がらないように左に引っ張るようなスイングをする。
これはゴルフ初心者の方に良く見られる傾向です。
スライスしないように引っ張ろうとすればするほど、アウトサイドインのスイング軌道になり、ボールはスライス回転になってしまいます。
逆に右へ流すイメージでインサイドアウトのスイングに修正すると若干のフック回転がかかり、多少右へ打ち出してもフェアウェーへ戻ってくることを覚えてください。
3.ボールを上げたいから下からすくい上げるようにスイングする。
特にバンカーから出そうとするときは、下からすくい上げようとすればするほどボールは出てくれません。
クラブにはロフト(フェースの角度)がありますので、バンカーから出そうとか、上にあげたいときはこのロフトを利用する必要があります。
ロフトを利用するためには下からすくい上げるのではなく、上から叩くイメージでショットするようにしましょう。
このように全て逆のことやってしまっている場合が多いです。
今までと逆の考えでショットするのは難しいと思いますので、打ちっぱなしでしっかりと検証しながら少しずつ考え方を整理していくことをおすすめします。
上半身の脱力スイングを実践しゴルフ上達を実現!
ここまで書いてきた通り、脱力に関しては技術というよりも、イメージや考え方などのメンタル面が大きく左右します。
ラウンドしたことがある人はご存知だと思いますが、ゴルフはメンタルのスポーツです。
固い言い方になってしまいますが、戦略的にメンタルをコントロールすることによって、無意識に力が入りすぎてしまうことを防ぐことができます。
例えば、
・ドラコンやロングホールになると力んでしまう。
・バンカーから出そうとすると力んでしまう。
・ユーティリティーなどフェースの面積が小さくなると力んでしまう。
・アプローチの距離が短いほど力んでしまう。
・50cm~1mくらいの距離のパターのときに力んでしまう。
など、まずは自分がどのような時に力んでしまうかを分析しましょう。
そして、その場面が来たら深く深呼吸をしてアドレスに入るようにしてみてください。
力んでしまう時の共通の原因は、「うまくやろう」「飛ばしてやろう」「失敗したらどうしよう」などメンタルが上下したときです。
連続OBの後、もうどうでもよくなって適当に打った時に、ナイスショットが出たという経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。
実はそのときのショットはまぐれではないということですね。
諦めて無意識に上半身の力が脱力して、理にかなったスイングだったからこそ出たナイスショットだということです。
練習では常にその時の感覚を思い出しながら身体に覚えさせましょう。
常に見られている意識
ゴルフはメンタルのスポーツが故に、プレーに性格が出てしまいがちです。
会社の上司や取引先の人と一緒にラウンドするときは、プレースタイルを見られていることが多いです。
ミスショットした次のショットや、プレッシャーがかかるショットのときこそ落ち着いてプレーすることが求められます。
そんな時こそアドレスの前に深く深呼吸して、上半身を脱力させてショットするようにしましょう。