ドライバーのスイングを基本から見直しスキルアップしよう!

ゴルフクラブには、設計者が意図した取扱に関する説明書がついていません。

最近当たり前になりつつありますドライバーロフト、ウェイト調整機能は除き、シャフト軸延長線にないクラブヘッドの重心やバンス角、各ロフト角の持つ意味、シャフトに存在する背骨(スパイン)などについての説明です。

ここではその取扱および機能説明と、それを元にしたスイングの基本について、わかりやすく掘り下げ解説します。

ドライバーの基本構造がスイングに与える影響

ドライバーだけではなくゴルフクラブ全部に言えることですが、ヘッドの重心はシャフト延長線上ではなく、先端およびバックフェース側にズレています。

したがって、平らな台の上に何も力を加えず放置すると、ヘッド先端は必ず下を向きます。

ゴルフクラブを振ると、ヘッドは必ず後ろ(バックフェース側)に倒れる構造になっており、普通に振ればフェースは開きスライスになります。

では、なぜ重心がズレているのでしょうか?

その答えは、シャフト軸より先端側にある重心は遠心力を活用するためであり、そしてバックフェース側にある理由は、重心深度を深めフェースアングルの変化を抑えるためと、スピン量の管理です。

つまり、ボールを思い通りに操るために必要な構造なのです。

これを学ぶことはゴルフスイングの基本を理解する上でとても重要な部分です。

これを知らずに形だけ真似てスイングしても、決して思い通りのボールは打てません。

次は遠心力を活用する方法を中心に解説します。

基本は遠心力?ドライバースイングに関係する

ヘッドスピードと飛距離の関係はご存知の通り、速ければ遠くに飛ばせるはずです。

スイング中のシャフト先端速度と、ヘッド重心の移動速度、上級者の場合わずかですがヘッド重心の移動速度が速くなります。

同じヘッドスピードでも、飛距離に差が出る原因はこの重心移動速度にあります。

女子プロゴルファーのヘッドスピード、速い選手だと45m/秒程度で260ヤード以上の飛距離が出ますが、一般アマチュア男性の場合そこまでの飛距離は出ないのでないでしょうか。

女子プロゴルファーが飛ばせる理由は、シャフト軸を中心としたドライバーヘッドの回転により発生した遠心力と、シャフト先端以上の重心移動速度を確保した、俗に言う捕まった強いボールを打つ基本的な技術を持っているからです。

では、その技術というものはどのようなものなのでしょうか。

一般アマチュアが取り入れることができるものなのでしょうか、

次はその技術について解説します。

ドライバーで捕まった強いボールを打つスイングの基本はグリップ方法にある

ヘッドをシャフト軸中心に回転させるためには、腕の回旋が必要です。

人の腕は小指側にある尺骨という骨を軸に回旋します。

つまりスイング中にヘッドを効率よく回転させるコツは、シャフトと尺骨軸を連動させることです。

これを実現するためには、それに適したグリップが必要です。

手のひらを上にし左右にねじると、中指と薬指の間付近を中心に腕が回旋するのを確認できるはずです。

この軸に沿うようクラブを握れば、尺骨軸回旋基本の準備完了です。

握る感覚は個人差があるので、ご自身でしっくりくる方法で問題ありませんが、シャフト軸と尺骨軸を揃えることは必須です。

ドライバーを左片手で握り、ヘッドを思い切り回しながら素振りをしてみると、左ひじが引け、脇が空く感じがすると思いますが、それで問題ありません。

素振りの際も、ヘッド先端でボールを打つイメージで思い切り回す練習をしてください。

これは腕の回旋に慣れるためにも必要です。

ドライバースイング時に前腕の回旋を効率よく行うために必要な基本動作

少し前までのレッスン書に『切り返し後、グリップは真下に落とし、体に引きつけながら腰の回転と連動させ、右足の蹴りでボールを飛ばす』に近い解説が見受けられました。

これは決して間違いではないのですが、現代のクラブには当てはまりません。

なぜなら重心深度、重心距離、ヘッド体積、シャフト性能、フェース構造、どれを取っても1年経てば旧型になり、3年経てば過去の技術になっているからです。

クラブの基本構造に変化がない限り、スイングの本質は変わりませんが、クラブの進化に合わせた微調整は必要であり、前述した教えは過去のもので現代では通用しません。

最新ドライバースイングは『左右肩甲骨の開閉と肩の上下入れ替え、肩の入れ替えに伴った胸骨の回転、腰の並進、上体左右の側屈、左手の掌屈、右手の背屈、両前腕の旋回』が基本です。

これは、USPGAプロの多くが取り入れているメソッドで、彗星の如く現れたキャメロン・チャンプも例外ではなく実践しています。

トッププロに例外なく共通するポイントは、インパクト付近で腰と胸骨は開いていても、肩のラインは閉じたまま、左右の肩は上下に入れ替わっている部分です。

結果として肩も水平に近い軌道で回転しているように見えますが、左右の側屈に伴った胸骨の旋回に肩甲骨と肩の上下運動が連動した結果です。

では、具体的な打ち方について解説します。

基本のドライバースイングを理解し誤解を解こう

ゴルフスイングの基本に戻り、誤解を解いてみます。

ゴルフスイングを構成する体の動きを分解すると、スイングの始動は小さな足踏みをきっかけに胸骨が先行、右肩甲骨を閉じながら左肩甲骨を解放、左手を掌屈しながら右爪先方向へ押し込みます。

さらに左肩甲骨と左手の押し込みに連動し、上体を左側に倒し側屈、右肩甲骨を引き上げ、右ひじをたたみます。

そこからクラブヘッドの重量を感じながら慣性に任せ切り返します。

ここがポイントで、決して手先でヘッドを管理しないこと、慣性の動きに任せてください。

この必然で起こる切り返しに合わせ、腰を並進させ左への荷重移動を感じたら、胸骨を先行させ、右肩甲骨を解放、同時に上体を右に側屈させ、腕を前方へ放り出します。

掌屈は維持したまま前腕の回旋、顎は真下を向いたまま、左肩甲骨を閉じ左肩を釣り上げ、右肩を下げます。

この際下半身は反力を利用するために伸びあがります。

打ち抜いた後は、クラブの慣性に任せフィニッシュまで振り抜いて完了です。

いかがですか。

手先でヘッドを制御することはありません。

すべての動きは体幹で管理されるもので、胸骨の動きに連動するのです。

胸骨の先行を容易にするコツは、左右肩甲骨の使い方で、間違っても左右に回さず上下の入れ替えです。

ドライバーに限らず、ゴルフにおける打ち方の基本です。

スイングの基本はドライバーもアイアンも同じ

なぜ胸骨の先行が必要なのかについては、解剖学と物理学に触れなければならず長くなります。

一番のポイントを簡単に要約すると、人体の構造上『再現性が高くなる』ということです。

この胸骨の先行を支える下半身は安定が不可欠で、両膝の間にバランスボールをイメージし、それを左右から締め付ける動きで上体を支えます。

そしてアドレス時に作った前傾角度を維持するコツは、左右の側屈です。

鏡の前に立ち、両手を左右に広げ、肘を直角に曲げてみてください。

アドレスの前傾を作り、肩甲骨の動きを意識し、開閉しながら上下に入れ替えます。

頭の位置は変えずに、顎の下に左右肩が入るよう連続して入れ替えてください。

数回連続で行った後、肩甲骨ではなく、側屈を意識して入れ替えてみてください。

すると肩は簡単に顎の下に入るはずです。

この側屈と胸骨の先行、肩甲骨の上下入れ替えはドライバーを始め、すべてのクラブに共通したスイングの基本です。

ぜひ習得してください。

胸骨は回っても肩は上下の入れ替え

ここまでの内容を頭に入れた後、動画サイトでキャメロン・チャンプのドライバーの打ち方を観てください。

今まで見えなかった基本部分が見えているはずです。

インパクト付近で、なぜ右肩があれほど下がるのか、左肩があんなに上がるのにどうして当たるのかなどです。

最後にもう一つ重要なポイントとして、彼は目標方向に腰を並進しながら、飛球線後方に向かって腕を放り出しており、腕の回旋以外は慣性に任せています。