プロが使うクラブは剛性が強く、実際に手にするとシャフトの重さが気になるものです。
その重さに負けないように筋トレするのであれば、筋肉の束を太くするボディービルダーのような鍛え方よりも、瞬発力のあるボクサーのような筋肉が必要になります。
それではゴルフにとって必要な筋トレの方法を紹介します。
シャフトの重さを感じるときの筋トレ、どこを鍛えるの?
剛性の高いシャフトを振ると、ずっしりと重さを感じるものです。
ドライバーの総重量は約300グラムですから、シャフトの硬さで重さは変わっていません。
トッププロの多くは、剛性の高いシャフトを使っていて、一般ゴルファーが握ると「水道管のような」と評することが多いようです。
ゴルフに筋肉は必要ないという声もありますが、剛性の高いシャフトをコントロールするには、ある程度の筋トレが必要なのかもしれません。
ゴルファーにとって筋肉の鎧は必要ありませんが、おなかポッコリの体型よりは、シックスパックの腹筋のほうが、シャープなスイングはできるはずです。
そこで筋トレが必要な筋肉について確認しましょう。
まずクラブと身体の唯一の接点であるグリップを握る筋肉です。
シャフトの重さを感じるとグリップを強く握ることになります。
ところが握る強さが大きいほど、手首は硬くなりミスショットの原因となってしまいます。
つまり筋トレの成果があれば、軽く握ったつもりでも重さを支えることができるでしょう。
シャフトの重さに負けない古典的な筋トレ法
握力の筋トレ法は、古典的なグーパー方式です。
両手を突き出して、手のひらを開き、次に握るという動作を繰り返すだけです。
肩の高さに両腕を突き出して、最初にグー、そして指先までパーで開きます。
これを連続して50回から始めて、少し慣れたら100回、それでもスピードが落ちなくなったら200回と徐々に回数を増やしていきます。
両腕の高さを維持すること、肘は曲げないこと、手は指が反るようにしっかり開くこと、これらを守り毎日200回の筋トレができれば、1か月で肘から先の筋肉は盛り上がっているはずです。
この筋トレによって重さを感じたシャフトが、それまでのシャフトと変わらない感覚になるので、不必要にグリップを強く握ることはなくなり、手首の硬さを消えてくるはずです。
これで握力がついたことで手首の硬さは消えますが、スイングによって身体が振られることがあります。
これには腹筋と背筋の筋トレが必要ですが、短時間で何回筋肉を動かせるかが重要になってきます。
シャフトの重さを感じさせない筋トレは筋肉作りではない!
シャフトの重さを克服するための筋トレでは、ボディービルダーのように筋肉の束を太くさせる必要はありません。
短時間でなるべく早い反復動作をすることで、瞬発力のあるボクサーのような筋肉をつけていくのが正解です。
もちろん闘うわけではないので、気合を入れて「ガチ」になる必要はありません。
就寝前や起床時に、ベッドの上でもできる運動です。
身体の右側を下にした状態で寝て、足を揃えて膝を軽く曲げ、右腕を前に伸ばして身体を安定させます。
頭は浮いた状態ですから、腹筋には常に負荷がかかっています。
左肘を曲げて手のひらは後頭部に置きます。
身体は横の状態のまま起こして、腰に左肘がつくように身体を曲げてみてください。
起こすときに息を吐き切り、身体を戻すときに息を吸い込みます。
これを高速で片側10セット、合計2セットから始めて、慣れてきたら20セットを20秒で行うようにしましょう。
単時間の運動なので朝の忙しい時間帯でも、意思さえあれば継続することはできるはずです。
シャフトの重さでスイングできないときの筋トレの仕方
重さを感じる剛性の高いシャフトで振り回すことができれば、飛距離アップが可能になるかもしれません。
そのためにはある程度の筋トレが必要になりますが、筋力をつけるために鍛えるというよりも、いままで動かしてなかった筋肉を起こしているようなイメージで取り組むと、負荷がかからずに継続できるのではないでしょうか。
スイングで大事なのは、ゴルフクラブをスムーズに振ることです。
クラブを振るための筋トレでは腕を鍛えようとしますが、腕を鍛えてもその筋肉を活かせる場面がありません。
筋トレによって上腕が太くなることはあっても、それは複合的な産物と思って、ここでも高速の動作を繰り返してください。
腕立て伏せができるようなら、連続で10回行います。
もし腕立て伏せが苦手なようなら、テーブルに手をついて身体を斜めにした腕立て伏せでも構いません。
それでも難しいようならドアを開けて真っ直ぐ立ち、両縁に手をつけて腕立て伏せと同じ動きをしてください。
背中側で肩甲骨がくっつくようにして、5秒程度で10回の腕立て伏せを行います。
簡単な筋トレを続けたらシャフトの重さは克服できる
腕立て伏せの「伏せ」の状態では、両肩甲骨が浮いて背骨の上でつくイメージです。
「立て」の状態では、肩甲骨が両端に移動します。
この肩甲骨周りの柔軟性を養う筋トレこそが、捻転を生み出す元となるのです。
テークバックで左肩甲骨を外側に移動させると左肩は回転します。
このとき右肩甲骨は背骨側に移動して、左右の肩が対角線上にあるようにします。
背骨を回転軸にした捻転とは、この肩甲骨の動きを指したものです。
しっかり捻転すれば、テークバックのリズムが速くなることはありません。
またダウンスイングでは肩甲骨を戻すことで、重さを感じるシャフトも円軌道で振り回すことができます。
ドアの間で行う筋トレの場合、伏せの姿勢は問題ありませんが、立ての姿勢で肩甲骨が外に開きにくいので、いずれはテーブルや床を使った筋トレに変えていくようにしてください。
床でも腕立て伏せであれば、最初のうちは両膝をつけば、まったく上がらないということはないはずです。
なにより負荷をかけすぎずに、継続することを優先することが大切です。
毎日筋トレを続けることができたらシャフトの重さは感じない
用具を使わずに身体を動かす筋トレは、場所を選ばずにどこでもできます。
空いている時間、また気分転換などに、軽く身体を動かすつもりで筋トレをするとより一層効果は高くなります。
ただシャフトの重さは筋トレだけでは解消できません。
やはりシャフトの重さを感じるクラブで素振りをすることが、もっとも早い解消法になります。
ヘッドをセットして、ボールを打つときと同じように素振りをすると、徐々に身体がその重さに馴染んできて、いつしか違和感は消えていくものです。
短期的に馴染むためには、通常の右打ちの素振りをしたら、そのまま左打ちの素振りで返して、これを繰り返します。
ボールをショットするための素振りではなく、シャフトの重さに慣れるためですから、高速で左右打ちを繰り返すようにしましょう。
もしもこの左右打ちスイングで身体がぶれるようなら、スクワットで足腰を鍛える筋トレをすると、下半身は安定するはずです。
瞬発力の強い身体を目指すためには、長時間の筋トレは向きません。
短時間で終了し、続けるのであればインターバルを入れるようにしましょう。
シャフトの重さが気になるときは短時間の筋トレで解消
シャフトの重さが気になるようなら、筋トレで身体を鍛えて、重さに負けない体力づくりが必要です。
ゴルフの場合は筋肉モリモリの身体は必要なく、柔軟性や瞬発力が重要になってきます。
そのためには、短時間で高速の運動を繰り返すようにしましょう。