アイアンにとってはミート率よりも平均飛距離のほうが重要?

アイアンショットでボールが飛ばないときは、ミート率を調べてみると原因が分かるとされています。

ショップなどでヘッドスピードと打ち出すボールの初速を計測すると、およその平均値が分かりますが、アイアンにとって本当にミート率という概念が必要なのかについて考えていきます。

アイアンのミート率の平均値が高ければ飛ぶ?

アイアンのヘッドが抵抗なくスッと抜けて、ボールを打ち出すことがあります。

スイートスポットでインパクトすると、スプリング効果でボールを弾いてくれるからです。

トランポリンの上でジャンプをしているように弾むことから、トランポリン効果ともいわれているスプリング効果ですが、スイートスポットに当てられた人のみがその恩恵を受けることができます。

それはヘッドの抜けが良くなるだけではなく、飛距離が伸びバックスピンの効いた止まる球も打つことができるようになります。

このときの状況を「ミートする」といいますが、ゴルフ用語には別な意味である「ミート率」もあります。

「ミートする」はフェースの芯でボールをとらえた状態ですが、「ミート率」はボールが飛び出していくときの状況を表す言葉です。

ミートするは感覚的なものですが、ミート率は計測して数値で表すものです。

算出された数値の平均値が高いほど、打ち出されたボールのスピードは速くなります。

平均値からしてもアイアンは構造上ミート率違反にはならない

ミート率は、ボールが飛び出すときの「初速」を、ヘッドスピードの速さで割ったものです。

初速はヘッドスピードの衝撃力とスイートスポットのスプリング効果が影響します。

一般的にはドライバーの「高反発」「低反発」で知られていると思いますが、これはフェース面の反発係数(スプリング効果)が0.830を超えると高反発ドライバーで、0.830以下であれば低反発ドライバーと区分されています。

ちなみに低反発ドライバーは高反発ドライバーの対義語として使われていますが、ルール上は公認された「適合ドライバー」が正しい表現です。

また計測するのは専用の機械ですが、これは平均値を出したものではなく、1度でも0.830以上だと不適合ドライバーになってしまいます。

そのため低反発ドライバーとして発売されているものは、製品のばらつきによる不適合を防ぐために上限の反発係数よりも少し低くしているのが普通です。

ただアイアンの場合には構造上から不適合クラブになることはないはずです。

アイアンのミート率が平均的に低い理由とは?

アイアンが不適合クラブにならないのは、ルールに定められた反発係数0.830を超えることが構造上できないからです。

つまりドライバーに比べて初速が遅いということになります。

改めて「遅い」といわなくても、ゴルフをしていれば誰もが知っていることではありますが、反発係数を高くするためにはロフト角を少なくする必要があります。

同じタイプのドライバーでも、ロフト角1度と13度であれば、1度のほうが初速は速くなります。

平均的な3番アイアンのロフト角は20度、7番アイアンでは33度です。

ターゲット方向と打ち出す角度が近いほど、インパクトの衝撃力を伝えることができます。

つまりフェースが立っているほうが、インパクトの衝撃を伝達しているということです。

ミート率が下がるので、アイアンのロフト角では飛ばないということになりますが、アイアンはピンポイントにボールを運ぶ道具なので、設定された距離が平均して出せれば何も問題はありません。

ミート率が高くなるよりアイアンの平均飛距離を磨こう!

アイアンのミート率で重要なのは飛距離ではなく平均的な距離です。

7番アイアンを使用したとき、今回はスイートスポットでインパクトしたので150ヤード、その前は当たりが悪かったので130ヤード、これではピンポイントにボールを運ぶ役目を果たしていません。

スイートスポットでボールをとらえることはとても重要ですが、インパクトにムラがあってミート率が激変するのであれば、多少スイートスポットから外れても平均値でボールを運べるほうがかなり実践的です。

ただコンスタントにスイートスポットでインパクトができるようになれば、アイアンの番手を落として使えるようになります。

7番アイアンの場面で9番アイアンを選択できれば、グリーンをとらえる確率は高くなりますし、ピンそばに寄せることもできるようになるからです。

なによりもバックスピンの効いた球筋になるので、ピンをデッドに攻めることもできる可能性が高まります。

アイアンのミート率向上よりも平均化するほうが重要

アマチュアゴルファーが使用するアイアンに、ミート率という概念が必要なのかと問われると、データを取得して分析するほどのことは全くないかもしれません。

ミート率のルール上の上限は1.56ですが、前述のように製造工程で反発係数にバラつきがあると不適合クラブになるので、若干抑え気味に設定されています。

一方でアイアンのミート率が1.56になることは、理論上でもありえません。

番手以上に飛ばしたいときは、フェースを立ててインパクトをすれば良いだけですから、あえてミート率にこだわって飛距離を求める必要はないわけです。

それよりも飛距離を平均化して、常に同じ距離を打てることのほうが間違いなく重要です。

ただしミート率を上げる練習は必要です。

フェースの芯でボールをとらえることを常に意識することで、ダフリやトップを防ぐ要因になるからです。

アイアンに限らず正しいスイング軌道ができることは、ボールコントロールの上でも重要になってきます。

平均ミート率を上げるためのアイアン練習法

アイアンのミート率を上げるための練習方法は、ティー打ちが効果的です。

練習場でティーアップしたボールを打って、スイートスポットに当たらないと強い衝撃を受けます。

一方でスイートスポットでインパクトができれば、スッと抜けるようにヘッドは走ります。

ティー打ちでスイートスポットをとらえることができるようになれば、ロングアイアンからショートアインまでのスイング軌道が一定になっていると考えられます。

ヘッドの軌道が安定すると、わずかな修正も簡単にできるようになるので、より正確なインパクトができるようになります。

ここまできたら、次はインパクトした箇所が分かるシールを購入しましょう。

ボールが当たった箇所にマークがつく感熱シールを貼って、実際のインパクトポイントを確かめます。

ティー打ちでは抵抗なく振り抜けていたはずでも、感熱シールで確かめると散っているはずです。

それでもティー打ちでヘッドコントロールができるようになっていますから、徐々に集約されて平均化していきます。

その上でヘッドスピードを上げると、ミート率が高くなるのです。

アイアンのヘッドスピード上げるときは、クリーンなショットをイメージして、レベルブローで払い打つようにしましょう。

この練習を繰り返し行えば、スイング軌道はさらに安定してミート率が高くなり、ピンに向かう攻めのアイアンショットが打てるようになるはずです。

アイアンにとって必要なのは平均飛距離でありミート率は二の次

アイアンにとってミート率という数値が必要なのかは微妙なところです。

アイアンは平均的な飛距離こそが重要であって、どれだけ飛ぶかは重要ではありません。

ただスイング作りという観点では、ミート率が高まればヘッドの軌道が安定するので、ミスショットを減らして攻めのゴルフが狙える可能性は高まります。