ゴルフクラブを構えてアドレスに入ったとき、背中が丸まって猫背の姿勢だと正しい捻転ができません。
しっかり胸を張る姿勢でクラブを構えることが必要です。
そこで胸を張るアドレスの仕方と、胸を張ることでの効果、そしてメリット・デメリットを紹介します。
胸を張るアドレスで猫背のゴルフスイングを卒業!
「猫背」という言葉があります。
猫が座ったときに前足を前に置くと背中が丸く内側を向くことから、両肩を丸める姿勢をとる人間に対して姿を現した言葉です。
昔から「猫背はゴルフが上手くならない」と言われていて、胸を張って歩くのがゴルファーの標準的な姿勢とされています。
おそらく領地貴族としてジェントルマンと呼ばれていた時代には、背中を丸めて歩くことがみっともないと思ったのかもしれません。
しかしながら今の時代では、胸を張る歩き方をしていると「ふんぞり返っている」と反対にひんしゅくを買うこともあります。
まして取引先との社用コンペや上司との社内ゴルフであれば、背中を丸めていたほうが安心できる場合もあることでしょう。
ただゴルフのアドレスでは、胸を張る姿勢をとったほうが良いのは間違いありません。
これはアドレスでとる前傾姿勢と関係があります。
肩幅のスタンスで背筋を伸ばして、腰から上は前傾姿勢をとります。
このとき背中が猫背のように丸まっていると、背筋が真っ直ぐに伸びずに、先方に湾曲した姿勢になってしまいます。
これでは正しい捻転ができません。
ゴルフクラブを活用した胸を張るアドレスの仕方
ゴルフクラブを握ってアドレスに入るときは、胸を張る姿勢をとってからクラブを握りましょう。
なぜならゴルフクラブを握ってから胸を張ると、すでに猫背になっていることが多く、背骨は前屈みの状態が変わりません。
そのため先に背骨を真っ直ぐに伸ばして、それから胸を張った状態で上半身を前傾させるべきなのです。
最初は「気をつけ」の姿勢をとって、次にクラブを両手で握り、顔の前まで引き上げます。
神主さんが杓(シャク)をかざしているように、両手でグリップを握ってシャフトを立てます。
そこから真っ直ぐに「みぞおち」の前まで下ろして、ここから前傾をかけて、あとは腕が真っ直ぐになるようにグリップを下ろすと正しい姿勢になっているはずです。
ゴルフ場では毎回この動きをする必要はなくスタート前に1回するだけで、あとは体がその姿勢を覚えてくれているので、ずっと胸を張るアドレスができるはずです。
気をつけるポイントは、顔を下げないことです。
それまで猫背でアドレスをしていて、突然胸を張るアドレスにかえると、目とボールとの距離が変わるので顔を下げてしまいやすいので、背骨と頭は一直線になるようにしましょう。
胸を張るアドレスで正しいゴルフの捻転を体現
胸を張るアドレスができるようになれば、その姿勢を維持してテークバックを行いましょう。
背骨はゴルフスイングの回転軸でもあるので、真っ直ぐな軸は綺麗な弧を描くスイングを作ってくれます。
猫背のときには捻転しているつもりでも、前屈みの姿勢になっていたので、軸を中心とした捻転とは少し違っていました。
本来は軸を中心に身体を捻る動作が捻転ですが、両肩が前に屈んでいることから、両肩が軸の周りを回転するようになります。
一応は左肩が90度回転するのですが、中心軸に巻きつくような捻れではなく、肩を移動させているだけのテークバックになっていたのです。
まず、正しい捻れを体現しましょう。
両腕を肩の位置まで上げて開き、イメージは体が中心軸で両腕が横棒です。
両腕は常に一対になった状態で右に旋回します。
大抵は苦もなく90度まで回転できているはずですが、そのとき両腕が対角線上にあるかを確かめてみてください。
これが軸を中心とした捻れの基本です。
胸を張るアドレスにはメリットばかりなのか
両腕を横に広げて右旋回すると、簡単に90度まで回転することができたはずです。
次に身体の前で両腕を伸ばして手を合わせ、肘を曲げずに右旋回しましょう。
これでも同じように90度まで旋回できたと思いますが、両腕を広げたときよりは窮屈感があったのではないでしょうか。
さらに肩を丸めて、いわゆる猫背の姿勢で旋回してみましょう。
すでに何度か旋回しているので、同じ位置まで達することができるかもしれませんが、通常は45度程度が限界値です。
要は胸を張る姿勢で身体を捻ると、回転度合いが大きくなるということです。
軸を中心とした回転ができることで、ゴルフの捻転度も深まることになります。
そのためにはアドレスの時点で胸を張る姿勢を作ること、そしてテークバックでも意識していればトップまで軸を中心とした回転ができるようになります。
こう見ると胸を張るアドレスはメリットだらけのように思えますが、良いものには裏もあるものです。
胸を張るデメリットについても確認しておきましょう。
アドレスで胸を張るスイングがマイナスになることも
アドレスで胸を張ることのデメリットは、テークバックでの三角形にあります。
両肩とグリップを結ぶ三角形は、アドレスの基本です。
三角形に歪みがないよう両肩や両腰、また両膝も地面と平行になっていることが望ましいと言われています。
胸を張る姿勢でテークバックをすると、回転軸を感じながらグリップを移動させることができて、ゴルファーとしては非常に気持ちの良いものです。
つい三角形を崩さずに、過剰なほどその形にこだわってしまいます。
ゴルファーによって、右肘をたたむタイミングは違いますが、右膝を超えた辺りで三角形は崩すべきです。
ところが左腕が地面と平行になるまで、お気に入りの三角形を維持してしまうことがあります。
体は左に湾曲し右肩が浮いて、もしかすると右膝や右腰も伸びているかもしれません。
これでは正しいゴルフスイングはできなくなってしまいます。
軸が歪まないように胸を張るアドレスをとったのに、結果的に軸が歪んでしまっては本末転倒になりますね。
ゴルフの基本はアドレスで胸を張ること!
アドレスで胸を張る姿勢をとると、背骨の立ち上がりの腰骨から首までが一直線になって、歪みのない回転軸を作ることができます。
また胸を張ることで肩を引くことになり、腕の動きが抑制されることから、手打ちを防ぐことができます。
なによりも回転軸を中心とした、インサイドインのゴルフスイングができるようになるため、それまでよりも方向性と飛距離がアップするのです。
一方で軸回転に合わせたスイングは、タイミングが大事になってきます。
テークバックではどのタイミングで右肘をたたむのか、どこからコックを作り始めるのかなど、単に体に覚えさせるのではなく、しっかりしたイメージを作ってそのポイントで動作をはめていくようにしなければなりません。
胸を張る歩行はゴルファーの基本だそうですが、胸を張るアドレスはゴルフの基本です。
まずはただ良い姿勢をとれるようにして、それを維持しつつインパクトにつなげていくことが大切です。
胸を張る正しいアドレスで正しいゴルフスイングを!
ゴルフの基本とも言えるアドレスで胸を張る姿勢は、技量に関係なくどんなゴルファーでも取り入れるべきものです。
回転軸を中心とした正しいテークバックやダウンスイングに通じるものです。
一方で過度な姿勢の維持は、マイナスにも繋がるので注意が必要です。