ゴルフクラブを構えたときに、ウィークグリップと指摘されたら、その原因が握り方なのか球筋なのかを見極めなくてはいけません。
今回はゴルフ指導者によってウィークグリップの基準が違う理由と、求める修正の仕方についてお話します。
ゴルフのウィークグリップはスクエアな握り方なのか
ゴルフのグリップには3種類の握り方があります。
基本のスクエアグリップ、スライスを矯正できるストロンググリップ、ロブショットを上げやすくなるウィークグリップの3つです。
この3つのグリップの握り方は基本的に同じですが、左手甲の角度が少しずつ違うだけです。
角度の目安となるのは、こぶしの山の数です。
グリップを握る左手を上から目視して決めるのが一般的で、こぶしが3個半以上見えたらストロンググリップ、2個半ならスクエアグリップ、1個半以下ならウィークグリップとなります。
スイングの仕方やボールの位置よって球筋が変わるので、打ちながら適正な角度を見つけていくようにします。
その中でウィークグリップは、少しだけ違う考え方でその名称を使う場合があります。
スクエアグリップとは、単純で左手甲が飛球線に対してスクエア(垂直)な握り方をすることでその名称が使われています。
ところがウィークグリップも左手甲がターゲットに面しているときに使われることがあるので、結果的にスクエアグリップと同じ握り方になるのです。
ここがややこしいポイントではないでしょうか。
ゴルフの神様のお陰でウィークグリップはスクエアな握り方
なぜフェースを開いて握るウィークグリップが、スクエアグリップと呼ばれるかについて考えてみましょう。
諸説あるようですが、近代ゴルフ理論の神様であるベン・ホーガンがこのウィークグリップだったからという説があります。
ベン・ホーガンは最強のゴルファーと称されましたが、同時にたくさんのゴルフ理論を打ち立てていきます。
その1つにはスイングプレーンという概念で、プレーンを超えてスイングをしないことで、アウトサイドインのスイングを戒めるための解説に作っています。
またアドレスの仕方やボールポジションなど、現代ゴルファーの基礎となるものは、ほぼベン・ホーガンの教えです。
著書『モダンゴルフ』をバイブル(聖書)としてるゴルファーが多いことから、その理論を組み立てたベン・ホーガンは神様とも言われているわけです。
神様がウィークグリップにしているのですから、その握り方こそがスタンダードであり、スクエアなグリップと考えたようです。
ゴルフレッスンでのウィークグリップの握り方の本当の意味
ゴルフの神様の握り方によって、ウィークグリップは迷走しています。
「ウィークグリップだ」と言われたとき、こぶしの山の数を聞けばどんな握り方なのかが分かります。
ただ人によっては、ウィークグリップが握り方を指しているのではなく、アドレスでの構え方を指摘するときに使うことがあります。
ゴルフクラブを構えるとき、前傾姿勢をとって両腕をダラリと下ろして、中央で手を合わせ、そこでグリップを握るのがセオリーです。
このときグリップを握った手を見ると、親指の股の部分のシワが指す位置で、正しい構え方かを判断するときがあります。
左手のシワが正面から見てあごよりも右側を指しているとウィークグリップとみなされます。
ただ指導者によってはあごを指している、つまりスクエアグリップがウィークグリップと言う場合があります。
これはスライス防止で、フェースの開きを矯正しなければならないときに、グリップの握り方を修正ポイントにしたときに使うからです。
つまりスクエアグリップでもスライスしているのであれば、本人にとってはウィークグリップなのだということなのです。
握り方の1つウィークグリップは矯正の方便
ゴルフスイングがアウトサイドイン気味であると、スクエアグリップでもスライスします。
そんなとき普通はアウトサイドインのスイングを矯正していくのですが、新しいスイング軌道を習得するのには相当な時間と練習量が必要になります。
そこで対処法として、グリップの握り方をフックフェースにして、軌道を変えずスライスするフェースと相殺するわけです。
ただフックに構えるようにすると、本当にフックしてしまいます。
そこで「元に戻す」という名目で握り方を変えることになります。
つまりウィークグリップはスライス矯正のための「方便」ということなのです。
したがってウィークグリップを直すときは、その真意を理解しなければ、どんどん左手甲が上を向くストロンググリップになってしまう可能性があります。
ただドライバーからウェッジまで同じグリップの握り方をするのが前提にあるので、アイアンで極端なストロンググリップは本当にフックしてしまい、着弾したボールは止まることなくグリーンをオーバーしてしまうかもしれません。
握り方のウィークグリップとはゴルフの言葉遊びの道具
ゴルフスイングの軌道をインサイドインに変更する間、スクエアグリップをウィークグリップだといってカモフラージュしても意味はありません。
言葉遊びをしても結果が伴わなければ、握り方を変えて対処するしかないからです。
ただしウィークグリップでもボールはそのままの位置で、グリップだけを左側にずらしてハンドファーストでフェースをセットすると、インパクトではフックフェースにすることができます。
握り方を変えずに、グリップの構える位置を左腿の内側に移動するだけで、スライスが矯正できるのですからストレスはかからないはずです。
スライスの原因がスイングミスであれば、そのスイングを修正しなければ根本解決になりません、
そういったことから修正までの期間限定でグリップの握り方を変えるよりも、構える位置を動かした方が戻すときのストレスも軽くて済むはずです。
ウィークグリップの握り方をゴルフ理論で説くよりも実践
ゴルフはライやレイアウトによってさまざまな打ち方をしなければなりません。
練習場のようなフラットなところはティーグラウンドだけで、あとは必ず細かなアンジュレーションがあるからです。
そんなときは斜面の傾斜に合わせた打ち方をしなければなりません。
左右の傾斜は傾斜なりに立つ、つまり地面に対して垂直に立ちます。
前後の傾斜は重力に対して立って、スタンスを広げたりグリップを短く握ったりしながら、ターゲットに向けてボールを打ち出すことになります。
ただ斜面に合わせた不安定姿勢やグリップを短く握ると、飛距離がガクっと落ちてしまいます。
そこで小さなアンジュレーションの場合には、左手はストロンググリップで右手はウィークグリップで握るとか、逆に左手をウィークグリップにして右手はスロンググリップにすることで飛距離を落とさずにショットする微調整が求められます。
常にスクエアなフェースでインパクトをすることを掲げていれば、グリップの握り方は状況に合わせて変更できるほうが実践的かもしれません。
ウィークグリップでの握り方に注意
ゴルフクラブを握るとき、「ウィークグリップの握り方」には注意が必要です。
握り方を指摘したものなのか、球筋を改善するためのものなのか、そこを見極めることが大切です。
フェースの向きがスクエアになるようにするために、グリップの握り方を変えるということを再確認すると迷いはなくなります。