夏場にゴルフのファッションを楽しむためではなく、暑さ対策のため半ズボンを着用しようとしても規制が設けられて着用できないことがあるようです。
昔から半ズボンにはハイソックスという伝統があるようですが、本当にそれが正しい服装のマナーなのでしょうか。
今回は暑さ対策に穿きたい半ズボンについて考えます。
夏用ファッションの半ズボンがゴルフ場では規制対象になっている?
数十年に一度しか来ないはずの異常気象が毎年やってくる、まさに異常な気候がここのところ続いていますが、ゴルフをするものにとっては命にかかわる心配もありますよね。
毎年のように「全国で一番暑い都市」とニュースに取り上げられたり、突然のゲリラ豪雨や落雷によって被害が出ていたりと、「自然の中でのゴルフは最高!」と言ってばかりではいられなくなっています。
突然の雨や雷については、ゴルファー自身が防ぐことは難しいかもしれませんが、気温の上昇は事前に天気予報の予想気温でおよそのことが分かります。
気象庁によると、最高気温が25度以上で夏日、30度以上で真夏日と定められています。
基本的に真夏日の予報が出ていれば、軽装の上で日射病を防ぐ手立てをし、水分補給やクールダウンの準備が必要になります。
ゴルフの場合には、吸水速乾性の高いシャツと半ズボンなどがオススメですが、ゴルフ場によっては半ズボンの着用について一定の条件をつけている場合があるため注意が必要です。
ゴルフショップでは夏のファッションとして当たり前のように売られている半ズボンですが、それなのに着れない、それなりの理由があるようです。
真夏日を超えるゴルフは半ズボンのファッションが最適!
昔は気温が30度を超えることが頻繁にはなかったらしく、気象庁では真夏日以上の用語はありませんでした。
メディアは35度以上の気温予想を酷暑日といって警戒レベルで伝えていましたが、それによって現在では気象庁も35度以上を猛暑日として伝えるようになっています。
猛暑日になると「命に危険があるので、不要不急な外出は控えてください」と発令されますので、楽しみにしていたゴルフは中止せざるをえないことになります。
ただ風通しの良いシーサイドコースや平地よりも気温の低い山岳コースもあるので、ゴルフ場に問い合わせてみると良いかもしれません。
ただしスタートするのはプレイヤーの責任ですから、途中で具合が悪くなったとしても自己責任で対処するしかありません。
命を賭けるほどのラウンドであれば仕方はありませんが、状況によってはフロントでキャンセルを申し出たとしても非難されることはないはずです。
一方で暑さ対策としてファッション性のある半ズボンを着用しても非難されることがあるので、こちらも気温確認と同時に確認しておくと良いかもしれません。
暑いゴルフ場では半ズボン着用にファッション性は関係なし
ゴルフ場における服装は、気温の変化に対応したデザインやファッション性などを考慮することは少ないようです。
少ないというよりも「伝統」を重んじることから、トラディショナルなファッションを重視しています。
もちろんラフなスタイルを容認するアメリカンスタイルと言われるゴルフ場もありますが、多くのゴルフ場はジャケットを着用して受付を済ませ、襟付きのシャツでプレーをすることを求めています。
本来の服装マナーは、会員個々に裁量権がありました。
それだけに周囲に不快感を及ぼす服装であれば、倶楽部の中で声がかからなくなって排除されていくことになり、排除された側もそれに納得ができたわけです。
ところが現在のゴルフ場の多くは、ドレスコードを設定しています。
これは「学生らしさ」を求める学生の服装規定と似ています。
曖昧な「らしさ」はゴルファーにもマナーとして課せられますが、スポーツとなった現在のゴルフを嗜(たしな)むものにとって、倶楽部の規定は必須とはならないはずです。
「いまさら学生服かよ」と思うかもしれませんが、「らしさ」のために猛暑の中で命を賭けるとしたら、半ズボンの着用規制を笑っていることはできません。
ゴルフの半ズボンファッションは暑さ対策からできた?
多くのゴルフ場で半ズボンを着用するときには、ロングソックスがセットになっていますが、暑いから半ズボンにしたのにロングソックスを穿いたら暑さ対策の意味は半減してしまいますよね。
「暑いのにロングソックスなんて無理!」
そう考えるのが当たり前ですが、ゴルフ界においては半ズボンとロングソックスは一対のものと言われているのです。
ただ現在では随分と服装規定が軽減されていて、ロングソックスではなく、ハイソックスでもOKになっています。
本来はバレーダンサーのようなタイツ姿が、半ズボン着用時の正式なファッションなのです。
暑さ寒さに関係なく、王位継承のときの正式な服装がそうだったのです。
ただゴルフ発祥のスコットランドは、7月から8月の夏でも気温10度程度の低温地帯です。
そういった理由から、ロングソックスやタイツが気になることはなかったのでしょう。
しかしながら海外に拡散されたゴルフは、暑い場所に変わったことで我慢ができない状態となったようです。
ゴルフがアメリカに渡ると、ワイシャツにジャケット、スラックス姿では暑くて堪らないと、ジャケットを脱ぎワイシャツをポロシャツに替えて、長いズボンはニッカポッカに変えてしまったのです。
半ズボンにハイソックスファッションは後付けのゴルフマナー
圧倒的なゴルフ人口で、ゴルフルールを次々と塗り替える全米ゴルフ協会ですが、歯止めを設けたのがポロシャツの容認です。
襟付きシャツがマナーなのではなく、当時のポロシャツには襟がついていただけなのです。
暑さ対策でズボンをカットして、いわゆる半ズボンでプレーをするものが増えたことから、オランダ人が着ていたニッカポッカを流用したのですが、このときオランダ人はハイソックをセットにしていました。
連綿と続く伝統の服装ではなく、単に暑いからズボンを切って穿くのではなく、それよりもファッション性のあるニッカポッカに変えただけのことです。
動きやすいポロシャツにニッカポッカスタイルの選手が欧州の試合で活躍したことから、本場英国のゴルファーも着るようになりました。
ゴルフにおける半ズボンの発祥はアメリカでの暑さ対策なので、半ズボンにハイソックスというマナーは襟付きシャツと同じように後付けの服装規定と考えられます。
半ズボンのファッションを認めないゴルフ場はキャンセルするのもアリ?
暑い日には我慢せずに半ズボンでゴルフを楽しむべきと考えます。
特に30度を超える真夏日になると、運動をしなくても暑く感じるのに、日差しが照り返す芝の上では、より涼しい格好をすることは命を守る上でも大事なことです。
ただゴルフ場によっては服装規定を設けて、半ズボンは認めない、半ズボンはハイソックスを着用すること、と決めていることがあります。
しかしながら気象庁が「命にかかわる」と発令した場合は、まず予約を入れたゴルフ場に問い合わせて、半ズボンファッションでも大丈夫か確認しましょう。
ダメであれば、命にかかわるのでキャンセルするしかありません。
そんな中、多くのゴルフ場は、昨今の異常気象を考慮して「特例措置」を設けています。
気温や期間を定めて、半ズボンなどの軽装ファッションを認める傾向にあるようです。
認められたとしても半ズボンは肌の露出が多くなることから、直射日光をダイレクトに受けて日射病や熱射病、過度な日焼けなどが心配になります。
そのため日傘や水分補給、またコールドスプレーなど、ファッション以外でも体温を下げる工夫を準備しておくようにしましょう。
半ズボンはスタンダードゴルフファッションになるのか
ゴルフのファッションで半ズボンはイレギュラーな扱いになっていますが、実際には「襟付きシャツ」と同じ時期に認められた正しい服装です。
またハイソックスの着用は、後発のニッカポッカによってもたらされたものと言われていて、紳士の服装マナーではないようです。
いろいろな歴史的背景はありますが、いつの日かスタンダードになることを願うばかりです。