ドライバーをシャフトカットすると、シャープなスイングができて、ミート率も上がり安定した球筋に変わるような気がするものです。
確かにシャフトを短くしたことによる効果はありますが、一方でマイナスの効果も現れてくる可能性があることを知っておきましょう。
ドライバーのシャフトカットによる効果と逆効果によるリスクを紹介していきます。
ドライバーの曲がりにシャフトカットが効果的な理由
ドライバーの曲がる原因の1つとして、シャフトの長さであると感じているゴルファーは多いようです。
そういうときは、短いシャフトのドライバーに変えるか、リシャフトして短いシャフトに入れ換えれば不満は解消できます。
ただし長いと感じたシャフトで金輪際使う予定がないのであれば、思い切ってスッパリと切ってしまうこともできます。
シャフトカットでドライバーを短くすれば、費用のかかる新しいドライバーの買い換えや、シャフトを購入してシャフト交換の工賃がかかるシャフトをしなくても済むからです。
問題はシャフトカットしたときに効果が感じられなかった場合です。
一旦カットしてしまったシャフトは、元に戻すことができません。
やはりカットする前に短くしたら本当に効果があるのかを確かめる必要があります。
もっとも簡単な確認方法は、量販店の試打用クラブを使って、シャフトカットしたあとの長さのドライバーでボールを打ってみることです。
そのサイズで間違いないと思えば、量販店の工房でシャフトカットを依頼すれば良いわけです。
ドライバーをシャフトカットしてからの効果確認は遅すぎる
ドライバーをシャフトカットして効果が得られるのかを事前に確かめることは重要なことです。
そのため同タイプのドライバーでカットした長さと同じものがあれば、そのドライバーを試打して感覚を確かめましょう。
もしかすると同タイプの試打クラブが置いていない、標準装備のシャフトにカットした長さのものがない場合もあります。
長さが同じであれば他のタイプのドライバーをと考えるかもしれませんが、徒労に終わるので止めておきましょう。
シャフトカットする分だけグリップを短く握れば少しだけバランスは変わりますが、シャフトの短さによる感覚だけは知ることができます。
効果が分かれば、あとは工房にシャフトカットを依頼できます。
このときグリップエンドの余り分のバランス調整が必要になるため、一緒に依頼すると思っていた長さで、しかも違和感のないドライバーができあがります。
これで思い切ったスイングができて、ドライバー本来の役割である飛距離を狙うことができるはずです。
実際にドライバーのシャフトカットで得られる効果の度合い
自身でシャフトカットする長さを確かめて、しかもその効果まで確認したわけですから、あとは専門の工房に任せればバランスの良い短めのドライバーができあがってきます。
試打クラブやグリップを短く握ってボールを打ったときには気がつかないかもしれませんが、実際にコースで打ってみると飛距離ダウンになっていることがあります。
仮に45インチのドライバーを2インチシャフトカットすると、シャフトの長さはスプーンと同じになるイメージです。
打ちやすさは想像できますが、一方で飛距離もスプーンと同じだけになるかもしれません。
ドライバーのシャフトは1インチシャフトカットすると、計算上約5ヤード飛距離がマイナスになると言われています。
つまり2インチカットしたらシャフトの長さがスプーンと同じなっただけでははなく、飛距離もスプーンと同じになるわけです。
もしもシャフトカットしたドライバーとスプーンの飛距離が同じなら、ロフト角の大きなスプーンを選んだほうが扱いやすいかもしれません。
ドライバーのシャフトカットは逆効果になることもある
ドライバーのシャフトカットによって、インパクトの精度に効果があったとしても、シャフトが短くなったことで飛距離ダウンになる可能性があります。
効果という観点で考えると、シャフトカットでドライバーの長さを短くしたい根本の要因は、正確なミートによって飛距離をアップにあるはずです。
同じヘッドスピードのままスイートスポットにより近い箇所でボールをとらえることができれば、それまで以上に飛距離はアップします。
ただしシャフトカットしたことによって、仮にヘッドスピードのマイナスに対してミート率によるプラスが上回ったとしても、その差は微々たるものです。
実際にはヘッドスピード減によるマイナスのほうが大きくなることが多く飛距離ダウンになるかもしれません。
しかも仮にバランス調整を依頼しなかったら、2インチシャフトカットすると、ヘッド側が12ポイントも軽くなるため、レディース用と同等のバランスになってしまいます。
それを防ぐためにヘッドに鉛板を貼ってバランス調整をすると、ヘッドは鉛だらけになるかもしれません。
ドライバーのシャフトカットの効果を期待したのに失速する?
ドライバーをシャフトカットすれば、短くなった分だけ振りやすさを感じられると、その効果に期待するかもしれません。
しかしシャフトカットしたことで、シャフトのしなり幅が減って弾力も失われていくため、飛距離に影響を与える「しなり」が少なくなってしまいます。
シャフトのしなりが抑制されると、最初に感じるのはシャフトの硬さです。
グリップエンド側からカットしたとしても硬さに違いがあると感じるはずですが、もしもシャフトの先端をカットしたら、まったく違うドライバーに変わってしまうかもしれません。
ただ感覚的な部分であれば、当初は違和感があっても徐々に慣れてきます。
ただしシャフトのしなりが抑制されたことで、打ち出したボールが上がりきらずに失速することも考えなくてはいけません。
短くなった分だけレベルブローのスイング軌道に近づき、適正な打ち出し角になっていないことが原因と考えられます。
それまでのものよりも、アッパーブローの角度を大きくするスイングが必要になるはずです。
ドライバーのシャフトカットの効果と逆効果の対比が必要
ドライバーが長いからという理由でシャフトカットするのであれば、そのシャフトカットで得られる効果よりもマイナスとなる逆効果が大きくなることもあります。
グリップエンドを空けて握れば、シャフトの長さについては解消できるため、あえてシャフトカットする意味はありません。
確かに「見た目」としては、アドレスでグリップエンドが大幅に出ていると格好が悪いと思うかもしれません。
しかしシャフトカットしたことによるリスクを考えれば、短く握ったほうが良いはずです。
シャフトカットすることで効果があるのは、スイング軌道を安定させることでスイートスポットでのミート率を高めようとするときや、シャープなスイングでリズムの良いドライバーショットを求めるときではないでしょうか。
また現行のシャフトの硬さが「軟らかくて不安定」と感じるときや、ヘッドが効きすぎているときなど、自分のスイングに合ったシャフトに作り変えるときに効果があります。
単にシャフトを短くしたら振りやすくなることを求めるのであれば、元に戻すことができないシャフトカットではなく、短く握る方法を選択したほうが良いのではないでしょうか。
現在の賞金王はそれを証明しています。
ドライバーのシャフトカットの効果とリスクを承知しておく
ドライバーのシャフトカットによって生まれる効果と、シャフトを短くしたしたことで新たに生まれるマイナスの効果を考えると、カットする前に「本当に大丈夫?」と確認する必要があります。
振りやすさを求めてカットしたことで、硬くなりバランスが崩れて扱いにくいシャフトになるかもしれないリスクも承知しておかなければなりません。