ドライバーを短く持つと、ヘッドコントロールがしやすいので球筋が安定します。
初心者は空振りやチョロを恐れてそれを選択しますが、プロの中でも短く持ってドライバーショットを放つ選手がいます。
ここではプロの握り方を参考に、アマチュアゴルファーが短く持つことのメリットを考えていきます。
ドライバーを短く持つ今平プロが活躍している理由
ドライバーを短く持つプロと言えば、現在ツアーで大活躍している今平周吾プロがいます。
曲がらないゴルフを信条にしている選手ですが、デビュー以来堅調なプレースタイルが結果を結び、2018年には賞金王に輝きます。
ただし賞金王となった年の優勝回数は1回のみで、トップテン入りの回数が14回と毎試合優勝に絡む玄人好みの選手と評されています。
そんな今平プロに転機が訪れたのは、賞金王のご褒美でもあるオーガスタでのラウンドです。
全盛期のタイガー・ウッズに焦点を合わせて改造された、異常なほど長い距離のコースで、しかもフェアウェイのランはほぼ期待できないために、キャリーが勝負とばかりにフルスイングが求められる世界屈指の難コースです。
今平プロがセカンドショットでユーティリティーを選択したとき、同組の選手が9番アイアンだったことから、マスターズでは飛距離がなくてはいけないと悟り、それは海外参戦の条件でもあると考えたようです。
ちなみに飛距離を抑えてもフェアウェイにこだわる今平選手ですが、その飛距離データは290ヤード前後もあるので、決して飛ばない選手ではないようです。
ドライバーを短く持つ今平プロの狙うところは世界ツアー
ドライバーを短く持つ今平プロは、フェアウェイのキープが好成績の要因であることは自覚しています。
ただしワンステージ高い世界ツアーに参戦するためには、飛距離を必要とすると結論を出すことになります。
当初は体重増強による飛距離アップを考えたようですが、指導を受けているコーチが認めず、とりあえずマン振りでマスターズに出場することになります。
結果は前述のように圧倒的な飛距離の差で、なす術もなく予選落ちとなりました。
彼の印象としては、「短く握る」ことからフェアウェイのキープ率が高いように見えますが、賞金王に輝いた2018年のキープ率は58.9パーセント、全選手の中では25位でしかありませんでした。
その選手がオーガスタで慣れないマン振りに変えたのですから、結果は押して知るべしの50パーセントにまで落ちてしまいます。
その結果深くて粘りのあるラフにつかまりスコアを作ることができず、しかもセカンドショットの番手選びでは圧倒的に不利な状況ですから、飛距離の必要性を痛感するのは当たり前のことだったのかもしれません。
今平プロがドライバーを短く持つのはパターが得意だから
ドライバーを短く持つことで実績を作ってきた今平プロですが、マスターズで同組の選手の飛距離を目の当たりにして、「1ヤードでも遠くに飛ばしたい」と考えるようになったと言われています。
今平プロのライン出しのドライバーショットの飛距離は約290ヤード、オーガスタはマン振りしたので、おそらく300ヤードはマークできたのではないでしょうか。
ちなみに今年優勝したタイガー・ウッズのスプーンは290ヤードくらいでしたから、飛距離が欲しいと感じるのは当然のことなのかもしれません。
一方でそのタイガーはと言うと、ドライバーに以前のような輝きはなく、300ヤード程度の飛距離だったようです。
今平プロと比較するとフェアウェイで10ヤードの違いですから、飛距離アップしなくても戦えないことはないはずです。
まして日本ツアーで好成績を残しているのはパターのお陰です。
賞金王のときのパッティングは第1位、しかもこのときセカンドセーブ率は45パーセントで、なんと71位ですから、いかにパターが貢献したかが分かるでしょう。
「パターを制するものは」を地で行ったような選手なのかもしれません。
プロでなくてもドライバーを短く持つと飛距離がアップする可能性大!
プロにとっては悩みの種となる「短く持つドライバー」ですが、アマチュアにとってはマイナス部分の少ない握り方です。
一般的には1インチの差が5ヤードと言われていて、飛距離を出すには少しでも長いドライバーが有利とされてきました。
1インチはおよそ親指の太さ1本分ですから、親指3本分あける今平プロは15ヤードマイナスになる計算です。
そうにも関わらずオーガスタでマン振りをしても15ヤードプラスになったわけではありません。
ヘッドスピードの速さは長いシャフトほど有利ですが、スイートスポットでのインパクトの確率は長いほど不利になります。
それはプロであっても同じことで、ヘッドスピードが速くなっても芯でミートができなければ、打ち出すときのスピードはそれほど変わらないということになります。
ましてアマチュアのゴルファーが長いシャフトを使えば、この芯で打つ確率はさらに下がり、飛距離はダウンするかもしれません。
つまり確実なミートで飛距離を狙うのが、アマチュアゴルファーには正しい選択と言えるようです。
プロとは違いアマがドライバーを短く持つとスライスしない
ドライバーのシャフトは長いから、コントロールが難しいというのが一般的な考え方です。
短く持つとシャフトが短くなったのと同じことになりますが、実はそれ以外にもプラス効果があります。
いわゆる短尺ドライバーよりも、一般的な長さのドライバーを短く持つほうが、シャフトが硬くなり振り遅れを防いでくれるのです。
つまりドライバーを短く持つことは、スライスの抑止にもなるわけです。
今平プロは指3本から4本分短く持っていますが、一般ゴルファーの場合にはグリップエンドから指2本分程度あけただけでも、シャフトのバランスが変わり硬く感じるはずです。
実はこのほかにも、グリップは先端にいくほど細くなっているので、短く持つと「細いグリップ」を握ることになります。
細いグリップはスライスを防止してくれるだけではなく、ヘッドの返しが鋭くなるので、飛距離アップにも繋げることができるのです。
つまり短く持つとスライスしないのは、長さによるものだけではなく、グリップの細さも関係してくるので、ヘッドコントロールのしやすい握り方だと言えます。
ドライバーを短く持つとプロでもマン振りしてしまう
今平プロで分かるようにプロの腕をもってしても、長めのドライバーでマン振りすると、球筋は安定しません。
ドライバーを短く持つだけで、コンパクトなスイングを心掛けなくても、ターゲットにボールを運ぶことができるようになります。
ただそうなるためには、それ相応の練習が必要なのは言うまでもないことです。
短く持つ握り方で練習をして、頻繁にフックが出る、もしくはフック気味の球筋になったときには左手主導が強すぎるかもしれません。
現行のドライバーは軽量化されているので、左手で引くダウンスイングよりも、右手で押すインパクトが主流です。
もちろんこれはイメージなので、実際のスイングとは違いますが、人によっては「くっつく」などとの表現される、つかまりの良いインパクトになりやすいので注意が必要です。
短く持つと振りやすくなり、今まで以上にスイングスピードを上げてしまいますが、ゆったりしたリズムでスイングをすると、くっつくインパクトは解消できます。
打ちやすさがマイナスになることもあるので、繰り返し練習をして短く持つグリップに慣れることが大切です。
プロとアマのドライバーを短く持つことの意味の違い
プロの試合ではフェアウェイとラフでは雲泥の差があるので、ドライバーを短く持つことで球筋が安定することは重要です。
一方でアマチュアの場合には、短く持つことでミート率が上がり飛距離アップに繋がりプラス効果が期待できます。
もし現在ドライバーを目一杯長く握っているようなら、一度短く握って飛距離や感触の違いを確認してみましょう。