自分のスイングでどういう球筋が出るか把握しながら、それを武器にラウンドできているゴルファーは上級者でも少ないのではないでしょうか。
スイングがある程度できている人が、左右あちらこちらにミスショットが出てしまうのは、アドレス時にフェース面が正しく構えられていないことが原因なようです。
ここでは、ドライバーからショートアイアンまでのフェースの合わせ方について見ていきます。
まずはフェースをじっくり観察してみよう
フェースとは、クラブの先端にあるヘッドの部分においてボールと接する面のことを指します。
このフェースが地面に対して垂直から倒れて行く角度によってロフト角が決まります。
ロフト角が一番小さいクラブがドライバーで9.5度~12度が一般的でしょう。
男子プロなどヘッドスピードが速い人は8.5度などを使う人もいます。
また一番ロフト角があるクラブはウェッジで58度が一般的でしょうか。
中には、60度以上を好んで使うゴルファーもいます。
どのクラブでどのロフトが自分に合うかはまた別の話になりますが、ゴルフの基本はクラブの性能を引き出すことです。
打ち出し角はロフト角、ブロー角、ボールの初速で決まります。
クラブの持つ正しいロフト角で上がる弾道を打つことと、ターゲットに対する方向性を決める面であるフェースの合わせ方は非常に需要です。
また、ドライバーとアイアンではクラブの持つ特性上、フェースを合わせるやり方も少し違ってきます。
次項ではその辺りを見ていきましょう。
アイアンとドライバーではフェースの合わせ方が違う?
ドライバーとアイアンでは、少しフェースの合わせ方が違うと話しました。
まずは、ドライバーのフェースを見ていきましょう。
以前は、ドライバーのフェースがターゲットに向いてスクエアに構えるのが常識とされてきました。
しかし、ヘッドの大型化、シャフトの長尺化というドライバーの進化に伴って、インパクト時にフェースをスクエアに戻しきれず、スライスが出る傾向になってきました。
その結果、最初からターゲットラインに対してフェースが少し左を向いている、いわゆるフックフェース設計のドライバーが主流となってきたのです。
したがってスクエアに構えたとき少し被っていると感じたとしても、それはクラブの構造上そうなるようになっているので、慣れるしかありません。
とは言え、自分の使用しているドライバーのスクエアがどういう状態なのか、客観的に見たい人もいると思いますので、その方法をまとめます。
単純な方法ですが、ドライバーの芯の部分にウッドティーの頭を貼り付けると一目瞭然です。
もちろん垂直に貼ってください。
そのティーが指している方向がボールの飛ぶ方向です。
これをやると自分がいつも構えているアドレスでフェースがどうなっているか、初めて分かるかもしれません。
それが、しっかりとターゲットに構えられていたら、正しいアドレスが取れているということです。
もし左右に向いていたら、修正してみてください。
一番単純明快な合わせ方だと言えるでしょう。
リーディングエッジを使ったアイアンのフェースの合わせ方
では次にアイアンのフェースの合わせ方を見ていきましょう。
アイアンの場合、フェースのリーディングエッジを基準に合わせるタイプと、トップブレードを基準に合わせるタイプに分かれるはずです。
どちらが正しいということはありませんが、自分のショットでどういったミスが出ているのかによって、フェースの合わせ方を変えてみるのも良いかもしれません。
まずはリーディングエッジを基準とする合わせ方についてです。
リーディングエッジとは、『クラブの刃』と言われ、フェースとソールの境界線の部分です。
多くのゴルファーが、このリーディングエッジをターゲットに向けてスクエアに構える方法を取っています。
しかしドライバーに比べてアイアンはロフト角が大きく、アドレスしたときに上から見ていることもあって、正確にスクエアに構えられていないことが多いのです。
これもドライバーと同じように、フェースにティーを貼ってみてください。
自分が思っている以上に右を向いている可能性もあります。
「スクエアに構えているのに、スライスばかり出るんだよな」と嘆いているゴルファーは是非お試しください。
トップブレード基準のフェースの合わせ方
次にトップブレードを基準とした合わせ方を見てみましょう。
トップブレードとは、アイアンのフェース上部から後ろにかけて丸みを帯びた平面のことを言います。
普段、リーディングエッジを基準に合わせているゴルファーは、トップブレードをスクエアに合わせると、「被せ過ぎなのでは」と違和感を覚える人も多いかもしれません。
しかし、多くのプロもトップブレードを基準に合わせてアドレスしているそうです。
一度練習場でどんな球筋になるか試してみると良いでしょう。
一般的にトップブレードで合わせるのに適していると言われるのは、ショートアイアンです。
特にアプローチは、リーディングエッジを基準に合わせるとヒールが浮いてくる傾向にあり、知らず知らずのうちにフェースが右を向いていることが多くあります。
ショートアイアンでは、しっかりとソールをつけてアドレスするように心がけてください。
アドレスでは飛球線上にスパットを見つけよう!
前項目までで、フェースがどの向きを向いているか確認できました。
ティーを芯に貼り付けるだけで、客観的にもフェースがどこを向いているか目でも見ることが可能です。
しかし合わせ方がせっかくできていても、その先の指す方向が本当にターゲットを向いていなければ何の意味もありません。
皆さんはターゲットを決めるときどのようにしていますか?
多くのゴルファーは遠くの目標物(ピンや木など)をターゲットにして、そことスクエアになるように構えていることでしょう。
しかし何十ヤードも先のターゲットとボールを結んだ線とフェースをスクエアに合わせるなど至難の業です。
そこでアドレスに入る前にボールの後ろに立ち、遠くのターゲットとボールを結んだ飛球線上にある落ち葉や芝の色が変わっているところなど、ボールに近いところにスパットとなるものを決めましょう。
近いところのスパットとの線とボールを垂直に構えるほうが精度は確実に高くなるからです。
ドライバーでは、飛距離重視で危険地帯と呼ばれるところを避けるショットでも良いですが、アイアンでは方向性がとても大切になってきますので、このルーティンを基本にしてアドレスしてみてください。
正しいフェースの向き、正しいアドレス、正しいスイングで
フェースの合わせ方を正しく行い、ターゲットに対して正しいアドレスが取れたとしても、正しいスイングができなければナイスショットにはつながりません。
アドレスがしっかり取れているのですから、スイングではヘッドを返さず、アドレス時の形でインパクトすることが理想です。
そのためには、フェースローテーションを抑えるスイングをします。
フェースローテーションとは、スイングの中でフェースを開いたり閉じたりする動きのことです。
フェースの開閉が大きいと、どうしてもインパクト時に正しくアドレスした面に持ってくることが難しくなります。
特にショートアイアンやアプローチショットなどはフェースローテーションを抑えたスイングのほうが精度は高まり、コントロールショットが上手くいくものです。
特にスイングが安定していることで有名な稲森佑貴プロは、このように言っています。
「僕は面で打つことしか考えていません。
そのほうが合理的だからです。
だから、結果的にフェースローテーションは少ないです。」
フェースローテーションを抑えることばかり考えるのではなく、左腕とクラブが一本の平たい棒として捉え、その棒の面でボールを打つイメージをもってバックスイング、インパクトを迎えます。
そして、常にその棒が体の中心にあることを意識してスイングすることです。
アイアンは特に方向性が重要。フェースの意識を高めよう!
フェースの合わせ方、アドレスの取り方などショット前に行う動作がいかにゴルフでは大切か分かっていても、やり方を知らなければ意味がありません。
そこでフェースの合わせ方、アドレスの取り方、一つ一つの確認作業をルーティンに組み込みましょう。
それが自然にできるようになると方向性は安定し、特にショートアイアンなどではショットの力加減に集中でき、一つレベルの上がったゴルフを楽しめるはずです。