アイアンのリシャフトは専門の工房にお願いしなくても、 やり方を覚えてしまえば簡単に自分で新しいものに替えることができます。
ただしリシャフトに必要な用具や作業の手順を知らないと、上手く交換することができません。
また交換後の不具合はすべて自己責任となりますから、適当な作業は厳禁です。
そこで今回はアイアンをリシャフトするための用具と、手順について紹介します。
自分でアイアンをリシャフトするには覚悟が必要?
シャフトを自分で取り替えることをリシャフトと言います。
アイアンのシャフトを取り替える場合には、いくつかの道具と交換するシャフト、それにグリップを用意しなければなりません。
またカーボンシャフトの場合には、シャフトを抜くときに失敗するリスクがあります。
抜いたシャフトは再利用できない、リサイクル販売できないと考えたほうが良いでしょう。
まずは自分でリシャフトする簡単な手順を確認します。
手順は3段階に分かれていて、最初にアイアンのヘッドからシャフトを抜き、次に新しいシャフトを入れて最後にグリップを装着して終了です。
リシャフトをはじめる前に確認しておかなければならないのは、失敗すると大きな事故に繋がることを認識しておくことです。
新しいシャフトの装着が不十分で使用中にヘッドが抜けて同伴者に当たった場合は、ゴルファー保険の適用外となり自己責任で処理しなければなりません。
リシャフトは自己責任を負うことでもあるので、確実な装着が必須条件となります。
アイアンを自分でリシャフトするために必要な道具を揃えよう
自分でリシャフトするために必要な道具とともに手順を確認しましょう。
まずアイアンのヘッドを熱してシャフトを抜くため、その熱する道具が必要です。
一般的には、ヘッドが変色しないようにヒートガンを使います。
ヒートガンは強力なドライヤーのようなものなので、自火熱のように焦げ痕が付くことはあまりありません。
特にアイアンのリシャフトは1本のみというケースは少なく、3番~9番までもしくは5番から9番までと複数本を交換するでしょうから、ネットなどで最安値のヒートガンを探してみると良いかもしれません。
ちなみに1本だけの場合には、工房のあるゴルフショップに頼むと、「抜き」だけで1000円程度が相場になっています。
また「抜き・挿し」だと2000円になりますから、「抜き」のみを依頼できるところを探す必要はあります。
この熱したヘッドからシャフトを外すわけですが、接着剤が溶けるほど熱しているので直接触ることはできません。
長さ50センチ程度の角材を1本用意して、切込みを入れてヘッドが挟まるようにするのがオススメです。
熱したヘッドを切込みにはめて、グリップを回転させるとヘッドからシャフトとが抜けます。
自分で行うアイアンのリシャフトで面倒な「抜き」のコツ
実際にヒートガンで熱する場合には、アイアンのヘッドとシャフトのつなぎ目にかぶせているソケットを外さなければなりません。
上手く外すとリサイクルできますが、はじめてのリシャフトであれば、カットして新しいものを使ったほうが簡単です。
シャフトが接着されている部分を外側から熱すると、ホーゼルが膨張することでが一時的に接着が緩むので、そのタイミングを見計らって角材に挟んでひねり外しましょう。
このときヘッドはかなり熱くなりますので、濡らしたタオルを巻くことをオススメします。
1回で外れなければ何度もホーゼルを熱して、根気強く作業することが「抜き」のコツです。
抜けたあとは、シャフトを挿していたホーゼルの中に接着剤のカスが残っているので、少し冷ましてからマイナスドライバーで削り、布にホワイトガソリン(オイルライターの油)を湿らせて綺麗に拭き取るようにします。
次でいよいよ自分で選んだ新しいシャフトを挿入するのですが、サンドペーパーで接着部分のシャフト側とホーゼル内部を擦って、接着剤が付きやすくしてください。
この作業を怠ると抜ける可能性が高まるため丁寧にやってください。
この接着剤は硬化が早いので、手早くするためにすべてのものを周辺に置いておくようにしましょう。
自分でアイアンのリシャフトするときに大事なソケットの準備
アイアンのシャフトの先端とホーゼルの内部をサンドペーパーで擦ってから、2液タイプの接着剤をつけるのですが、リシャフトする前にソケットを差し込みます。
接着剤を塗る前に必ずシャフトの先端から差し込むようにしてください。
これを忘れると振り出しに戻って接着剤剥がしから始めなければなりません。
ソケットはきつめを選びますが、変形しないよう丁寧に押し込みましょう。
また一般的にソケットは、ウッド用2種類(8.5ミリ、8.9ミリ)と、アイアン用2種類(9ミリ、9.4ミリ)があります。
基本はスチールが9ミリ、カーボンが9.4ミリです。
自分のサイズを確かめるのが安心ですが、もしも分からなければ1個40円程度ですからアイアン用を2種類とも購入しましょう。
また挿し込む目安が分かるように、古いシャフトの挿入部分を参考にして、シャフトに線を引いておくと最後までしっかり入れることができます。
接着剤は、2液を混合するエポキシ系接着剤のアラルダイトラピッド系が良いようです。
アラルダイトラピッド系の接着剤は、速乾性ではありますが10分程度は硬化しないので、自分で行う場合には時間的に余裕をもって微調整ができます。
自分のリシャフトでもアイアンヘッドが抜けない細工の仕方
アイアンをリシャフトするときは、接着剤を塗ってからが勝負です。
速乾性のものを選ぶと時間に追われることで、最後まで挿し込むことができずに使用中に抜ける原因となります。
また接着剤は満遍なく塗ることで、ヘッドを水没させてもつなぎ目からの水の浸入を防ぐことができます。
接着前の試し装着で、ホーゼルの内径とシャフトの外形に隙間空くようなら、2液の接着剤を混ぜるときに、市販のグラスビーズを入れるとがっちりと固定できます。
ただし市販品とはいえ業務用なので、一生リシャフトする分くらいの量があるため、購入となると気が引けます。
そこで代替えとしてアルミ缶などをヤスリで削って粉にしたものでも構いません。
ティースプーン1杯も必要ないはずですから、自分でリシャフトするときは代用品で良いでしょう。
アラルダイトラピッド系の接着剤は、2時間程度で完全に固着していますが、一応半日程度は乾燥させてから、グリップを装着します。
まずはグリップを装着する位置の汚れや手脂などをホワイトガソリンで拭き取り、乾燥してから新しいグリップを挿入しましょう。
自分でリシャフトしたアイアンの乾燥場所を考えておく
グリップの中に挿し込むシャフトの部分に、接着剤として両面テープをグリップの先端側からグリップエンド、切らずに折り返して裏側も同じようにテープを貼っておきます。
グリップエンドの空気穴をティーでふさぎ、内部にホワイトガソリンを注いで、それを両面テープの上に回しかけます。
両面テープの接着部分が溶けてくるので、空気穴のティーを抜いて、シャフトをグリップの先端から一気に挿し込みましょう。
グリップエンドまで確実に挿入したら、すぐにグリップのセンターを合わせてください。
リーディングエッジをドアの敷居に当てて、ライ角に合わせてシャフトを真っ直ぐにしたときにグリップを握ったときに違和感がなければ、センターマークが最頂部にあるはずです。
グリップが固着するまで余裕を見て2日間ほど乾燥させておけばアイアンのリシャフトは終了です。
自分でリシャフトする工程は、シャフト装着の乾燥時間を入れても3時間程度ですが、グリップの乾燥を入れると2日間後に使用することができます。
なお乾燥するときは、日影で風通しの良いところを選びましょう。
室内では溶剤が揮発して、その臭気で大変なことになってしまうため、あらかじめ保管場所を考えておくと良いでしょう。
自分でアイアンをリシャフトするときにはスピード感が大事
自分でアイアンのリシャフトをする場合には、必要な道具を揃えることと、新しいシャフトとソケット、それにグリップを準備しておきましょう。
今回説明した手順通りに進めてください。
そして接着剤を塗るところからはスピード感を持ちながらも確実な作業をするように心がけましょう。