ウェッジにも規制あり!スピンをかけやすいクラブは不適合

ゴルフには様々なルールがあります。

その中でも意外に知られていないのが、クラブに関するルールです。

ドライバーの飛距離に関するルールは知られていますが、実はウェッジにもルールがあります。

それは、スピン量アップに繋がるクラブは不適合クラブとされることです。

何が不適合?ゴルフクラブにおける様々なルール

今回は、ウェッジに関するルールについて話します。

まずは、ゴルフクラブにかかわる様々なルールについてお伝えします。

ルールを知らずに不適合クラブを持って競技をした場合、ペナルティが課せられます。

そのため基本的なところを押さえておきましょう。

《クラブ本数》

ゴルフクラブはたくさんの種類があります。

ドライバーから、パターまでいろいろな状況に合わせて準備をしたいものです。

しかし、クラブセッティングは14本までと決まりがあります。

コースのセッティングに合わせて、クラブ14本を選ぶようにしましょう。

《反発係数》

「SLE(Spring Like Effect)ルール」を知っていますか。

これは、ドライバーの反発係数に規制をかけたものです。

技術進化とともに、飛びすぎるドライバーが増えたため作られました。

反発係数は0.830を超えると不適合クラブとされます。

《クラブフェース》

意外に知られていないのが、クラブフェースの溝の形状にも規制があります。

これは、ショートアイアン、ウェッジなどに適用されます。

こちらも技術進化によって、スピンがかけやすくなったことから作られました。

なぜ不適合クラブがなくならないのか

ここで、一つの疑問が出てきます。

なぜ、「不適合クラブがなくならないのか」ということです。

ここで、大きく分けると二つのタイプの不適合クラブがあります。

①ルール適用前に開発されたクラブ

各ルールが適用される前に開発・発売されたクラブは、その時点では適合クラブでした。

それがルール適用後から、不適合となったわけです。

メーカーから販売は終わっているものの、新古品・中古クラブとして流通しているクラブ。

②ルール適用後も開発・発売されたクラブ

各ルールが適用された後も、ルールを超えたクラブは最近でも売られています。

これは、あくまでも競技上のルールとして適用となるため、趣味のレベルであれば現時点では利用は可能です。

あくまでもアマチュアの趣味向けに開発されていますが、やはりドライバーで飛ばしたい、ウェッジでスピンをかけてグリーンで止めたいなど、その欲求は存在します。

そういった需要に応えるため、一部のクラブメーカーではいまだに不適合クラブが作られています。

今回はクラブに特化していますが、グローブにもルール不適合のものがあります。

クラブに比べ、グローブはあまり注目はされていませんが、豆知識として覚えておいてください。

ゴルファーがウェッジに求めるものはスピン

ウェッジの不適合クラブが生まれた背景には、ゴルファーの欲求が大きく関係しています。

ゴルフをはじめて、最初はドライバーの飛距離や思った通りにボールが飛んだことなどに楽しみを覚えると思います。

徐々にラウンドを回るようになると、スコアメイクに重視するポイントが変わってきます。

このときに大切なのが、パターも含めて100ヤード以内のショートゲームです。

しっかりとピン側、グリーンに止められるようになったらパターも簡単になりますし、スコアメイクもしやすくなります。

もちろんプロゴルファーも同様な考えを持っています。

ウェッジの役割は、極論を言ってしまえば短い距離の打ち分けとグリーンにボールを止めることです。

しかし、実際はラフやバンカーではスピンがかかりにく、ショットの正確性が欠けてしまいます。

それでもスピン量が上がれば、ボールが止まりやすく、かつコントロールもしやすくなるためショットの正確性が高まります。

このように、ゴルファーはウェッジにスピン性能を求めるのです。

ウェッジのスピン量を抑えるための規制

そこで、考えられたのがスピン量を上げるためのクラブでした。

はじめはウェッジのフェースの溝を変えることで、スピンをかけやすくしたフェースを作るところから始まります。

技術進歩による溝の形状や重心設計のおかげで、誰でも簡単にスピンをかけられるように進化しました。

誰でも簡単にスピンがかけられるため、正確性を競うゴルフからするとあまり好まれませんでした。

そのためフェース面の加工について規制をかけ、スピンがかかりやすいクラブを不適合クラブとする流れができたのです。

溝の形状には、VグルーブとUグルーブの2種類があります。

問題になったのが、後から作られたUグルーブです。

Uグルーブは、溝のスペースが大きく、かつ角が鋭かったため、ボールを食い込ませる形でスピンをかけやすくしていました。

そこで溝の幅は0.035インチ以下、間隔は溝の3倍以上かつ0.075インチ以上と規制を設けたのです。

さらにスピン量を抑えるために、溝の角は丸みのある形と定められ、2014年からすべての競技(トッププロからアマチュアの競技まで)で適用されました。

またUグルーブの溝は、ロフト角が25°以上のものについても禁止とされているため、アイアンだけでなく一部のユーティリティのフェースへも影響します。

ウェッジの不適合クラブのスピン量

では、実際にウェッジのスピン量はどのくらい差が出るのでしょうか。

ボールのスピン量は、フェアウェイ、ラフでかかりやすさが変わります。

ラフの場合、芝が挟まってボールとフェースがコンタクトしにくいため、スピン量が落ちます。

今回参考にしたのは、規制前のクラブ(現不適合クラブ)と規制後のクラブで30ヤードのショットを打ったときのスピン量です。

・規制前のクラブの場合

フェアウェイ 約6200rpm

ラフ 約4250rpm

・規制後のクラブの場合

フェアウェイ 約5700rpm

ラフ 約3500rpm

差は約500rpmとあまり大きくないように感じますが、1割減は実際かなり大きな差です。

ボールをグリーンに止める方法は二つです。

ボールを高くから落として止めるか、スピンで止めるかです。

スピン量が500rpm違うということは、高さも変わるので圧倒的にグリーンで止まりやすいことが分かります。

不適合クラブはコースで使えなくなるのか

さて、ウェッジの不適合クラブについて話をしてきましたが、競技以外の場面ではどうなのでしょうか。

現時点では、2024年までは特に問題なく、競技以外でラウンドする場合は使えます。

しかしその先はどのようになるか、はっきりしていないのが現状です。

不適合の高反発ドライバーもそうですが、スピンをかけやすい不適合のウェッジを使うことはコース運営側からも懸念されることが予想されます。

理由は簡単で、コースの攻略が簡単になってしまうと、訪れる人が減ってしまうなど運営に関わってくることが予想されるからです。

また、極端にスピンがかかる場合、グリーンへのダメージも大きくなるため、維持が大変です。

正確性を競うゴルフ競技という観点で作られた規制ですが、コース運営側からすると他の不安要素が強いと考え、自主的に利用を禁止するところも将来的には出てくると考えていたほうが良いかもしれません。

ラウンドは適合クラブに限る

ウェッジの不適合クラブについて話をしました。

実際、趣味の範囲であれば良いのですが、将来的にラウンドで使えなくなることを考えると、徐々に適合クラブに変えていくことをおすすめします。

不適合クラブは、打ちっぱなしなどの練習場で気持ち良くショットを打ちたいときに使うレベルにしておきましょう。