赤錆の出るアイアンを手入れするなら専用のオイルを使おう!

アイアンに赤錆が浮くようになると手入れが面倒です。

そこで日ごろからオイルで皮膜を作っておくと赤錆を防ぐことができます。

ただしベタつくオイルだと、手についたときにグリップが滑る恐れがあります。

今回は手入れ用のオイルについて、そして赤錆の出るアイアンの扱いについてお話しします。

軟鉄アイアンは日ごろから錆止めオイルの手入れが必要

軟鉄製のアイアンは、日ごろから手入れをしていないと錆が出てくる可能性があります。

アイアンには2つの製法があり、一つは素材となる金属をドロドロに溶かして型にはめて成型します。

それを磨いて製品化することは「鋳造(ちゅうぞう)」と呼ばれて、ポケットキャビティや中空など複雑な構造のアイアンを作ることができます。

一方で熱した金属棒を叩いて鉄分を鍛錬するのが「鍛造(たんぞう)」です。

マッスルバックタイプやシンプルなセミキャビティアイアンが有名ですが、特にウェッジで多く使われています。

素材となる金属は、ステンレスと軟鉄の2つが多く使われています。

ステンレスは厨房施設にも使われている、硬くて錆びない金属ですから手入れは簡単だと言われていますが、軟らかくて錆びやすい軟鉄は錆止めオイルをつけて、日ごろから手入れをしないと大変なことになってしまいます。

軟鉄アイアンで浮いた錆は、錆びないはずのステンレスアイアンに接触すると、赤い錆色が付着して、磨いても取れないことがあります。

そうしてキャディバッグ内に蔓延させないためにも、軟鉄素材のアイアンを使う場合には、日ごろの手入れを欠かさないようにしましょう。

アイアンは表面にオイルで皮膜を作る手入れが大事

錆が浮いてくる軟鉄製のアイアンには手入れが必須です。

使用後のアイアンの表面に、オイルで皮膜を作るだけで錆を防ぐことができます。

元々錆は鉄から浮いて出るものではなく、空気中の酸素と鉄が化合する「酸化」によってできます。

そのため元となる酸素をオイルの皮膜で遮断してしまえば、酸化を防ぐことができるわけです。

店頭に並んでいるアイアンのヘッドが、ビニールフィルムでパッケージされているのも、空気中の酸素との化合を防ぐためです。

1度でも酸化してしまうと、錆は内部まで侵食していくので、ヘッド全体がボロボロになっていく可能性があることから、初期段階から完全防備しているのです。

ただゴルフクラブとして使用し始めると、オイル皮膜やフィルム保護には限界があります。

そこで簡単に取れることのない、錆止めの皮膜が必要になってくるのです。

ただ皮膜を作るからといってどんな油でも良いわけではありません。

キャディバッグからアイアンを抜き取るときにヘッドを触るため、いわゆるミシン油と呼ばれるオイルだと手がベタつく可能性があるので向いていないようです。

アイアンの手入れに使うオイルはベタつきのないものを選ぶ

潤滑用のベタつくオイルだとインパクトでボールが滑りそうな気はしますが、実際にはオイルをフェース面に塗ったことだけでスピン量が落ちることはないでしょう。

ただしキャディバッグからアイアンを抜くときに、ベタつくオイルのついたヘッドを握って引っ張り出すことになるため、その手でグリップを握るとグリップが滑り抜ける可能性はあります。

そのため手入れをするときの錆止めオイルは、ベタつきのないものを選ぶことが大切です。

錆止め用のオイルとし有名な「CRC-556」であれば、噴霧してから軽く空拭きをかけると、ベタつきはなく表面皮膜が残っています。

また錆を溶かす効果があるので、吹きかけて磨くと一定の効果を得られます。

元々錆びて外れないネジの上からCRC-556を吹きかけると、錆びたネジ山の中に浸透して外すことができるという代物です。

錆に強いというよりも、錆の中まで浸透できることから、表面の見えない錆にも反応するので、吹きかけて磨けば防錆効果は高くなります。

日本刀用の防錆オイルが手入れに使える?

スプレータイプの防錆オイルは、噴霧して磨くだけなので手入れとしては簡単ですが、およそ10本のアイアンすべてに向けて、室内で吹き付けるとそれなりの臭いが発生します。

また床材がフロアならオイルでピカピカになるでしょうし、カーペットタイプの床材だと臭いがつかないか気になるはずです。

オイルが飛散して困るようであれば、スプレータイプは考え直さなくてはいけない場合があります。

そんなときは、日本刀を手入れするときに使う「丁子油」が良いかもしれません。

アイアンと同じ鍛造で仕上げた日本刀も、同じように錆を防ぐ必要があります。

そのために昔から使われてきたのは日本刀用のオイル、丁子油(ちょうじあぶら)または御刀油(おかたなあぶら)と言われている透明の植物性オイルです。

丁子のつぼみから抽出した油には麻酔作用があることから、歯の治療のときに使われることもあるようです。

それだけに安全性は高いのですが、気になるのは植物性オイルを長期間保存していると酸化するということです。

ある程度の頻度で手入れをしていかないと、高級オイルが無駄になる可能性があります。

アイアンの手入れ用に開発されたオイルを使おう!

日本の伝統的なオイルは、アイアンの手入れでも十分すぎるほどの効果はありますが、手入れの回数が少ない場合にはオイル自体が劣化する可能性があるのがデメリットです。

そこで丁子油の良い部分を残した上で、現代風に改良された手入れ用のオイルがあります。

それは「ソードオイル」と呼ばれているもので、ゴルフ用品の手入れのために開発されたオイルです。

瓶に入っている液体状のオイルを吹き付けますが、ガスで噴出するタイプではないため飛散を心配する必要はありません。

アイアンヘッドの表面に付着したら、ティッシュのようなものでオイルを伸ばすように磨くだけでOKです。

錆止め効果はもちろんのこと、アイアンの劣化を防いでくれると言われています。

またフェース面にオイルの薄い皮膜がある間は、ボールの食いつきが良くなるとも言われていますので、プラス効果も期待できます。

ただしプレー中にキャディが汚れを落とすために、水洗いしたりゴシゴシ擦るとオイルの皮膜はすぐなくなってしまいますから、使用後は常に手入れが必要になることも知っておく必要があります。

アイアンを手入れしてオイルで皮膜を作っても完全ではない

現在アイアンはほとんどありませんが、ウェッジにはノーメッキタイプが存在します。

そのようなウェッジは、すぐ錆が浮いてきてアイアン自体を劣化させてしまいます。

そのため黒錆を付着するガンブルー塗装をすればある程度は長持ちしますが、それでも使用によって黒錆がはがれて、そこから赤錆が出てくることがあるものです。

やはりノーメッキのアイアンが錆びることは仕方のないことだと言えます。

どんなに手入れをしていても、ちょっとした隙に赤錆は侵食してくるものです。

例えオイルをつけていたとしても、完全な皮膜状態を維持していくことは難しく、どこかであきらめの気持ちを持たなくてはいけません。

赤錆が浮いてきて他のクラブに錆が付着するようであれば問題ですが、多少の錆であればゴシゴシ水洗いして空拭きをすれば問題はありません。

1年に何度かは錆取りをしたりオイルを塗ったりといった、しっかりした手入れをするにしても、普段はそう気にする必要はありません。

軟鉄鍛造のアイアンを選んだ時点で、赤錆は覚悟すべきです。

観賞用でない限り、上手く折り合いをつけながら、錆を気にせずに「単なる道具」だと思って扱うことが大切なのではないでしょうか。

アイアンに専用のオイルをつける手入れは本当に必要?

軟鉄鍛造のアイアンの場合、手入れを怠ると赤錆が浮いてきます。

日ごろの手入れとしては、空拭きで汚れと水気を取り、専用のオイルで皮膜を作れば酸化を食い止めることはできます。

ただし軟鉄のアイアンはそこまでナーバスに扱う必要はなく、錆びる道具なのだと割り切ることも大切ではないでしょうか。