変則的なパターの構え方が目立つプロのパッティングですが、試合を観ているとポンポンと入っているため、それが良い構えだと感じるかもしれません。
しかしながら他の人がその変則的な構え方をすると苦労することになる可能性が高いです。
今回は、プロが選んだ変則的な構え方の意味について考えます。
プロのほうが変則的なパターの構え方になる理由
パターの構え方に正解はないと言われていて、唯一あるとすれば「入るパッティング」ができれば、それが正しい構え方だと言えます。
パターの構え方を見ると、アマよりもプロのほうが「変なフォーム」をとっていることが多いようです。
プロにとって入れやすい姿勢であったり握り方であったりしても、それを真似ると入らないことはそれこそアマチュア初心者でも理解できるはずです。
変則的なフォームをしているプレーヤーの多くは、最初からその不思議な構え方をしていたわけではないはずです。
初心者のころはスタンスを肩幅にして、軽い前傾姿勢で首を前に折らずに背筋を伸ばし、肩から真っ直ぐに下ろした手でグリップを握っていたはずです。
しかしながら何らかの理由で、それではないフォームのほうが自分のパッティングができると考えたのでしょう。
1度でも基本の構え方から離れると、どんどん変則的になるのがパターの常で、結果的に不思議な構え方でパッティングをすることになっていきます。
パターの構え方が良くてもプロは入らなくてはダメ!
プロの場合はパターの構え方が格好良くても、入らなければ勝てません。
結果がすべての世界ですから、遮二無二でもねじ込みたいわけですが、そんなに簡単なものではないことは誰もが分かっているでしょう。
パターの難しさの理由は3つあります。
1つ目はパッティングラインを読み切らなければならないことです。
構える前にどの方向にどのくらいの速度で転がすとカップに入るのか、パッティングラインを読む力が必要です。
同じコースでプレーをしても、寸分たがわず同じ箇所からパッティングする機会はないはずです。
仮に同じ箇所から打つ機会があったとしても、芝の状態は日々変わっているため、同じ条件で打つことはできません。
芝の伸び方や刈り方の違い、天候による水分の保有量、目砂の入り方など様々な条件で転がり方は変わってくるものだからです。
つまり毎回初めてのパッティングをすることになるので、芝の状態を読める力は重要になります。
また芝目の強い高麗芝や山岳コースでは、そのコースでの経験値も必要になることから、必ずしも技量が上だからパターが上手いとは限りません。
構え方が変則的なプロの気にしているポイント
パターの難しさの理由としての2つ目は、フェースの向きを合わせることです。
プロの多くが変則的な構え方をしているのは、いかにフェースの向きを正確に合わせるかを考えた結果と言えます。
まずは構える前に、事前に読んだパッティングライン上にフェース面をセットします。
ここで正しい構え方ができていることが絶対的に必要なわけですが、ポイントとなるのはフェースの向きです。
アドレスからのテークバックの引き方や、インパクトでのフェースの向きを左右するストロークの正確性は大切なことです。
しかし1度ヘッドを引き始めると、あとは一連の流れでパッティングをするので、重要なのは最初の構え方なのです。
この一連の動作がスムーズに行えないときは、ストローク方法を変えるよりも、構え方を変えて対処することが多いはずです。
握る手を逆にするクロスハンドや右手の甲側を外側に向けるクローグリップなどが、その代表的な構え方です。
正しいインパクトをするためには、いかにフェース向きをパッティングラインに合わせられるかに尽きます。
プロが意識するパターの構え方は距離とストローク幅の確保
パターの難しさの理由としての3つ目は、距離とストロークの幅を合わせることです。
距離感を重視して合わせようとするとカップの手前で止まったり、強気で打つと限りなくオーバーしたりと、意識が裏目に出たわけです。
結果だけを見るとプロでも同じケースはありますが、プロの場合は芝目や傾斜の読みが外れただけで、大抵は狙った距離を打っています。
パッティングのミスでショートやオーバーしたわけではなく、グリーンを読み切れていないことに原因があるのです。
プロでも極端なショートやオーバーするのは、そのグリーンだけが特殊な状態だったと考えられます。
トーナメントの場合は18ホールのすべてのグリーンの速さが均一で、転がる速度は明示されています。
あとは傾斜と芝目を読めば大きな間違いはないはずですが、実際にはショートやオーバーは起こっています。
トーナメントプロの技量であれば、ワングリップ(約30センチ)以内に近づけるのは難しいことではないはずです。
ところが結果的に距離感が合っていないのですから、変則的な構え方に問題があると考えるのが普通のことです。
プロの構え方が変則なのはパターを動かせなくなったから
プロの構え方が変則な理由は、スタンダードな構え方ではパターを思うように動かせないと感じているからでしょう。
人体構造上、本来両肩から腕を下げて中心で手を合わせた箇所が、もっともバランス良くグリップを構えられる位置のはずです。
しかしながら些細なズレを感じて、グリップの位置をずらしたり握る手を逆にしたりと、修正を加えているうちに、本来の形からはかけ離れた構え方になってしまうわけです。
その状態でパターの調子が悪くなると、「フェースを合わせる」「ヘッドを真っ直ぐに引く」といった動作へ先鋭化していき、クローグリップのような特殊なフォームへと進んでいくことになります。
結果が良ければ問題はありませんが、パターの調子が良くなっても、そのあと調子が悪くなるものです。
そこで行きつく先は、1周回ってシンプルなパッティングの仕方になります。
基点を定めてヘッドを振り子のように揺らすことで軌道を安定させます。
トップの位置から脱力するとヘッドの重さでストロークができるので、最初の構え方さえしっかりしていれば、軌道が狂うことはないはずです。
パターの構え方が変則的になる本当の理由とは?
基点を定めるパターの構え方はそれぞれのプロによって異なりますが、ヘッドの動きはシンプルな振り子の軌道でパッティングができるようにするのが理想です。
すでにルールでは禁止になっていますが、過去にはパッティンラインを跨いで、股間を基点にしてパターを押し出すようなフォームをしていたプロがいました。
下品なフォームだと不評を買い、パッティングラインを跨いで構えることをルールで禁止されてしまいました。
そのあとシューズの横にボールを置き、ターゲットに正対して手を振るように、肩を基点にて打ち出すフォームを開発します。
これが中尺パターとなり、やがて長尺パターへと進化していくのですが、アンカーリングをルール違反として規制されることになります。
プロは常に「入るパッティング」を探していて、その過程で変則的なフォームになっているか、もしくはその変則的なフォームこそが究極の構え方だったのかもしれません。
いずれにしろ、その変則的なフォームに追随しても、アマにとってプラスになる可能性は少なく、なるべくスタンダードに近い構え方をしたほうが修正しやすいのではないでしょうか。
上手くなりたいならプロの真似をすべきでない
プロのパターの構え方を真似しても、パターが上手くなるとは限りません。
多くのプロは変則的な構え方をしていますが、それは求めているものが違う可能性があります。
もしかすると、真似をすることがマイナスになるかもしれません。
アマチュアにとっては、スタンダードな構え方から多少のアレンジにとどめるのが、あとから修正ができる最良の方法だと考えられます。