ヘッドスピードがシャフトの硬さを選ぶ基準になる理由

ヘッドスピードの速さでシャフトの硬さを決めることが多いようですが、その根拠となるものは何かご存知でしょうか。

シャフトが軟らかいせいでインパクトでフェースが開くというのは間違っています。

今回はシャフトの硬さを選ぶときに、ヘッドスピードを参考にする理由についてまとめます。

平均的なシャフトの硬さとヘッドスピードの関係性

シャフトの硬さが自分に合っているかを確かめる手段として、もっとも多いのがヘッドスピードとの照合です。

ヘッドスピードを出すためには、シャフトの硬さとの相性が重要だということを示されているからです。

一般的な男性ゴルファーのヘッドスピードは40m/sと言われています。

ヘッドの構造やインパクトの位置によって飛距離に違いはありますが、40m/sの場合は210ヤードの計算です。

もっとも、この210ヤードの飛距離に、プラス20ヤード程度のランがあるため、セカンド地点は230ヤード地点ということになります。

この230ヤードが平均的なドライバーの距離だと思うか、もっと飛ぶはずと思うかは分かりません。

しかしながら、これが平均的なドライバーの距離であることに間違いはありません。

この230ヤードドライバーショットで使用するシャフトの硬さは「R」、つまりレギュラーをメーカーは薦めています。

Rシャフトの飛距離については、メーカーによって違いはありますが、大半のメーカーはヘッドスピード40m/sをRシャフトの範囲内としています。

シャフトの硬さを選ぶときはヘッドスピードの速さが基準

シャフトの硬さを選ぶときに、「自分は他の人よりも体力があるから、Sシャフトのほうが合っている」と思っているゴルファーがいるようです。

まったく間違いというわけではありませんが、点数をつけるとしたら100点満点中で40点で補習が必要な理解度だと言えるかもしれません。

なぜなら筋骨隆々で体力があっても、ヘッドスピードが速いとは限らないからです。

確かにスイングスピードが速くなる可能性はあるので、ダウンスイングではシャフトがしなるかもしれませんが、それがシャフトの硬さの決め手ではありません。

Sシャフトが推奨するヘッドスピードは46m/sですから、平均的なゴルファーよりも6m/s速くなっています。

理論上ではヘッドスピード1m/sで、飛距離は5ヤード伸びることになっています。

Rシャフトの飛距離が210ヤード、ランを含んだ距離は230ヤードに対して、Sシャフトは240ヤードの飛距離でセカンド地点は260ヤードということになります。

ゴルフ経験者であれば、この距離が体力だけで飛ばせないことは理解できるでしょう。

硬さに迷ったらヘッドスピードがシンクロしたシャフトを選ぶ

ヘッドスピードはスイングスピードだけでは速くなりません。

スイング技術を身につけて、効率良くヘッドスピードを上げるコツを知らなければ、シャフトの硬さにこだわっても意味はないのです。

昔はRシャフトより硬いのがSシャフトでしたから、Sシャフトの適合するヘッドスピードは43m/s以上が多かったです。

するとRシャフトとSシャフトの適合者がシンクロしていたため、多少ヘッドスピードに違いがあっても、どちらでも使えました。

しかしながら、現在はRシャフトとSシャフトの間に新たなSRシャフトを設けているのが一般的です。

RシャフトとSシャフトをシンクロさせる硬さが、SRシャフトの役目となっています。

ちなみにSRシャフトが推奨するヘッドスピードは43m/sです。

硬さの配分としては、RシャフトとSシャフトをしっかり分けて、どちらが良いのか迷う人はSRシャフトで対応できることになります。

これを逆に考えると、SRシャフトを選べば大半のゴルファーは適合するということになります。

ヘッドスピードの速さでシャフトはしなるから、やはり硬さが必要?

シャフトの硬さをマッチングさせる基準に、ヘッドスピードを使っているのには、それなりの理由があります。

良くある間違いに、「シャフトの硬さがしなりを抑制する」という考えがあります。

ダウンスイングでのシャフトのしなりは、スイングにとってマイナスではありません。

このしなりを利用して、ヘッドスピードを上げることが重要だからです。

シャフトのしなりがヘッドスピードを生むとしたら、それを抑制するシャフトの硬さは、飛距離にとってマイナスになるでしょう。

ダウンスイングでシャフトはしなり、緩やかな曲がりを帯びてボールに向かいます。

そのままインパクトをすると、フェースが開いてスライスしますが、インパクトの手前でシャフトをしなり戻りの形にして、しなりとは逆側にたわむようにします。

このしなり戻りがヘッドスピードの速さになるのですが、しなり戻りが大きすぎるとフックしますし、少なすぎるとスライスします。

ちなみに、しなり戻りが大きいのが軟らかいシャフトで、戻りが小さいのが硬いシャフトです。

ヘッドスピードに対するシャフトの硬さはしなり戻りで決まる

ヘッドスピードに対するシャフトの硬さは、しなり戻りの大きさによるものを基準にします。

ヘッドスピードが速いほどしなりは大きくなるので、しなり戻りも大きくなると考えるわけです。

そうすると軟らかいシャフトでスイングするとフックすることになるため、シャフトの硬さを合わせなくてはいけなくなります。

仮にRシャフトで軟らかいと感じたら、すぐにSシャフトを選ぶのではなく、RシャフトとSシャフトがシンクロしているSRシャフトが第一候補です。

その判断の1つとしては、ドライバーの飛距離で照合すると良いかもしれません。

セカンド地点が260ヤードであれば、SRシャフトでも許容範囲ですが、270ヤード以上飛ぶようならSシャフトを選んだほうが安心できます。

ただし飛距離はヘッドスピードだけで生まれるものではなく、スイートスポットでのインパクトの反発力や打ち出す角度、またバックスピンの回転数など他の要素も加わることから、シャフト選びの1つの判断材料としてみると良いかもしれません。

シャフト選びはヘッドスピードによる硬さだけではない

最高水準にいるプロゴルファーを見てみると、腰を痛める前の全盛期の石川遼選手のヘッドスピードは50m/s以上でした。

良く飛んで曲がらないという最高のパフォーマンスでゴルフファンを沸かせたものですが、腰を痛めてから低迷する時代がやってきます。

腰の回転で飛距離を出すと言われるゴルフスイングで、その腰の故障は大変だったことは想像がつくでしょう。

腰を痛める1つの要因が、シャフトの重さだったのではないかと言われています。

数年間の低迷期から復活したのは、ドライバーのシャフトを軽くしたことにあると指摘する識者がいます。

ドライバーの飛距離を落とさず、腰の負担を軽減できる方法として、30グラム以上軽いシャフトを選んだのです。

ここにシャフトの硬さのヒントがあります。

石川プロの使うシャフトの硬さはTXです。

一般ゴルファーがRだSだといっても、腰痛を警戒するトッププロが、エクセレント(Xシャフト)のツアー(T)モデルを使っているわけです。

シャフトの硬さも重要ですが、正しいスイングができているのであれば、それに見合った重さも合わせて考えることが重要だということを教えてくれています。

ヘッドスピードでしなり戻りを推測しシャフトの硬さを選ぶ

ヘッドスピードの速さを基準にして、シャフトの硬さを選ぶのが一般的です。

ただダウンスイングのシャフトのしなりを抑制するために、硬さを求めるのは間違っています。

飛距離を出せるシャフト戻りでフェースを合わすことができるのかが、シャフトの硬さ選びには重要なのです。

しなりは正しく使ってこそ、ゴルフレベルは上がります。