ドライバーが軽いとヘッドスピードが速くなって、飛距離が伸びると言われている一方で、デメリットとして安定性に欠けるとも言われています。
軽量化によって飛距離を得たことと引き換えに、フェアウェイセンターには飛ばせないなんてことにならないよう、自分にとって適正な重さのドライバーの選び方を考えます。
軽いドライバーにメリットばかりではない
昔のドライバーに比べると、今のドライバーは軽くなっています。
昔はヘッドがパーシモンだったため、中心部まで密度の濃い木製でそれなりの重量がありました。
重量が増えすぎないよう、サイズも限られていました。
対して今のドライバーヘッドは、硬い金属のチタンを存分に使っているため、肉厚を薄くし内部は空洞になっているため木製に比べて大分軽く大きくなっています。
またシャフトも重いスチールシャフトから、軽いカーボン繊維に変わってきているため、ヘッドとシャフトが共に軽くなってきています。
この軽いドライバーのお陰もあってか、ヘッドスピードは速くなり格段に飛距離が伸びて、アマチュアでもプロ並みのドライバーショットができるようになってきています。
これはドライバーに限らずフェアウェイウッドやアイアン、新たに増えたユーティリティなども総じて軽量化されてきているため、飛距離が伸びてきています。
アマチュアにとっては飛距離アップしたことで、よりグリーンに近づいてからアプローチができるようになって、プレーを組み立てる上でも以前に比べれば有利になってきています。
しかしながらこうしたドライバーの軽量化が進む中で、デメリットになることも増えてきました。
軽いドライバーのデメリットはスイング軌道の不安定さ
メリットばかりが目立つ軽いドライバーのデメリットは、スイング軌道が不安定になることです。
ドライバー全体の重量が軽くなると、スイングスピードは速くなりますが、「命中率」が高まるとは限りません。
飛距離を構成する3要素は、初速と打ち出し角とスピン量です。
このうちの初速は、ヘッドスピードの速さとスイートスポットでの命中率で算出されます。
つまりインパクトしたボールが速く飛び出すためには、よりスイートスポットに近いところでインパクトをしなければならないわけです。
ところが軽いドライバーの場合は、ヘッドの軌道が不安定になりやすく、上手く命中させることができない場合があるのです。
ましてドライバーはアッパーブローで打ち出すのですから、ヘッドコントロールは通常のレベルブローのスイングよりも難しくなります。
対して重いドライバーはスイング軌道は安定する代わりに、重さが抵抗となりスイングスピードが遅くなります。
ドライバーの軽量化によるデメリットをカバーする鉛板の活用
軽いドライバーのデメリットはスイング軌道の不安定さにあるわけですが、ヘッドにわずか数グラムの鉛板をつけただけで改善されることがあります。
総合的に軽いドライバーでも、ヘッドが重く感じられればスイング軌道は安定してきます。
なぜならヘッドの慣性モーメントが高まれば直進性が増し、フェースの向きが安定するからです。
ただしドライバーのシャフトは長いため、スイングの外周を移動するヘッドは自重による慣性モーメントと空気抵抗によってヘッドは遅れてしまいます。
そうしたヘッドの遅れはインパクトでフェースの開きとなり、スライスの原因になるのです。
ヘッドが重くて大きいとそれだけ遅れるように感じますが、実際にはヘッドを効かせると「しなり戻り」が上手く働き、ヘッドは返ることになります。
トップからスイングの最下点まで下りてくるまでヘッドは遅れ気味になりますが、そこからアッパーブローで打ち上げようとするときに、ヘッドの遅れは解消されます。
この解消とは、シャフトのしなりが戻ることですから、シャフトの力でヘッドスピードが加速しヘッドも戻してくれるということです。
ただ加速しすぎるとシャフトは反対側までしなり、フェースが閉じてフックしてしまうこともあります。
つまり、ヘッドを重くしすぎるのもデメリットであると言えます。
軽いドライバーのデメリットはヘッドコントロールの難しさ
最初に述べたように、軽いドライバーのメリットはスイングスピードを速くすることですが、ヘッドコントロールが難しくなるというデメリットもあります。
この「軽い重い」はグラムの計測値だけではなく、個々の感覚によるものもあります。
ウェイトリフティングで100キロのバーベルを上げる人にとっては軽いクラブでも、華奢な女性にとってはそのクラブが重いと感じることがあります。
つまりどんなクラブでも必ず質量があって、それが軽いか重いかは人それぞれの感覚によるものなのです。
もしもドライバーが軽いと感じるのであれば、その基準となる別のドライバーがあって、それと比較しての軽さということになります。
ベテランゴルファーであればパーシモンと比べて軽いと感じていたかもしれませんが、パーシモンのドライバーを使ったことのないゴルファーにとってはその基準は違うはずです。
実際にスイングをしてみてボールのつかまりが良いと感じた場合、ヘッドが効いていて「重い」と感じるかもしれません。
つまり自分のスイングを基準にして重さを判断しているわけです。
感覚で軽いドライバーを選ぶと、後からデメリットが分かる
ドライバーを振ってみて軽いとか重いとかを判断するためには、ある程度の経験が必要です。
何度かの素振り、もしくは数球の試し打ちでドライバーの重さが分かるとしたら、相当の腕前か経験がなければ判断するのは難しいはずです。
まさにプロ並みの技量を持つようなゴルファーでなければ、分からないといったほうが良いかもしれません。
一般ゴルファーは重さを判断するときに、スイングしてその性能を見分けるのではなく、フィーリングで決めていることが多いようです。
そうした個々の感覚で相性を確認していることが多いため、使ってみてから合わなければ、鉛板やシャフトカットで調整することになります。
そもそも感覚は日によって違うものですし、ゴルフを続けていればスイングスピードは速くなっていくものです。
購入してからデメリットに気がつくような失敗を防ぐためには、基準となるドライバーを決めておくことが重要です。
ドライバーの基準数値を作ればデメリットはなくなる
基準となるドライバーを決めるのは簡単なことです。
今使っているドライバーの調子を見て、荒れ球ばかりであれば、スイング軌道を安定させるために少し重めのタイプに変えれば良いだけです。
そのためには、使用している自分のドライバーを実際にスペック測定して、数値で把握しておくと基準にできます。
事前に計測したドライバーの数値よりも、ヘッドスピードを高めるために軽いものから選ぶ、安定感を求めて重めにするといった場合の選択肢は絞れます。
ここで自分のスイングのデメリットを修正できるタイプを選べば目的は達成できるわけです。
必ずしも重いとバランス良いスイングできて、軽いからスイング軌道が不安定になるわけではありません。
ただし、ドライバーは飛距離を求めるクラブですから、いくら曲がるからといっても、重くし過ぎて飛ばないタイプを選んでしまうのは本末転倒です。
ギリギリの線を考えながら、最大限のパフォーマンスができるドライバーを選ぶことを心がけるのが大事なのです。
デメリットとメリットのバランスを考えた上で選択しよう
ティーショットが荒れ球になるときは、ドライバーが軽いのかもしれません。
軽量ドライバーのメリットはヘッドスピードが速くなり飛距離が出ることですが、ヘッドコントロールが難しくなることがデメリットです。
その中間を見つけることが理想ですが、プレースタイルでどちらかに寄せることもありでしょう。
そうした適正重量と言えるドライバーを選ぶために、今のドライバーの重さを計測して基準を作ることをおすすめします。