ドライバーはスイングが大きくなるため、どっしりとしたスタンスで肩幅よりも広めが安定しそうです。
ただ海外のトップ選手を見ると、肩幅より広めにはしていない人もたくさんいることに気づきます。
そこで今回は、ドライバーのスタンスの幅はどのくらいが良いのか、その基準を考えます。
ドライバーのスタンスは肩幅よりも少しだけ広めが良い?
ドライバーのスタンスは、肩幅よりも少しだけ広めにしたほうが良いと言われていますが、雑誌やテレビで一度は見聞きしたことがあるでしょう。
実はこの肩幅のスタンスには特別な意味などなく、日本古来の武術の構えに押しても引いてもグラつかない「自然体」があり、その流れから下半身を安定させることができると考えたのかもしれません。
そして他のクラブよりも大きく振るドライバーの場合は、自然体に近い肩幅よりもさらに広めのスタンスをとると安定すると考えたのかもしれません。
ただ「肩幅のスタンス」は日本独特の考え方であって、欧米では聞くことはないのです。
少し乱暴な表現かもしれませんが、考えてみると日本人の体型はほぼ同じです。
平均身長の170センチから、プラスマイナス10センチ程度しか違わないのですから、肩幅という枠を決めても違和感がなかったのかもしれません。
ゴルフスイングのバイブルと言われる、ベン・ホーガンの『モダンゴルフ』では、使用するクラブに対するスタンスのとり方は記載されていますが、幅はプレーヤー個人が決めるため記載されていないようです。
ダスティン・ジョンソンのドライバーのスタンスは広めではない!
飛距離を伸ばそうと考えた結果、ドライバーのスタンスを広めにとっているとしたら、一度考え直してみる必要があるかもしれません。
現状で「飛ぶゴルファー」と言えば、ダスティン・ジョンソンの名前が出ると思いますが、彼はスタンス幅を狭くとっているようです。
ボールと体の間隔を狭くして、アップライトな縦振りのスイングをしています。
ただスタンスは狭いですが、テークバックで右足に体重が乗り、左足はヒールアップする寸前の状態になります。
一般的にはこのヒールアップによる体重移動のスイングをすると飛距離を生み出すことはできますが、インパクトのタイミングを掴むのが難しく、球筋の安定が課題になります。
それでもダスティン・ジョンソンの場合には、スタンスを狭くしているために、体重移動の幅が少なく、インパクトのタイミングがとりやすくなっています。
世界で活躍しているトッププロでさえ難しい広めのスタンスを、一般ゴルファーが取り入れたら、結果は火を見るよりも明らかです。
ベン・ホーガンのドライバーのスタンスは広め!
ドライバーのスタンスを広めにしてしまうと、どうしても体重移動を伴うスイングになるため、インパクトのタイミングが合わずに打ち出すボールが荒れてしまう恐れがあります。
それでは広めのスタンスはダメなのでしょうか?
『モダンタイムス』でスタンスの幅については言及しなかったベン・ホーガンですが、実のところ彼は明らかなワイドスタンスだったのです。
身長は170センチ程度で、欧米人としては高くはありませんでしたが、飛ばし屋としても有名でドライビングコンテストでも活躍していたようです。
そのことから、小柄な選手でも飛ばせる理由の1つに、ベン・ホーガンのような広めのスタンスがあると考えてもおかしくはありません。
ただしベン・ホーガンを参考にするのであれば、スイングプレーンをフラットにして、スライスを抑えるためにクローズドスタンスをとらなければなりません。
彼は生涯フックについて悩みを抱えていましたが、当時のドライバーではこの打ち方しかなかったのでしょう。
ちなみに神の子とまで呼ばれたセルヒオ・ガルシアも、同系のフォームにしていますが、現代の高性能ドライバーだとスクエアスタンスでも打つことができるようです。
渋野日向子のドライバーのスタンスは広め!
ドライバーのスタンスを広めにとると、飛距離を伸ばせるのは間違いないようです。
ガルシアだけではなくマット・クーチャーも、ボールとの間隔を広げて、両肩を一対に回転させるテークバックでフラットなスイングをしています。
現代的な横振りのスイングに則したフォームですが、上から下へのダウンスイングがないためインパクトの衝撃が少なく、代わりに体を回転させてスイングをするため軌道が安定し、正確なインパクトが望めます。
簡単に言うと縦振りのスイングよりは飛ばないけれど、正確なショットができるということですが、スイングは日々進化をしていて良い部分だけを抽出したスイングができてきています。
まだ完成形ではなさそうですが、渋野日向子選手は広めのスタンスをとって、ハンドダウンで構えていることから、イメージはフラットなテークバックになるはずです。
フラットなスイングの条件は前傾姿勢が浅いことですが、渋野日向子選手はしっかりと前傾姿勢をとっています。
ドライバーのスタンスを広めにすると横振りになる?
渋野日向子選手のドライバーのスタンスはかなり広めにとっているのが見てとれます。
スタンスを広めにするときは、横振りに近いフラットなスイングになるのが自然です。
渋野日向子選手も同様に、右肩を背中側に引き、両肩は共にアドレスの位置から90度回転しています。
ただスタンスを広めにとる他の選手と違うのは、前傾姿勢を深くしていることです。
前傾姿勢が大きいと肩はより縦に回転しますから、グリップは高い位置に行くはずです。
ところが渋野日向子選手のグリップは、右足の後ろ側にあるのです。
つまりスタンスを狭くして縦振りにするという良い部分と、スタンスを広めにとって横振りにするという良い部分を同時に取り入れているようです。
しかも横振りで警戒しなければならないスライス対策は、トップの位置でフェース面を天に向けるシャットフェースを作って予防しています。
本人は意識していないようですが、左手首を内側に曲げるトップの形がシャットフェースを作っているわけです。
これは長い競技生活で故障の原因となる形だとも言われますので、いずれ変更しなければならないポイントかもしれません。
結論としてドライバーのスタンスは広めではないほうが良い?
全英女子オープンの勝者になったことで、注目の的となっている渋野選手ですが、広めのスタンスで縦振りのアドレスをとった上で、横振りのテークバックでトップの位置の左手首は縦振りの形をとります。
そしてスイングは横振りとなる、新しいスイングスタイルが作られている過程なのかもしれませんが、注目していきたいところです。
一方、一般ゴルファーのスタンスは広めのほうが良いのか、狭いほうが良いのかですが、ドライバーの飛距離だけを考えるとどちらを選んでもそう変わりはないかもしれません。
ただしミートの確率はプロゴルファーとは違って、縦振りに近いほうがインパクトゾーンの軌道は安定し、ミート率を高められます。
対して横振りをするためには、絶対的な柔軟性と、合わせて筋力が必要です。
胸板が厚く筋骨隆々のプロは、大抵横振りのスイングをしています。
それだけウエイトトレーニングに励まなければならないということですが、一般ゴルファーが継続的にトレーニングを続けていけるかは微妙なところもあるでしょう。
ミート率で飛距離を安定して得るためにもスタンスは狭いほうが良いかもしれません。
これからまた道具の進化に合わせてスタンス幅は変わっていく
ドライバーのスタンスは肩幅よりも少しだけ広めが良いとされていますが、それには明確な根拠はないようです。
スイングスタイルによって肩幅は変わるので、自分のスイングを確認することが大切です。
ただしそのスタンス幅もまた数年先には新しいスタイルへと変わるかもしれません。