ユーティリティのロフト角を番手ごとに検証してみよう!

今や、ほとんどのゴルファーが使っているのがユーティリティです。

一昔前は、ロングアイアンを打ちこなせるほど上級者と見られることから、ロングアイアンを練習したものです。

それがユーティリティの登場によって、ロングアイアンで狙う距離を非力でも、経験の浅いゴルファーでも狙えるようになってきました。

そこで今回は、ユーティリティのロフト角と番手に注目してみます。

女子プロゴルファーのセッティングにもユーティリティが目立つ

下のクラブセッティングはとある女子プロのものです。

括弧内はロフト角です。

ドライバー(9.5度)

3番ウッド(15度)

5番ウッド(18度)

4番ユーティリティ(22度)

5番ユーティリティ(25度)

6番ユーティリティ(28度)

6番アイアン~PW

ウェッジ(52度/58度)

パター

この女子プロは、アイアンは6番からしか入れていません。

4,5番のロングアイアンの代わりに、4番~6番のユーティリティを3度刻みで入れています。

実は、このセッティングは、惜しまれつつ引退した宮里藍選手のものなのです。

もちろん、コースによってクラブのセッティングも変えていたのは当然でしょうが、世界的に活躍していた宮里プロが、5番アイアンを抜いて、他のクラブを入れていたことは紛れもない事実です。

一昔前までは、ロングアイアンの番手、特に5番アイアンは女子プロにとっても非常に重要なクラブだったはずです。

それを抜いてまでユーティリティを入れる価値があったということになります。

それほどのユーティリティには、どんなメリットがあるのでしょうか。

次項から詳しく見ていきましょう。

ユーティリティとフェアウェイウッドの関係

まずは、ユーティリティを知ることから始めましょう。

約20年前、一般的な「ウッド」と言えば、1番のドライバー、3番のスプーン、5番のクリークというところでしたが、「7番ウッド」なるものが突如現れ、楽に飛ばせるという触れ込みで大変流行しました。

ショートウッドはこれまでの「ウッドは飛距離を稼ぐためにシャフトが長いもの」という概念を崩し、ロングアイアンが使いこなせない層のゴルファーにとって軽く振れて飛ぶクラブの代名詞となりました。

そこからまだまだクラブの進化は進み、使い勝手をさらに追求したクラブとしてユーティリティが生まれました。

フェアウェイウッドは、ヘッドが大きくスイートスポットも広いため、当たれば高い球筋でグリーンに止まりやすいというメリットがありますが、ヘッドが大きいが故に、構えたときにダフりやすいというイメージを持ってしまうゴルファーも多くいます。

ゴルフはメンタルなスポーツと良く言われますが、構えたときに違和感があるとミスショットになることがほとんどです。

初心者のうちは特に、ウッドを地面から直接クリーンに打つことは難儀なのが現状です。

さらに、ショートウッドと言われるクラブは、市場での取り扱い数が絶対的に少ないというデメリットがあります。

そうなると、番手通りに揃える以前に、構えたときに違和感のないショートウッドに出会えること自体が難しくなってきます。

その面では、ユーティリティは大変充実しており、様々なメーカーから販売され、自分のフェアウェイウッドとアイアンの重量やロフト角のバランスを見て、セッティングすることができます。

クラブの番手のロフト角と飛距離を知ろう

ショートウッドも良さそうだけれど揃えるのは難しそうだと思ったら、ユーティリティをセッティングに入れてみましょう。

ここで、ウッドのセッティングは一般的な1番のドライバー、3番のスプーン、5番のクリークを入れているものとします。

それぞれのロフト角と飛距離を見てみましょう。

平均的な男性のスイングを基準にします。

【クラブ/ロフト角/フルショットの飛距離】

ドライバー/9度/240ヤード

スプーン/15度/220ヤード

クリーク/18度/205ヤード

この後のセッティングで、6番アイアンのロフト角が一般的に31度とすると、間のユーティリティのロフト角は21、25、28度位を入れるのが良さそうです。

その前に、ユーティリティはどのようなラインナップがあるのか確認してましょう。

最近のユーティリティは、17~27度程度のロフト角を持ったものが販売されているようです。

番手としては、メーカーによって違いはあるものの、以下のような区切りが多いです。

あくまで一例ですから、合わないこともあります。

17-18度:2番ユーティリティ
19-20度:3番ユーティリティ
21-22度:4番ユーティリティ
23-24度:5番ユーティリティ
25-26度:6番ユーティリティ
27度以降:7番ユーティリティ

ユーティリティは番手よりもロフト角に注意して

前項でロフト角から見ていったのは、ウッドとアイアンの間を埋めるクラブとしてのユーティリティを選ぶ際に、自分のウッドとアイアンとのロフト角のバランスを見ることが重要となってくるためです。

例えば7番ウッドに気に入っているものを持っていて、6番アイアンは入れていないような場合、7番ウッドのロフト角は21度前後で、4番ユーティリティとかぶってきますから両方入れることはもったいない気がします。

また、6番アイアンのロフト角は30度程度ですから、6番アイアンが苦手ならば、7番ユーティリティを入れることも考えなければなりません。

このように、今自分がしっかりと打てるクラブは何かを把握した上で、足りないものを補っていく必要があります。

同じメーカーで揃える場合は、しっかりとロフト角を刻んで作ってありますから、順に入れていけば問題はありませんが、メーカーをこだわらずに入れるゴルファーは、番手を見るだけでなく、ロフト角をしっかり確認して購入しましょう。

5番ユーティリティと6番ユーティリティを入れて良く見てみたら、ロフト角が同じ25度だったなんてことが起こらないよう注意が必要です。

ロフト角を考えて、自分に必要なユーティリティを

さて、前述しましたロフト角17-18度のユーティリティから見ていきます。

このユーティリティはアマチュアではなかなか使いこなすことができないクラブです。

5番ウッド並のロフト角になるため、200ヤードを飛ばすことを考えた場合、かなりのヘッドスピードが要求されることから、まず5番ウッドを入れているゴルファーなら、その5番ウッドを練習したほうが良さそうです。

次にロフト角19-20度と21-22度のユーティリティですが、この辺りからセッティングに入れているゴルファーが多くなってきます。

番手で言うと3-4番ユーティリティです。

21度前後のユーティリティの飛距離は一般的な男性で180ヤードとなっており、3番アイアンの飛距離に相当します。

そうであれば、3番アイアンだととても打てそうになくても、4番ユーティリティなら何とかなるのではないかと思うゴルファーも多いはずです。

特に非力な女性やシニアゴルファーには取り入れたいクラブかもしれません。

さらにロフト角23-24度、25-26度のユーティリティは、番手で言えば5-6番ユーティリティです。

この辺りは、初心者は積極的に入れたいと思うクラブではないでしょうか。

シャフトは短いため扱いやすく、ロフト角もあるためパワー不足でも高い弾道を打てるからです。

飛距離の目安は一般的な男性で170ヤードというところです。

アイアンで打てない番手はユーティリティに頼る

最後にロフト角が27度以上のユーティリティです。

このクラブはアイアンの番手で言うと6番アイアンのロフト角に近づいてくるため、男性で入れている人は少ないかもしれません。

しかし、アマチュアの女性ゴルファーにとっては6番アイアンはとても難しいクラブです。

そのため女性であればアイアンは7番から入れ、7番ユーティリティを入れることも大いに検討する価値があります。

ユーティリティとアイアンを比べたとき、アイアンのほうが方向性は出やすく、スピンもかかりやすいので、同じ距離を打ってグリーンを狙うのであれば、やはりアイアンが適していると言えます。

ただ、アイアンをきっちり正確に打てるアマチュアゴルファーはほとんどいません。

長くなればなるほど精度が落ちてくるものです。

ここで考えてもらいたいのは、自分がアイアンでほとんどミスなく打てるクラブは何番までなのかを知ることです。

「練習場では打てた」「前回は当たった」のレベルではなく、例えば「6番アイアンなら、8割の確率で160ヤード打てる」というクラブを知ることです。

この場合、5番アイアンになるとミスが増えるということですから、比較的ミスへの許容範囲の広いユーティリティを入れることがクラブセッティングの肝となります。

5番アイアン相当であれば、4番や5番ユーティリティを考えます。

どんな球でコースを攻めるのか、レベルに応じて考えよう

フェアウェイウッド、ユーティリティ、ロングアイアンはロフト角も飛距離も重なってくるクラブです。

そこで、どのクラブを選んで入れるのかは自分の今のスイングレベルと構えたときの感覚、グリーンを狙うのに止めたいのか、転がして乗せるのか、など色々な要素が絡んできます。

「グリーンで止めたい」と思っても止める球を打つためのスイングができなければ、転がして狙うしかありません。

その場合はランが出るクラブを選ぶなど、自分に最適なセッティングを目指しましょう。