アイアンのシャフトをスチールのRにする理由は飛距離にある

アイアンのシャフトはドライバーと違って、スチール製を使っているゴルファーが大半です。

その中でドライバーの硬さに合わせようと、RシャフトにするかSシャフトにするかを迷っているかもしれません。

今回は、アイアンのシャフトの硬さはRが良い理由についてお話しします。

スチールのRシャフトでアイアンの飛距離を求められる?

練習場の打席を見るとアイアンショットで体を慣らしてから、ドライバーでビュンビュンと飛ばしているゴルファーがいるものです。

ドライバーは飛ぶ人、飛ばない人に限らず、カーボンのSシャフトが主流となっていますが、アイアンもフレックスを揃えてスチールのSシャフトが主流となっているようです。

ドライバーは飛距離を求めるからこそ軽いカーボンシャフトが当たり前になっていますが、最近はアイアンも飛距離を気にしている人が多く、ストロングタイプなるものが流行っています。

通常の番手よりの2番手飛ぶと言われる超ストロングタイプのアイアンは、見た目では7番アイアンでもロフト角は5番アイアンと同等に作られています。

飛距離に不安がない人にとっては、「最初から5番アイアンを使えば良いのに」と思うかもしれませんが、ゴルファーとしてのプライドが飛距離を欲しているようです。

ショートホールのティーショットを同伴者が7番アイアンでティーショットしたあとに、5番アイアンを使うのは少し嫌かもしれません。

ゴルファーの高齢化がストロングアイアンを生み出した?

「アイアンに飛距離を求めるのは邪道だ!」 という意見が聞こえてきそうですが、世界的にストロングタイプは人気モデルとなっています。

理由の1つにはゴルファーの高齢化があるのかもしれません。

パワーダウンをカバーしてくれるストロングタイプアイアンは、楽に距離を出せることから若かりし時代と同じ飛距離を出してくれます。

ただシニア層だけがストロングタイプのアイアンを使うわけではなく、総体的にゴルファーの飛距離が伸びただけという点を考えると、他者との比較は意味がないかもしれません。

そもそも飛距離が生まれる大きな要因は、ヘッドスピードの速さにあります。

ヘッドスピードが速いほどインパクトの衝撃は強くなり、大きな反発力でボールを打ち出すことができるからです。

ヘッドスピードの速さは、トップから振り下ろすときのスイングスピードと、インパクトの直前でコックをリリースするときに生まれるヘッドスピードの加速が影響します。

ただヘッドスピードを速くしたいのであれば、スチールのRシャフトよりもカーボンシャフトを使ったほうが効果は現れると考えられます。

アイアンはカーボンよりスチールのRシャフトが良い理由

飛距離を求めるドライバーはカーボンシャフトを使っていても違和感がないのに、アイアンはスチールシャフトでなければならない理由は「安心感」にあるかもしれません。

ライの状況によっては鋭角的なスイングが要求されるアイアンの場合、芝に打ち込むことでシャフトに負荷がかかるためスチールシャフトが好まれているようです。

「鉄は硬い」というイメージが脳裏に焼きついていますから、炭素繊維でできているカーボンシャフトよりも丈夫であろうという発想です。

考え方として間違っていませんが、最近のカーボンシャフトの硬さは、ドライバーのシャフトでもご存知の通りXシャフトがあるほどです。

軟らかいRシャフトのスチールよりも、硬さの観点からするとカーボンのXシャフトのほうが、はるかに硬いことになります。

一方で丈夫さの観点からすると、鉄と炭素繊維のどちらに軍配が上がるかは評価の仕方によって変わります。

例えば鉄でできていた飛行機のボディは、炭素繊維に移行しているわけですから、単純な丈夫さという点でカーボンシャフトに分があるようです。

スチールシャフトならRとSのどっちが良い?

カーボンシャフトとスチールシャフトを比較すると、カーボンは引きに強く、スチールは圧縮に強いと言われています。

つまりアイアンを芝に打ち込むときの丈夫さは、スチールのほうが上ということになるわけですが、飛行機のボディになるくらいですから、打ち込んだくらいで折れる心配はないはずです。

ただ「鉄は硬い」という、ある種の神話的なものが変わらず続いているため、スチールシャフトから離れられないのかもしれません。

もちろんカーボンシャフトが開発された当初は強度に不安があったのかもしれませんが、これだけドライバーのシャフトとして認知されているのですから、飛距離を考えるのであればカーボンについて考え直してみると良いかもしれません。

一方スチールシャフトを見ると、強度と硬さが一緒になっている場合があるようです。

ただ丈夫さを表す強度と、シャフトのしなりを表す硬さは別物です。

一般的にスチールシャフトを選ぶ場合にはSシャフトを選びますが、中にはRシャフトを選ぶこともあるようです。

このときのシャフトのRとSの違いが分かっていないと、飛ばないアイアンになってしまいます。

アイアンのスチールシャフトの硬さがR推奨の理由

アイアンのシャフトをスチールにする場合、特別なことがない限りシャフトの硬さはRにすべきです。

ドライバーの長さは45インチ前後で、ダウンスイングをすると細いシャフトはしなります。

そのシャフトのしなりを戻すことでヘッドスピードを上げてインパクトをするためです。

しかしながらシャフト戻りが大きいようなら、Sシャフトのような硬いシャフトを選ぶことになりますが、通常はRシャフトでしっかりシャフト戻りを使ったスイングを目指すほうが楽につかまって飛ばせます。

そうしたドライバーのように飛距離にこだわったスイングをするのであれば、インパクトの直前でコックをリリースして、しなり戻りをするためのテクニックを駆使するかもしれません。

対してアイアンはターゲットまでの距離に合わせるスイングが多いため、シャフトのしなりが発生するほどスイングをしているのか疑問の余地があります。

つまりシャフトのしなりを発生させられない硬いだけのシャフトはスライスの要因となりますので、アイアンショットでもスイングスピードが速くなるのでなければ、Rシャフトを選択するべきです。

スチールのRシャフトがアイアンはコントロールしやすいかも?

スチールのRシャフトであれば、丈夫さを感じながらも硬すぎずに、インパクトでアイアンのフェースを合わせることができると考えられます。

ただしSシャフトのほうが良いという場合もあります。

アイアンは3番アイアンよりも9番アイアンのほうがヘッドが重く作られています。

シャフトが短くヘッドが高慣性モーメントであるため、ショートアイアンのほうが「球のつかまりが良い」と感じられます。

ところがつかまりが良すぎると、左側に打ち出すかフックすることになります。

いわゆる引っ掛けを修正するには、グリップを短く握ってコンパクトなスイングを心がけることになりますが、それでは飛距離がダウンします。

そのようなことになっているとしたら、Rシャフトを止めてSシャフト、さらにはXシャフトを試してみると良いかもしれません。

アイアンの場合には、スライス防止のための軟らかシャフトではなく、フックを防止するためにシャフトを硬くすることは良くあります。

ただし一般的なゴルファーの中で、シャフトのしなりが原因でフックを嫌がるのは稀で、RシャフトからSシャフトに変える人は極わずかです。

そう考えると程良いシャフトのしなりを利用できる、Rのスチールシャフトを選ぶのが一般的ではないでしょうか。

アイアンのスチールシャフトはRの硬さを選ぶようにしよう

アイアンのシャフトでスチール製が好まれる理由は、鉄に対する丈夫さをイメージしているからだと考えられます。

その丈夫なシャフトですが、硬さは少し軟らかいと感じるかもしれないRシャフトが合っています。

もしもシャフトのしなり戻りが邪魔になるようであれば、少し硬めのSシャフトを選ぶべきですが、そうでなければRシャフトを選択しましょう。