今回は、スイングについてではなく、クラブの特徴についてまとめます。
特に、ドライバーはアマチュアにとっては扱いが難しく、安定しないクラブのひとつです。
数あるスペックのうち、影響が大きい重心角や重心距離について知ることができれば、考えが変わるかもしれません。
ドライバーの曲がりが大きい理由
アマチュアの悩みの種のひとつがドライバーではないでしょうか。
左右に大きく曲がるティーショットではなかなかスコアが安定しません。
そのため曲がらないように合わせにいくと、今度はスイングが緩んでしまい、飛距離が出ないなんてこともあります。
ドライバーは、しっかり振り切れて、飛距離が出てこそ意味があります。
ドライバーが曲がる理由についてはいくつか考えられます。
●スイング軌道に大きい問題がある
極端なカット軌道やインサイドアウトはボールに横回転を強くかけるため曲がる原因になります。
長いインパクトゾーンを意識して緩やかな弧を描いてスイングできると良いでしょう。
●シャフトの硬さが合っていない
ヘッドスピードにシャフトの硬さが合っていないと、極端に引っ掛けたり、振り遅れたりします。
適正なフレックスにしましょう。
●クラブヘッドの特徴
大型ヘッドのドライバーが返りにくいです。
ボールがつかまらないためスライスが出やすく、また無理に返すと被りすぎてフックになったりもします。
そこで重要なのが重心角です。
重心角を理解することで、ヘッドの扱い方が分かるようになります。
曲がりに大きい影響を与える重心角
アマチュアがあまり気にしていない、きちんと理解していないのはヘッドの特徴です。
大型ヘッドになり、飛距離が出やすくなった一方で、扱い方を理解しないと大きく曲がってしまって逆効果です。
それでは、影響が大きい重心角とは一体どういうものなのでしょうか。
自分のドライバーの重心角を確認してみましょう。
ドライバーを机に置いて、クラブヘッドだけはみ出るようにします。
すると、ヘッドが下に垂れ下がります。
そのとき、シャフトから地面に向かう垂直な線とフェース面で作る角度が重心角です。
重心角が大きい場合、ヘッドが返りやすくなります。
つまり、ボールが捕まりやすいということです。
逆に小さければ、捕まりにくくなります。
垂直方向がスクエアとした場合で考えます。
その向きから水平面までフェースを回転させると想定します。
まず真下を向く重心角0度の場合、重心角が働かないため、フェースターンやシャフトの力などを使って90度分返すことになります。
それに対し、重心角が30度ありシャフトやその他の要素が同じ場合、自ら行うフェースターンの量はどうなるでしょうか。
重心角が30度分働くため、残り60度分だけ回すだけで済むのが分かります。
ここから、自ら行うことが少ないドライバーのほうが捕まりやすいのが理解できます。
影響の大きい重心角と重心距離は切っても切れない
ドライバーヘッドには、もうひとつ重心角と同じくらい大きい影響を与えるものがあります。
それが重心距離と呼ばれるものです。
重心距離とは、簡単に説明するとヘッドの重心を通るシャフト軸線との平行線までの距離です。
それを重心距離と言います。
なぜ、重心距離が重要になるのでしょうか。
重心距離が遠いか近いかで何が変わるのかというと、ヘッドの返しやすさが変わります。
シャフトを中心に重心距離と同じ円を書きます。
重心距離が長いものと短いものを同時に書いたとしましょう。
重心距離が短いものは円周の距離は短く、長いものは長くなります。
その円周を重心が移動する道と考えると、短いほうが最短距離でヘッドが返るのが分かるでしょう。
また、円が大きくなるほどそこにかかる遠心力も増します。
移動距離が長いだけでなくエネルギーも多く必要とするため、ヘッドが返しづらいというわけです。
先程話をしたシャフト以外のその他の要素に当たるのが重心距離です。
重心角と合わせて重要であることが分かります。
自分のドライバーのタイプは?
ドライバーの重心角と重心距離がボールの捕まりに大きく関係することを説明しました。
それでは、自分にはどのようなドライバーが向いているのでしょうか。
●初心者から初級者
ボールの捕まりが標準的なもので練習をすると良いでしょう。
ただし扱い方を考えると、重心角が大きいもの、重心距離は標準のものがおすすめです。
●スライスが強いゴルファー(右へのミスショットが多い)
スライスで悩んでいる人は、ボールが捕まりやすいドライバーが向いています。
つまり重心角が大きく、重心距離が短いものにすると良いでしょう。
●フックが強いゴルファー(左へのミスショットが多い)
フックで悩んでいる人は、ボールが捕まり過ぎないドライバーが向いています。
重心角が小さいもの、かつ重心距離は長めにすることによってヘッドの返り過ぎを防いでくれます
●中級者から上級者
ボールの捕まりが平均的なものが良いですが、初級者とは違い、重心角が小さく、重心距離が短いものが良いでしょう。
ボールの捕まりは平均的ですが、ヘッドの操作性が上がるため、球筋の打ち分けも行いやすくなるからです。
ドライバーを自分のセッティングにするには
自分に合ったドライバーのタイプは分かりましたか。
だからと言って「クラブフィッティングに行って買い替え!」とはならないでしょう。
ドライバーは高価なものですし、今使っているものが自分に合わせられる可能性も少なからずあるからです。
重心角や重心距離を変えることができるウエイト調整機能があるドライバーであれば簡単にできます。
しかしながら、ついていなかったら諦めるしかないのでしょうか。
そんなことはありません。
自分で簡単に貼れるウエイトを使うことで同じ効果を得られるからです。
ゴルフショップに行けば必ず売っています。
まずスライスが気になるゴルファーは、重心角を大きく、重心距離を短くすることが必要です。
ドライバーのソール面にウエイトを貼りますがシャフトの付け根辺りから半分くらいヘッド後方に貼ります。
またフックが気になるゴルファーは、重心角を小さく、重心距離を長くしたいため、トゥ側フェース寄りに貼ると効果的です。
今回細かな理屈は説明しませんが、実際に貼ってみて重心角を確認すれば変わっていることが分かるでしょう。
1~2gで大きい変化が出ることもあるため、貼り過ぎには注意してください。
アイアンも重心角を考える
ドライバーの重心角、重心距離について話をしてきましたが、これは全てのクラブにおいて同じことが言えます。
特にアイアンは本数が多いため、重心角を考えないと精度が上がらない可能性があります。
アイアンはシャフトとリーディングエッジの関係は変わりませんが、ロフトが寝ているクラブほど後方へクラブヘッドが出ています。
ドライバーと同じように、重心角を測ってみてください。
ショートアイアンは重心角が大きいのに対し、ロングアイアンになるに連れて小さくなるのが分かるでしょう。
つまりショートアイアンはフェースが返りやすく、ロングアイアンは返りにくいということです。
シャフトの長さの関係からもフェースの返りやすさは大きく変わります。
つまりボールの捕まりが違うため、同じようにスイングしていてはダメということです。
特にある程度スイングスピードがあるゴルファーは、ショートアイアンの引っ掛けや強いフックが出やすくなります。
理想はミドルアイアンで基準を作り、アドレス時のフェースの開閉やグリップで調整すると良いでしょう。
クラブの特性を知れば、スイングに対する考えも変わる
今までボールが曲がることはスイングが悪いと決めつけていませんでしたか。
それはもちろんかなりの割合を占めることだと考えられますが、もしかしたら残りの割合のせいで曲がってしまっていることもあるのです。
クラブの特性を知り、自分に合ったドライバー選びをして、その残りの割合を減らし精度向上を目指しましょう。