シャフトに貼られたシールには、D0やD2といったバランスが表示されています。
もしもヘッドの効きがいまひとつであれば、数値の大きなものに変えたほうが良いわけですが、今使用中のクラブをバランス調整するのであれば、計算によって導き出すほうが効率的です。
そこで今回はバランスの計算方法についてまとめます。
シャフトの硬さとバランスの関係を知って計算で割り出す
ドライバーの飛距離が伸びている要因として、ゴルフクラブの軽量化があります。
ヘッドやシャフトが軽くなったことでヘッドスピードが速くなり、そのおかげで強いインパクトが実現し飛距離が伸びたと考えられます。
また軽量化されたことで、その軽さを活かしたものへとスイングフォームを進化してきたことも、飛距離アップの要因となっています。
従来の縦振りのスイングから、横振りのスイングになったことで、軸を中心とした円のスイング軌道が重要視されてきています。
それに伴って、シャフトがしなりヘッドが遅れるというマイナス面をカバーするスイングやシャフトが求められるようになってきたのです。
シャフトのしなりを小さくするには単純に硬いシャフトを選べば良いわけですが、それではヘッドスピードが遅くなってしまいます。
そこでスイングに支障がない程度に、シャフトの硬さを設定することが必要になります。
そのとき重要になってくるのが「バランス」です。
ヘッド側を重くすると、シャフトのしなりが生まれインパクトができます。
適当なバランスは感覚で調整することもできますが、計算して割り出す方法があります。
シャフトに表示されたバランスを計算によって数値化する
ゴルフショップに並んでいるゴルフクラブのシャフトに、D0やD2と表示されたシールが貼ってあるため、それを見てバランスは確認できます。
一般的なゴルファーのバランスはD0~D2の範囲と言われていますが、ヘッドスピードによってはD3やD4を選んでも問題はありません。
またD2が合っているとしても、D1やD3を選んだところでスイングに大きな支障をきたすことはないはずです。
ただしドライバーから9番アイアンまでは、同一のバランスにしなければいけません。
「1つのゴルフスイング」がゴルフのセオリーとなっているので、バランスを変えてしまうとスイングリズムもその分だけ変えなくてはいけなくなり、クラブを構えたときに迷いの元となります。
スイングの迷いはトップやダフリとして現れてきますので、それを修正するためには、さらにスイングリズムを変える必要性が生じます。
バランスを統一することには問題はなくても、適正なバランスを見つけるためには、計算によって割り出さなくてはいけません。
バランスの計算に必要なシャフトの重心箇所を探す
ゴルフクラブのバランスを計算するためには、長さと重さを測らなければなりません。
同じ重さのクラブを構えても、長さが違うと振ったとき感じる重さに違いがあるからです。
重さが同じなのに違いを感じてしまうのが、バランスによるものなのです。
そこで、この違いを感触ではなく数値計算によって導くことで、自分に合ったバランスを見つけることができます。
ちなみに同じ重さのクラブでもグリップ側が重いと軽く感じますし、ヘッド側が重いと重く感じます。
どちらが良いかはまさに好みの問題であり、自分好みのクラブを1本探し出してバランスを測れば、あとは計算した数値を見て判断することができるようになります。
まずはゴルフクラブのバランスがとれる重心箇所までのシャフトの長さを測ります。
ゴルフクラブは数値の単位をインチにしていますが、お使いのスケール(メジャー)はセンチ単位になっているかもしれませんので、換算の手間が必要です。
まず紐をシャフトに結んで吊るし、ゴルフクラブが水平になるところを探します。
そしてグリップエンドからその箇所までの長さを測ります。
仮に85センチであれば、「85センチ×0.393701=33.46インチ」と計算します。
バランス計算に必要なシャフトを寝かせて重量計測
ゴルフクラブのバランスを計算するには、長さだけでなく重さも必要なため、長さを測ったら次に重さを量ります。
長さと同様に重さも単位はオンスを使いますので、秤のグラム表示をオンスに変換する必要があります。
ゴルフクラブは重たいパターでも600グラム程度ですから、キッチンスケールで十分ですが、小数点1位まで測れるものを使います。
キッチンスケールの上に、ヘッド寄りにシャフトを寝かせてバランスを取りながら計測します。
仮に310グラムであれば、「310グラム×0.035274=10.9オンス」と計算します。
これでゴルフクラブの長さと重さを知ることができたので、あとはバランス計算をすれば良いだけです。
まずバランスを計算する上での起点が、グリップエンドから14インチヘッド側にあることを覚えておき、最初に計算するのはゴルフクラブの重心位置の長さから起点となる14インチを引いて、キッチンスケールで量った重さを乗じます。
例として扱った33.46インチの長さと、10.9オンスの重さで計算すると、「(33.46-14)×10.9=212.114」になります。
この数値を基にして、バランス値を計算します。
シャフトの重心箇所と総重量を基にバランスを計算する方法
先ほどの計算値を基にしてバランス値を導き出します。
次の計算は「212.114×0.57-97=23.9」となりますが、23.9は四捨五入し、「24」が計算値になります。
この計算値24をバランス値で確認します。
起点となるD0を25と定めると、D1は26、D2は27、一方C9は24、C8は23となります。
このケースの場合には24のためバランスがC9となったわけですが、自分が良いと感じるのがD2であれば、ヘッド側を重くしなければなりません。
また好みとするのがD0であれば1ポイントの差ですから、あえてバランスを変更する必要はないはずです。
長さや重さは違っていてもバランスが同じであれば、同じリズムでスイングができるので違和感はありませんが、バランスが違うと振り難さを感じるはずです。
ゴルフクラブを選ぶときには、シャフトに表示されているD0やD2の表示を確認することがやはり重要になってきます。
バランスの感じ方は使い手次第
シャフトのバランス計算ができたとしても、どのバランスが自分にとって合っているのかは分からないものです。
「ボールをつかまえる」とか「ヘッドが効いている」と表現することはありますが、それをバランスで見るとヘッド側が重い傾向が当てはまります。
問題はどのくらい重ければ、ヘッドが効くと感じるかが誰も分からないことです。
シャフトの表示がD3やD4になっていれば、平均的なD0よりもヘッド側が重いです。
しかし使う本人がヘッド側に重さを感じなければ意味はありません。
その場合は、納得がいくまでヘッドにウェイト(鉛板)貼って重くしていきます。
しばらく使ってみてもその重さが良いようなら、すべてのクラブにウェイトをつける必要性がありますが、このとき番手ごとにバランス計算をすると正確な重さで調整することができます。
ここで気をつけなくてはいけないのが、重すぎるバランス調整です。
D0をD4に変えたり、さらにD6まで重くすると、総重量がかなり変わってしまうので、スイングそのものにも影響を与えます。
極端なバランス変更が必要であれば、一旦調整はストップしてスイングそのものを見直す必要があるかもしれません。
シャフトのシールのバランス表示が合っているか計算する
シャフトに貼られたシールにバランスが表示されていますが、本当に自分にとってそのバランスが合っているのかを再確認する必要があります。
自分にとって最良のバランスを見つけたら、計算によって他のクラブに必要なウェイトの量を見つけられます。
決して1本だけの調整で満足しないようにしてください。