アイアンのシャフトはずっと以前からスチール製が全盛で、カーボンシャフトは少数派と言えます。
ドライバーのシャフトとしてスチールからシェアを完全に奪った絶大な人気を誇るカーボンシャフトですが、アイアンでまだまだ普及しない原因について考えます。
アイアンはスチールシャフトでないと安心できない?
アイアンは重たいほうがスイング軌道は安定すると考えるゴルファーが多いようです。
ゴルフ創成期のシャフトは木製だったことから、芝に打ち込むと折れる心配があり、改良版としてスチールシャフトが作られます。
このスチールシャフトの登場を契機に、ゴルフクラブは進化を続けて現在へと至るわけです。
すでにシャフトはどんな材質で作られても、芝に打ち込んで折れるようなことはなくなっています。
しかも軽量化によってスイングスピードが上がり、より強くインパクトができるようになり飛距離もアップしている状況です。
その結果がハッキリと分かるのが、ドライバーのカーボンシャフトです。
従来のスチールシャフトと比べてはるかに軽くなったことで、シャフトの平均的な長さは3インチも伸びることになります、
回転軸を中心に円を描くスイングをすると、シャフトが長いほど円の最先端にあるヘッドは速く動きます。
ヘッドスピードが速くなったことで飛距離を伸ばすことができたわけです。
このようにカーボンシャフトの恩恵を受けて、その効果を体感していても、アイアンはスチールでないと安心できないと考えている人が大多数います。
スチールシャフトのアイアンへの思い込みが強すぎる!
軽量化されたシャフトが次々と登場している中、アイアンのシャフトについてはスチールに対する思い込みが強いのかもしれません。
カーボンシャフトが世に広まる以前からゴルフに興じていたゴルファーであれば、スチールシャフトへの思い入れはあるかもしれませんが、10年程度のキャリアであれば始めたときからカーボンシャフトの恩恵と信頼はあったはずです。
しかしながらそうしたスチールシャフトを信仰することがない世代でも、アイアンはスチールシャフトが当たり前のようになっています。
スチールシャフトの利点は「丈夫で折れない」ことだったわけですが、すでにその利点はすべてのシャフトが持ち合わせているため選択の対象外になっています。
今では「重さ」がスイングの安定と解釈していて、一定の重さが正しいスイング軌道を作ってくれて、良いインパクトができると考えているようです。
アイアンの重さがスイングの軌道を安定させるというのは、ドライバーのスイング軌道を見れば分かりますが、あくまでも個人差によるものです。
もしかしたらアイアンがスチールシャフトなのは販売店に原因がある?
スチールシャフトのアイアンが選ばれる理由は、店頭に並ぶ商品の大半がスチールシャフトだからかもしれません。
カーボンシャフトが標準装備として既成のアイアンのバリエーションに加えられたころ、スチールシャフトは今よりも重たかった時代です。
そのため使用中のアイアンとカーボンシャフフトのアイアンとの重量差が大きく、扱いに困った人が続出します。
その大きな要因はスイングスタイルが現在と違ったことです。
アイアンの重量を利用して上から下へと振り下ろすスイングが主体だった時代ですから、軽いアイアンではスイングのリズムがつかめなかったのでしょう。
そういった時代にコアなゴルファーほどカーボンシャフトのアイアンを購入して、失敗した記憶だけが残る結果となります。
上級者やキャリアのある重鎮が避けるシャフトですから、広まる可能性は少なくなります。
しかもその軽さから「カーボンのアイアンはパワーのない人に向いている」というレッテルが貼られてしまったことで、販売店の品数も限定されていったのだと考えられます。
スチールシャフトのアイアンは不利かもしれない?
近年のアイアンのスイングはレベルブローが主体です。
昔は大きくターフを削り取って豪快なスイングをしていましたが、今は芝の葉も切り取らないくらいクリーンなショットをしているはずです。
これは縦振りのスイングから横振りのスイングへとフォームが変わってきたことに要因があります。
縦振りのスイングが、まさにヘッドを打ち込むように振り下ろしていたので、頑丈で重たいスチールシャフトが好まれていたわけです。
それが横振りのスイングになると、インパクトの直前でヘッドに抵抗がかからないようにクリーンなショットを目指します。
そうなると重たいスチールシャフトは扱い難いわけです。
本来であれば、ドライバーで多用しているカーボンシャフトを使えば済むのですが、スチール神話によって代用するシャフトもやはりスチールとなっています。
以前のスチールシャフトから比べると軽くなっている、軽量スチールシャフトが現在の主流です。
すでにアイアンもヘッドスピードの速さを気にする時代に入ってきているわけです。
アイアンも軽量化したスチールシャフトになってきている
ターゲットを定めてピンポイントにボールを運ぶのがアイアンの役目ですが、近年はアイアンにも飛距離を求めるようになってきています。
それまでのスタンダードなアイアンよりも、番手1つから2つ分飛ぶように作られているのがストロングタイプと呼ばれるアイアンです。
ソールに刻まれた番手の刻印は7番でも、ロフト角はスタンダードタイプの5番で設定されているようなものをストロングタイプと呼んでいます。
もちろん軽量スチールシャフトを装着していて、ヘッドスピードも速くなっていることも飛距離アップの要因のひとつとなっています。
ストロングタイプのアイアンは飛距離としてはプラスですが、番手間の飛距離が10ヤードだったものが15ヤードになったものも多く、スタンダードタイプに比べて距離調節が難しくなってきています。
アイアンが飛距離を重視したことで、カーボンシャフトは懸案だった重さに対応して重量を増やし、一方でスチールシャフトは軽量化を進めて、アイアンのシャフトでは逆転現象が起こってきています。
アイアンの場合だけスチールシャフトを好む理由とは?
アイアンをスチールシャフトにしたいという想いには根拠はないようです。
すでにスリールシャフトは軽くなり、カーボンシャフトは重くしているわけですから、この逆転のセッティングを見ても、根拠となるものはなくなってきています。
また丈夫さで考えると、カーボンは飛行機やF1カーなどにも使われているくらいですから、芝に打ち込んで折れることはないはずです。
多くのゴルファーがこの逆転現象を知っても、なおスチールシャフトを望むのは信頼感かもしれません。
アイアンにカーボンシャフトを装着した当初は、重量フローから他のクラブが外れることを周知せずにアイアンのみを販売した結果です。
この失敗があとを引き、すでにそのときの状況を知らない世代になっても、信頼感は回復しなかったということなのかもしれません。
ただ性能については一長一短があるため、自分のスイングや技量に合わせたシャフト選びが大切です。
アイアンでもより飛距離を求めたいのであれば、スチールからカーボンに変える時期が来ているかもしれません。
スチールシャフトが好まれるアイアンの時代は終わる?
ドライバーはカーボンシャフトが普及しているのに、アイアンは未だにスチールシャフトが全盛です。
丈夫で折れないとか重たいからスイングが安定すると言った理由があるようですが、今やどの素材のシャフトも折れることはありませんし、スチールは軽量化してきています。
アイアンでも飛距離を求めたいのであれば、進化を遂げたカーボンシャフトについて考えてみる価値はありそうです。
ネックとなるのは、まだスチールより割高という点だけです。