シャフトカットをすると、スムーズなスイングができたり、スイートスポットでの命中率が上がったりとプラス効果を期待できます。
一方、それまでとバランスが変わるため、扱いにくくなる可能性もあります。
そのため今回はカットに踏み切る前に一度考え直すためにも、シャフトカットで注意すべき点を紹介します。
シャフトカットの理由とバランス調整の重要性
シャフトカットをする理由は主にふたつあります。
ひとつは、ゴルフクラブの全長を今よりも短くすることです。
例えば46インチのドライバーを1インチカットして、45インチに変えるパターンです。
わずか1インチ(約2.5センチ)と言えども、その長さで10ヤードも飛距離はマイナスになると言われています。
ところが46インチのときには、スイートスポットでボールをとらえる確率が低く、1インチカットしたことでミート率は格段に上がり、現実的に飛距離がアップすることはあります。
その効果を得るため、振りやすさと命中率の良さを求めてシャフトカットをするわけです。
もうひとつのシャフトカットする理由は、バランス調整のためです。
一般男性の平均的なバランスはD0~D2の範囲に収まっていますが、自分にとってヘッドの効きが強いと感じたときに、シャフトカットをしてD2をD0へ、D0をC8へと変えてヘッドコントロールを意識しないでスイングができるようにするためです。
このふたつのシャフトカットは、それぞれ違う箇所をカットします。
シャフトカットでバランスが偏って扱い難いクラブになる
ゴルフクラブの全長を短くするためにシャフトカットをする場合は、グリップエンドからカットするのが基本です。
この場合は希望する長さがあらかじめ決まっているでしょうから、グリップを外してからパイプカッターやグラインダーを使ってカットします。
基本的にはカットしたあと、新たなグリップを装着すれば完了ですが、グリップ側をカットしたことでバランスが変わります。
バランスがヘッド側にかかっていると、力を抜いてもヘッドの重みを感じるので、自然な状態でインパクトまで振り下ろすことができます。
しかしヘッド側が重すぎると、ボールがつかまり過ぎてしまい、インパクトの瞬間が長く感じて左側に引っ張っていくような感覚になります。
反対にヘッド側が軽くなると操作性は良くなりますが、軽すぎるとヘッドコントロールができずに荒れ球になってしまいます。
つまりグリップエンド側をシャフトカットする場合は、フックがでやすいクラブになってしまう可能性があると言えます。
グリップ側はシャフトカットしてもバランス調整は簡単だが。
シャフトをグリップエンドから1インチカットするとバランスが変わったとすぐに感じるかもしれません。
1インチは約2.5センチですから、親指の太さ1本分をカットしただけですが、それでも気になる人がいるようです。
本来はバランスウェイトを計測して、以前と同じバランスに調整することが望ましいわけですが、グリップエンドからカットするバットカットで同じグリップだとした場合、1インチでおよそ6ポイントダウンです。
その6ポイントはヘッドに鉛を貼って元に戻せますが、1ポイント戻すのに2グラム程度必要です。
つまり1インチカットすると12グラムも貼らなければならないということです。
そして12グラムもヘッドに貼るとシャフトはよりしなるようになり、1段階軟らかく感じてしまうこともザラです。
そうならないようにするためにはグリップ側を軽くすれば良いのですが、グリップ側は5グラムで1ポイントしか変わりません。
6ポイント戻すにはグリップを30グラムも軽くしなければなりませんが、クラブ自体が超軽量になってしまいます。
こうしたことから、バットカットは1インチは余り推奨されず、最高でも0.5インチです。
そうしないとメリットよりもデメリットのほうが際立つ可能性大です。
チップ側のシャフトカットはフレックスが変化する
シャフトの先端をカットすることをチップカットと言います。
一般的にシャフトの先端をカットする目的はフレックスを変更することです。
シャフトの弾力を利用することでヘッドスピードは速くなり、強いインパクトが実現できます。
しかしヘッドの走りが良すぎると、暴れる可能性が高くなり、強いスイングを控えるようになってマイナス効果となってしまうことがあります。
そのような場合シャフトの先端をカットすると、フレックスが変わってシャフトが硬くなります。
ただし問題は切れる量が限られるということです。
またメーカー純正シャフトはできないということです。
シャフトのチップ側はインパクトの衝撃に耐えられるよう一定範囲の強度を高めてあります。
その範囲で接着長を確保できればチップカットはできるのですが、大抵0.5インチまでです。
カスタムシャフトはできるものが多いですが、メーカー純正シャフトはそうした調整を想定していないためできないのです。
装着されたシャフトのチップカットは推奨されない
本来は命中率を上げて飛距離アップのためにシャフトカットをするのに、極端なバランス変更によってヘッドがコントロールできず荒れ球になるようなら、カットした意味がなくなってしまいます。
長さを調整目的のバットカットであれば、多少長めにカットしてもウェイト調整で何とか使えるようにはなります。
しかしチップカットはその調整自体に問題があります。
新品組み上げ時であれば、バットカットと同じようにバランスを考慮するだけで済みますが、装着済みシャフトでは話が変わります。
それにはシャフトの抜き作業が関係してきます。
ヘッドからシャフトを抜くときには、ヒートガンやバーナーで熱して接着剤を壊して引き抜きます。
このとき接着剤だけでなく、シャフトのチップも壊れてしまうことがあるからです。
シャフトのチップカットはできる条件が限られる
シャフトカットをするために、ヘッドからシャフトを抜くときには、シャフトの接続部分のヘッドに高熱を当てます。
ヒートガンを使っておよそ450度で接着部分であるネックの表面を熱することで、内部に熱が伝わり120℃近くになったところで接着剤は壊れます。
接着効果がなくなったところで、ヘッドからシャフトは抜けるようになるのですが、炭素繊維をよって固めたカーボンシャフトの場合も130℃程度で壊れると言われます。
少し多めに熱したほうが確実に外せると思ってヒートガンを長く当てていると、確実にシャフトのチップ側まで壊れてしまうのです。
そのチップをカットしてしまうのだから問題ないと考える人もいるようですが、そもそも先端の高強度範囲は限られているのです。
熱が入った部位をそのまま使っても強度は落ちているため折れる可能性が高く、またその部分をカットしても今度は高強度範囲を超えて折れてしまう可能性があるのです。
新品シャフトへのリシャフトやスチールシャフトなら問題ありませんが、現状装着されたシャフトのチップカットはできないと考えたほうが賢明です。
バランスを調整を考えたシャフトカットが大事
シャフトをカットするということは、それまでのクラブとは別物に改造するということです。
使いやすさや性能アップを求めてシャフトカットするはずが、かえってマイナスに作用することもあります。
まずはカットに入る前に様々な角度からその効果を検証し、また専門家に相談した上でどうしたら良いか考えるようにしてください。