シャフトの性能の違いをゴルフメーカーが統一しない理由

シャフトの硬さがゴルフスイングに影響を与えることは誰もが知るところです。

ところがメーカーや種類によってその性能に違いを設けているため、シャフトのことを知らないと自分に合ったものを探し出すことができません。

そこで今回は、シャフト種類とシャフト選びに必要な見分け方を紹介していきます。

各ゴルフメーカーからシャフトを見極められる知識が必要

ゴルフクラブのシャフトは、メーカーはもちろんのこと種類によっても違うため、自分に合ったものを探すにはシャフトについて深く理解する必要があります。

まずシャフトの種類についてみると、従来からあるスチールシャフトと現在の主流となっている軽量化された軽量スチールシャフトがあります。

そのほかにドライバーやフェアウェイウッドなどに多く使われているカーボンシャフト、それにチタンなどを配合して進化させたコンポジットシャフトがあります。

歴史を振り返ると、木製のヒッコリーのシャフトから、折れないスチールシャフトが登場したことでゴルフは劇的に変わりました。

さらにヘッドやボールなども改良が重ねられ、また優れたスイング理論が確立していき、圧倒的な飛距離を背景にパワーゴルフが全盛となっていきます。

転換期となったのは、木製のヘッドがカーボンやメタルに変わったときです。

軽いカーボン素材のヘッドや、内部が空洞のメタルヘッドによって一気に軽量化へと進み、カーボンシャフトが本格的に導入されていきます。

ゴルフメーカーが開発したカーボンシャフトは凄い!

カーボンシャフトが装着されたゴルフクラブは、軽量化されたことでそれまでにない長さへと変わっていきます。

39インチ以下だったドライバーが45インチ以上になったことでヘッドスピードは速くなり、飛距離アップが実感できるようになります。

ヘッドスピードが一気に速くなったことで、それまでのスチールシャフトと同じ概念ではヘッドコントロールができなくなります。

シャフトのしなりをムチのように利用して、スイング中にヘッドは別な動きをするものになったからです。

それまでもコッキングは使われていましたし、体重移動も行っていましたから、シャフトのフレックスのマッチングについての重要性は十分に注意をしていたはずです。

ただ当時のシャフトのマッチングは、ヘッドスピードの速さに対するシャフトの硬さだけだったわけです。

それがカーボンシャフトを開発したメーカーの努力もあって、軟らかい中にも粘りのあるシャフトができ、シャフト選びが飛びを実現するための手立てになることを確立させていきます。

カーボンシャフトはゴルフメーカーの標準装備ではなかった

軽量化されたシャフトが飛距離を実現するようになると、多くのゴルファーのニーズはスチールシャフトから離れていきます。

ただカーボンシャフトを扱うのはまだまだ限られたメーカーだけで、多くのゴルフメーカーの標準装備はスチールシャフトが主流となったままです。

特に「日本発」のカーボンシャフトでもあることから、巨大マーケットを持つ米国や欧州でカーボンシャフトの良さが認知されるのには時間がかかったようです。

その間にスチールシャフトも軽量化が成功して、カーボンシャフトよりも軽いものを作れるようになります。

こうなると本来であればゴルファーの信頼度がシェア率を左右するのですが、カーボンシャフトには広がりを阻害する別の理由が残されていたのです。

軽量化されたカーボンシャフトは、飛距離において大きな利点を持っていましたが、飛距離を必要としないアイアンには標準装備される機会が少なかったため、シェアを拡大することができませんでした。

ウッドとアイアンでシャフトの種類が違うことは、カーボンシャフトにとってプラスにならなかったようです。

コンポジットシャフトの開発はゴルフメーカーのお陰ではない

当初は炭素繊維でできているカーボンシャフトに、チタンのような金属を混ぜることで硬さや重さを実現し、ウッドとアイアンの重量フローのアンバランスを解消することができたようです。

さらにメーカーは改良を重ねて、シャフトのグリップ側をカーボンにして、ヘッド側はスチールすることで、大きなしなりとトルク(ねじれ)の抑制を実現したコンポジットシャフトを作り出します。

カーボン製の製品はゴルフのシャフトだけではなく、テニスのラケットや釣竿でも活用されていて、それぞれの分野で日々進化を遂げていました。

中でも棒高跳びのポールは、日本のメーカーが作った竹のポールが世界標準だったのですが、戦後の混乱期に出荷することができず、竹に変わる合成繊維のポールが作られるようになります。

その後コンポジットポールが開発されたこともあり、複合したカーボンシャフトは強度を備えた飛びの道具として認知されるようになります。

このようにゴルフ以外のスポーツでは鉄製品以上に丈夫で、しかも軽量であることが評価されているわけですから、当然のようにゴルフメーカーもゴルフ用のシャフトとしてコンポジットシャフトを採用していくことになります。

ゴルフメーカーによって違うシャフトの重さをフローする?

ゴルフメーカーを中心に、「重量フロー」という言葉が注目を集めるようになります。

それまではシャフトの硬さやバランスの重さに注目が集まっていたのですが、ドライバーとそれ以外のウッド、またウェッジを単品で購入することが増えてきたことから、ゴルフセット全体の重量管理が崩れてきたと考えたわけです。

1つ1つのゴルフクラブの性能は納得のできるものなのに、それらを集めてセットにすると重量にバラつきが生まれて違和感があるというのが重量フローによって分かってきます。

ゴルフクラブはドライバーが1番軽くて順に重くなり、ウェッジがもっとも重いクラブになります。

各クラブの重量と長さをグラフに落とし込むと、右肩下がりの線ができますが、この線から極端に外れるようなら扱い難いのが一目瞭然です。

ヘッドとグリップは重量を大きく変えることができないため、シャフトの重量を変えることで重量フローを揃えることになります。

各ゴルフクラブのシャフトを揃える発想はメーカーの思惑?

ドライバーのシャフトは軽いほうが飛距離は生まれますが、ウェッジのシャフトは重いほうがヘッドの軌道は安定します。

そもそもドライバーとウェッジは目的が違うのでシャフトも違うもので構わないのですが、それでも重量フローを意識して揃えると、「扱いやすい」ゴルフセットになると言われています。

確かに重量フローが整っているほうが扱いやすいことは想像できますが、一方でこの考え方はゴルフメーカーの販売戦略なのではないかと疑う人もいるようです。

一般的にドライバーはフルスイングしても、ウェッジは距離を調整するのが普通で、同じスイングをしているわけではないという考え方もあります。

昔に比べるとゴルフコースのレイアウトの難易度が高くなっているので、ウェッジの活用度は大幅に増えてきています。

その場面ごとにアドレスの姿勢やスイングアークが変わり、ティーグラウンドでのスイングフォームとは別物になっているでしょう。

そうであれば重量フローにこだわるよりも、個別の場面でその性能を最大限に活かせるシャフトのほうが良いという考え方が生じても何ら不思議ではありません。

一方でドライバーからウェッジまで、1セットで揃えたほうが重量フローの心配はなくなるという考え方もできます。

個別場面に合わせたセッティングと、統一した重量フローのどちらが、シャフトの硬さと重さの良さを感じるのかは個々のゴルファーが決めることなのかもしれません。

シャフト選びはメーカーやモデルの違いを理解が必要

ゴルフクラブはメーカーやモデルによって、たくさんのシャフトが作られているため、その中から自分に合ったシャフトの硬さや重さを探すことは大事なことです。

そのためにはシャフトの種類や性能についての知識や考え方をしっかり理解し、自分に合ったものがどれなのかを判断できるようにすることが大切です。