ウェッジに飛距離を基準としたフェースの角度は必要ない

アイアンセットは番手間の飛距離を10ヤード間隔で設定するのが基本ですが、それと合わせてウェッジに10ヤード刻みは必要なのでしょうか。

今回はフェース面の角度と飛距離の関係性を元に、ウェッジの選択方法を考察します。

飛距離を求めず角度のある球が打てるウェッジを増やす

アイアンの番手は従来1番アイアンからありましたが、一般的に使われているのは3番アイアンから9番アイアンまでと、ピッチング以下のウェッジです。

近年の傾向としては、飛距離を目的としたドライビングアイアンを外して5番アイアンから9番アイアンまでとし、その分ウェッジの本数を増やす傾向が強くなっています。

そうしたウェッジの本数が増えてきた要因は、全体的にコースの難易度が高くなってきたことが考えられます。

リンクスのフラットなコースでは、転がして寄せるアプローチが主体でしたが、グリーン周りのアンジュレーションとバンカーの配置によって角度をつけて打ち出し、スピンをかけて止まる打ち方が求められるようになってきました。

以前はプロ並みの腕前がないとバックスピンのかかったボールは打てなかったものが、現在では正しいインパクトさえできればウェッジの性能によって誰でも打てるようになっています。

そこで気になるのは、14本のクラブの中で、ウェッジは何本必要なのかということです。

飛距離の間隔とロフトの角度がウェッジに必要なのか?

アイアンセットには9番アイアンまでのものと、ピッチングウェッジ、アプローチウェッジ、サンドウェッジまで入っているものがあります。

この違いはロフトの角度を統一化することで、飛距離の間隔を一定に保つか否かを求めるかです。

簡単に説明すると、3番アイアンから9番アイアンまでは10ヤード刻みで設定されていて、その流れでウェッジも同じ飛距離の間隔にしているものと、ウェッジに飛距離の統一性は必要ないという考え方に基づいて二極化していることです。

一般的なアイアンは、フェースの角度を表すロフト角が4度差になっていて、シャフトの長さは0.5インチ差で作られています。

ロフト角は打ち出す角度とバックスピン量に影響を与えていますし、シャフトの長さはヘッドスピードの速さに影響を与えます。

飛距離の三要素である「初速と打ち出し角とスピン量」をコントロールできるように作られているわけですが、ウェッジにこの統一性が必要ないのはフルスイングによる飛距離を求めていないからということが考えられます。

ウェッジはフルスイングの飛距離よりもロフトの角度で選ぼう

ごく一般的なウェッジのロフト角を確認してみましょう。

9番アイアンのロフト角が40度のとき、アイアンセットのピッチングウェッジは44度、アプローチウェッジは50度、そしてサンドウェッジが56度とロフトの角度の差は6度あります。

飛距離はおよそ10ヤード刻みになっているのですが、ここで大事なことはウェッジにフルスイングの飛距離を求めるかということなのです。

アマチュアゴルファーがグリーンオンできる残り距離は、40ヤード以内が圧倒的だそうです。

もちろんグリーンオンする前にもアプローチショットはしていますから、これにはリカバリーが含まれているはずです。

仮にアプローチの80%が40ヤード以内であれば、それ用のウェッジを1本用意すれば十分に対応できることになります。

同じような考え方のゴルファーは大勢いて、ピッチングウェッジとアプローチウェッジのほかに、ロフト角の違うアプローチウェッジやピッチングサンドを入れて、ピンまでの距離を合わせています。

このことから分かるように、現在のウェッジは4本を常備するパターンが多くなっているということです。

ウェッジのロフトの角度は等間隔の飛距離と関係する

14本のゴルフクラブの中で、ドライバーとパターを除外すると残りは12本です。

仮に5番アイアンから9番アイアンまでのセットにすると残りは7本です。

4本のウェッジを加えると残りは3本ですから、飛距離を考えてフェアウェイウッド1本、ユーティリティ1本を加えても、残り1本を追加することができます。

この1本を飛距離に充てるかアプローチに充てるかは、プレーの内容によって変わります。

飛距離の場合はユーティリティをもう1本追加するでしょうし、アプローチであれば角度のあるロフトのウェッジを入れても良いでしょう。

すでに50度のアプローチウェッジのほかに1本を追加している場合、飛距離の統一性を考えて54度が入っているかもしれません。

そこに追加するのであれば4度差の58度になりますが、このウェッジを使う場面ではフルショットの飛距離を必要としていないでしょうから、60度のロブウェッジという選択肢があるかもしれません。

ただロブウェッジは難易度が高く、また使える状況が限られているので、使用度が極端に低いという可能性があります。

ウェッジにも10ヤード刻みの飛距離と4度の角度が必要?

5本目のウェッジを入れる場合は、使い勝手の良さと使用頻度の多さを考慮すべきです。

1本分余っているから「とりあえず」入れるのではなく、そのウェッジに目的を持たせることが大切です。

つまり、どの場面で使うウェッジなのかをあらかじめ想定しておくと、使い勝手が良くなるわけです。

まず飛距離10ヤード刻みの括りを解除します。

ピッッチングウェッジが44度でサンドウェッジ56度の場合、残り3本の角度を等間隔にしてみます。

44度、47度、50度、53度、56度で均等になりますが、ウェッジのロフト角に奇数はまずないので47度と53度を用意することは困難です。

この時点で合計5本のウェッジで等間隔はできないわけですから、等間隔に意味のないことが分かります。

さらに40ヤード以内のリカバリーショット用としてのウェッジであれば、10ヤード刻みの飛距離としての区分も必要ないので、使用目的に合わせたものを用意するのがベターということになります。

ウェッジの飛距離を無視して必要な角度を用意しよう

アイアンセットからウェッジを抜いて、自分が必要とするウェッジだけを用意するという選択肢があります。

ピッチングウェッジを9番アイアンと同じ等間隔の飛距離を求めるアイアンと考えます。

ピンチングウェッジの44度からは、飛距離を主体とした刻み方を無視してしまえば良いだけです。

すべてのウェッジは40ヤード先にボールを打つことはできるので、あとは球筋の角度だけの問題です。

高く打ち上げて止めるウェッジ、ラフからでもヘッドが抜けるウェッジ、短く刈り込んだ芝からでもトップせずに打てるウェッジというように、それぞれに役割を持たせておけば、ウェッジを揃えるときも使用するときも悩むことはないはずです。

近年のアイアンセットにはウェッジが含まれていないものが多いのは、特殊なスイングをしなくてもプロ並みのアプローチができるようになった半面で、その場面に合ったウェッジが必要になってきたからだと考えられます。

ウェッジは飛距離で刻むよりもロフトの角度設定が大事

アイアンセットの中に含まれているウェッジは、等間隔の飛距離を主体にしてロフトの角度を設定したものです。

感覚的には使いやすいように思えますが、アプローチの場面を想定した揃え方をしたほうが、実際には使い勝手の良いウェッジ構成になるはずです。

一度セッティングを見直してみてください。