シャフトの硬さを選ぶときRよりもSRが適正な理由とは?

シャフトの硬さを表すフレックは一般的にRを基準としていますが、クラブの進化によってヘッドスピードが速くなり飛距離が伸びてきている時代ですから、これからはSRを選んだほうが適正な場合が多いようです。

今回は時代に合わせたフレックスを選ぶときの考え方を紹介します。

シャフトの適正なフレックスを求めるとSRに行き着く?

フレックスは、シャフトの硬さを表すものです。

フレックスはL~Xまで5つの区分で表示されています。

Lがもっとも軟らかく、順に硬くなり、RがノーマルでXがもっとも硬いシャフトになります。

これらの硬さを選ぶときに目安とするのはヘッドスピードです。

一般的にはヘッドスピード40m/s前後をRシャフト、ヘッドスピード45m/s前後がSシャフト、ヘッドスピード50m/s前後はXシャフトが合っていると言われています。

これらフレックスの区分とヘッドスピードの目安について、多少の異論はあるかもしれません。

例えばヘッドスピード43m/sだと、RシャフトとSシャフトのどちらが良いか迷うところです。

実際にヘッドスピードを目安にしてフレックスを決める場合は、RとSの境界値となる42m/sや43m/sのとき、ゴルファーの判断で決めることになります。

ことさら適正なフレックスを求めるのであれば、試打を繰り返して確かめるしかありません。

ただこのようなケースが多いこともあって、ほとんどのクラブメーカーはRとSの中間点をカバーするSRという新しい区分を設けています。

対してシャフトメーカーはSRをほとんど用意していないことも興味深いところです。

SRはSとRの境界点を意識して適正なシャフトを求めたもの

RとSの中間点をカバーッするSRシャフトは、「ゴルファー気質」から生まれたのかもしれません。

表示されているフレックスは、シャフトの硬さを適正に表しているものではありますが、実際に使用してみると一定の硬さとは感じられず、例えばRシャフト程度の硬さを感じても、Sシャフトと表示されていることがあります。

これにはいくつかの理由があります。

ヘッドの重さを表すバランスの違いや、シャフトのしなり箇所を表すキックポイント、さらにねじれを表すトルクが違えば、シャフトの硬さの感じ方が違ってくるからです。

またゴルフの道具は厳格なルールによって規定されていますが、フレックスについてはメーカーによって差があると感じる人が多いはずです。

一定の基準はあってもルールに明記されてはいないため、実際にはメーカーやモデルによって硬さに違いがあるので表示が自分に合っているとは限りません。

硬さの境界点を気にする人にとってはRにするかSにするかを悩むところですが、不明確なその境界点で選びやすくしてくれるとしたらSRシャフトがぴったりなのかもしれません。

適正なフレックスがSRシャフトになる理由はヘッドスピード

フレックスの適正にこだわりがあれば、多くゴルファーにとってSRシャフトが「もってこい」なのかもしれません。

フレックスを選ぶときは、一般的にヘッドスピードを目安にしています。

上から下へと振り下ろすダウンスイングに左手首のリリースを加えることでヘッドスピードは加速されます。

同時にクラブを振り下ろすときの勢いでシャフトはしなり、ヘッドは遅れた状態になっていますが、リリースによってシャフトはしなり戻りとなってヘッド位置も戻ります。

このシャフトのしなり戻りが大きければフェースが閉じてフックしますし、戻りが小さければフェースが開いてスライスします。

スイングでのリリースのタイミングが同じであれば、シャフトの硬さ次第でフックやスライスを微調整することができるとも考えられます。

つまり頻繁にフックが出るようならSシャフト、逆にスライスするようならRシャフトを使ったほうが良いわけです。

ところが一般ゴルファーのヘッドスピードの平均値は42m/sと言われていることからすると、日によって40m/sになったり45m/sになったりと違いがあるものです。

このようにヘッドスピードが変わる人は、RとSをシンクロしているSRシャフトを選んだほうが良いのではないでしょうか。

適正なフレックスを選ぶとSRシャフトになる理由は上達にあり

適正なフレックスを求めるのであれば、ヘッドスピードの平均値を下限にしているSRシャフトが良いかもしれません。

一般的にスイングスピードは素振りを繰り返していると速くなりますが、ヘッドスピードはコツをつかまないと速くはなりません。

野球のマスコットバットのように、ウェイトをつけた重たいクラブでスイングを繰り返していると、徐々にスイングスピードは速くなります。

しかしながらヘッドスピードを速くするには、コックをリリースするタイミングがインパクトに合わせることができなければ速くなりません。

左手でハンマーを握って釘を曲げずに打ち込むには腕を動かさずに手首だけを動かすはずです。

ハンマーのヘッドを持ち上げたときがコック、振り下ろすときがリリースです。

この動作をゴルフのスイングに入れるとしたら、もっとも効果的なのはインパクトの直前です。

このリリースするコツをつかむことができたら、ヘッドスピードはスイングスピード以上に速くなるのです。

このタイミングをつかむまでには少しの時間と練習量が必要にはなりますが、最初にクラブを選ぶときよりはヘッドスピードが速くなることを考えて、Rよりの硬いSRを選ぶと曲がりの心配はなくなるのではないでしょうか。

SRシャフトが適正にならない理由は飛距離にある?

シャフトの硬さをSRにすることが必ずしも適正であるとは限りません。

Rシャフトをノーマルとするのは、選択の目安となるヘッドスピードの平均値が範囲の中心にあるからです。

もしもノーコックのスイングスピードでヘッドスピードが平均値に達するのであれば、コックのリリースを覚えればSシャフトの範囲まで届くかもしれません。

しかしながらそんなゴルファーは極わずかで、普通はコックのリリースを覚えてもRシャフトの範疇であることが多いわけです。

超えることがないSシャフトの硬さを目安にしたヘッドスピードのために、硬めのシャフトで準備しても意味がないことは理解できるでしょう。

しかもシャフトの硬さはしなり戻りを制限することになるため飛距離ダウンに直結します。

現代のゴルフでは正確な方向性や距離感は重要ですが、それにも増して圧倒的な飛距離はドライバーだけではなくアイアンにも望まれています。

そこでSRシャフトよりもRシャフトのほうが飛距離アップの可能性が高いとしたら、選択する硬さは自ずと決まってくるのではないでしょうか。

適正なシャフトの硬さはSRで決めたほうが良い理由

一般ゴルファーの適正なシャフトの硬さはRシャフトだと言われます。

わずかにSシャフトに届くヘッドスピードを持っていたとしても、飛距離を考えるとRシャフトで効率の良いヘッドスピードの加速を考えるべきだからです。

ただゴルファーにとっては、現実を受け入れることができない場合があります。

ゴルファーの多くは、潜在的に「硬いシャフトが上達の印」と考えているので、シャフトの硬さを選ぶときに「RよりもSRのほうが良い」とすすめられると、ついその気になってしまうものです。

いわゆるビジネストークでワンランク上を購入するに至るのですが、実際にSRシャフトを使い続けても違和感はないかもしれません。

なぜならRシャフトとSシャフトの差はヘッドスピードで5m/sですが、SRシャフトはその中間ですから、ちょっとスイングに力を込めるとSになりますし、飛距離を重視するとRになります。

そこで実際にゴルフ場でのティーショットを思い浮かべると、飛距離を狙ったとしても80%程度で抑えているはずです。

もちろんアイアンであれば距離調節が必要ですから、フルスイングをする機会は稀なはずです。

そうしたことから80%のスイングでもSシャフトに入りそうなヘッドスピードの可能性があるのならSR、そうでなければRを選択したほうが飛距離も方向性も安定するでしょう。

現在地と将来を見据えるとシャフトの硬さはSRが適正

一般的なシャフトの硬さはRを推奨していますが、クラブの進化によってヘッドスピードが速くなっているため、やがてRの硬さでは物足りなくなるかもしれません。

もしも現在地でSが硬すぎると判断できるのであれば、将来を見据えた上でSRにすると、身の丈に合った適正なフレックスになるはずです。