シャフト選びでヘッドスピードを目安にしても合わないかも?

シャフトで飛距離を出すというのが最近の傾向ですが、適合するものを選ぶときにスイングスピードを目安していることが多いのではないでしょうか。

しかしながらゆったりスイングして飛距離が出ているプロゴルファーもいるので、スイングスピードの速さと飛距離が必ず関係しているとも考えにくいとは思いませんか。

今回はスイングスピードとヘッドスピードがシャフト選びにどれだけ関係するのか考えます。

ヘッドスピードと飛距離を目安にシャフトを選ぶ!

カーボンシャフトが普及してから、以前よりもシャフトの適合性が注目されるようになりました。

当初は「柔らかい」と「粘りがない」と低評価が目立ち、特にアイアンの場合は今もスチールシャフトが主流となっています。

以前のシャフトはスイングの速さを基準にして、RやS、またXなどを選んでいましたが、最近はスイングスピードとの適応性が求められています。

筋骨隆々で見るからにスイングスピードが速そうなゴルファーと、小柄な女子プロゴルファーのスイングスピードを比較すると、多くの場合は女子プロの方がヘッドスピードは速いはずです。

トーナメントで活躍する女子プロの飛距離は約250ヤード、一方でアマチュアゴルファーの飛距離の目安は230ヤードです。

ヘッドスピードが速いからこそ、インパクトで強い衝撃を与えることができるからです。

もちろんスイングの技術でヘッドスピードは速くなっていますが、同時にスイングに合ったシャフトを選んでいることで、シャフトの力を利用して飛ばせているともいえるのです。

釣竿のようなシャフトに合うヘッドスピードの目安

シャフトは鉄棒のように真っ直ぐな状態でスイングするものではなく、釣竿のようにしなりを利用してヘッドスピードを上げます。

シャフトのしなりはスイングスピードによるものなので、スイングが速いほどしなりは大きくなります。

シャフトのしなりは、グリップに対してヘッドが遅れているということです。

このままインパクトを迎えると、フェースが開いてスライスします。

そしてなによりヘッドスピードは速くなりません。

しなりを利用するためには、スイング中のしなり戻りが必要です。

遅れていたヘッドを元に戻すだけではなく、反対側にたわむようにするのです。

そうすると、腕の動き以上にヘッドの動きは速くなり、ヘッドスピードは加速することになります。

つまりヘッドスピードが速いからといって、必ずスイングスピードが速いというわけではないといえます。

ショップでもシャフトを選ぶときの目安にヘッドスピードを上げることはありますが、ヘッドスピードはコックのリリースや体重移動などが加味されるので、シャフトのしなりに影響を与えるスイングスピードとは違うものと考えた方が良いのです。

シャフト選びの目安は硬さとヘッドスピードがポイント?

一応ショップなどで目安としているシャフトの硬さ(フレックス)とヘッドスピードの関係を確認してみましょう。

シャフトはL・A・R・S・Xの順に硬くなっていきます。

男性ゴルファーの場合は、一般的にRかSを選択することになりますが、メーカーによってはRとSの中間としてSRを加えている場合があります。

ただこのRやSの硬度には統一した基準がないので、メーカーで比較するとRのシャフトが、もう一社ではSで表示されている場合も多々あります。

メーカーによって違いますが、ヘッドスピードとの関係をみるとRはヘッドスピード38~42までを目安にし、Sは40~48までを目安にして、RとSでシンクロさせています。

一般的なゴルファーのヘッドスピードは40前後ですから、RでもSでも問題はありません。

ちなみにフレックス表示のないシャフトでスイングしてみて、RとSの違いが分からなかったという実験データもあるので、その差は微妙なところかもしれません。

シャフトの硬さ選びはヘッドスピードを目安しても意味はない

シャフトの硬さの適合性は、個々によってバラバラです。

もともとスイングスタイルが同じではないので、同じヘッドスピードのゴルファーであっても、一方は硬いと感じ、もう一方は柔らかいと感じることもあります。

これと同じようなものに、クラブのバランスや調子があります。

D0とかD2と表示されているものですが、評価するときには「先調子」や「ヘッドが効いている」と表現することが多いです。

同じクラブを握ってワッグル(ヘッドを揺らす)してみたとき、一方は先調子に感じて打ち出すボールが暴れそうな気がすると不安になり、もう一方は手元調子で球離れが遅く捕まらない球筋になると不安に思う場合があります。

これは個々の「感じ」なので、データによるものではありませんが、そもそも個々の感じ方を表すことなどできないのです。

つまりシャフトのマッチングは、実際に打ってみて、それぞれが判断するしかないということです。

判断する際の目安となるポイントをみていきましょう。

触らずのシャフト選びはヘッドスピードを目安するしかない?

ゴルフクラブに触る前にシャフトの状態を判断するとしたら、メーカーが発表しているデータしか判断材料はありません。

また表示から選ぶとしたら、目安となるのはヘッドスピードとの比較しかありません。

シャフトのしなり具合をRやSだけで判断することはできませんが、自分のヘッドスピードさえ分かっていればある程度の目安にはなるはずです。

ちなみ一般ゴルファーの平均的なヘッドスピードでは、RもSも対象になるので、あとは好みで選ぶしかありません。

ここで問題なのはバランスとの兼ね合いです。

シャフトが柔らかい、硬いと感じるのは、このバランスによるものが大きいようです。

ヘッドが重く感じる場合は、ワッグルすると簡単に揺れるので柔らかいシャフトと感じますし、手元側にバランスが寄っているとワッグルしても揺れないので硬く感じます。

ただしD1とD2といった表記がなければ、実際に振っても見分けることはできません。

違いが分かるのは、池田勇太プロのようにC6くらいにすれば実感できるはずです。

プロのヘッドスピードとシャフト選ぶときの目安は参考になる

池田勇太プロのシャフトは、プロ仕様なのでフレックスは公表されていません。

しかしながらフェアウェイウッドのシャフトやヘッドスピードから推測すると、おそらくXではないかと思われます。

ところがスイングをみると、シャフトはグニャリと曲がっています。

そのバランスはC6(C9)といわれていて、これは一般的には女子ゴルファーに適したものと考えられがちです。

シャフトは硬くてもヘッドが効いているとシャフトはしなり、その反動で飛距離アップは期待できますが、このスペックはどうなのでしょうか。

2018年の平均飛距離は飛ばし屋の若手が多い中、池田プロはそのクラブで第5位にランクされていますから、使い方によって飛距離は違うということになります。

もちろん池田プロのヘッドスピードは、トッププロがマークする50をオーバーしていますから、ヘッドスピードが速い人はSやXと一概に決めるのは間違いです。

最初に手にするとき、ヘッドスピードとシャフトの硬さ、またバランスは目安として使えますが、自分のスイングと合っているかは実際に試打してから決めるべきものだといえまうす。

シャフトを選ぶときのヘッドスピードは目安にならない?

「シャフトで飛距離を稼ぐ」ともいわれていて、適合性が注目されています。

選ぶ際にヘッドスピードの速さを目安にすることは間違いではありませんが、フレックスやバランスはヘッドスピードでは見分けられない場合が多くありますので、実際に試打をして自分に合ったものを選ぶようにしましょう。

それが適正とかけ離れていても自分の感覚を信じるのです。