ゴルフのスコアを少しでも良くしたいと思うとき、皆さんはどのように考えて練習をしていますか?
平均スコア90~100くらいのアベレージゴルファーなら、ショートゲームと言われるアプローチからパターの精度を上げることが一番の近道と言われています。
アプローチはゴルフの基本です。
具体的にその中身を見ていきましょう。
アプローチの基本的な意味を考える
『アプローチ』を調べてみると以下の通りです。
【ある特定の場所、ものに近づく、近寄る、接近する、それから時間的に話を持ちかける、交渉を始める、取りかかる】という意味が出てきます。
ゴルフで使うアプローチも、この語源から来ているので、【物理的に近づく】という意味が最も近いでしょう。
そうなると、近づくのはもちろんピンへということなので、基本的にはピンを狙うショットということになります。
そういう意味では、ショートホールのティーショットもアプローチですし、上級者ならば150ヤードのセカンドショットもアプローチとなりそうですが、一般的に男性ならば100ヤード以内、女性ならば60ヤード以内くらいのショットがアプローチショットとして認識されているのではないかと思います。
アプローチとパターがゴルフを面白くする
ゴルフをする人なら、一度は『ゴルフはアプローチとパターが基本だ』と聞いたことがあるのではないでしょうか。
ゴルフはホールにカップインすることが目的なので、いかにホールまで少ない打数でいけるかをベースに考えるはずです。
そのためドライバーでフェアウェイをキープできるなら、飛ぶほど有利にゴルフを進められますから、皆さんフルスイングで打とうとしますよね。
ゴルフが難しく、また面白いのは、飛ばせば飛ばすほど成績が良いというものではないというところです。
陸上競技などは、タイムが短ければ短いほど良いとか、高く跳べば跳ぶほど良いという判定の競技が多いです。
それはそれで、肉体の限界を突き詰めた究極のスポーツと言えるかもしれませんが、やはり元々の男女の体格の差や老齢による筋力の低下などは、如実に影響を受けてしまいます。
その点、ゴルフは女性でも老齢でも、アプローチとパターの精度を高めることで、体格の良い男性にも勝るとも劣らないプレイができる可能性があるのです。
そこが、性別問わず幅広い年代に人気のあるスポーツとして発展してきた所以でしょう。
パーオン率からみるゴルフにおけるアプローチの重要性
では、実際にコースを回るときのイメージをもって説明していきましょう。
ゴルフでは18ホール中、ミドルコースが一番多く構成されていますので、平均的な360ヤードのミドルコースで考えてみることにします。
ここでは、アプローチの重要性をお話したいので、男性と女性が同じ白ティーから回ったとします。
平均的な男性のドライバーの飛距離230ヤード、そして女性は170ヤードです。
男性は残り130ヤード、女性は190ヤードとなります。
ここまでは圧倒的に男性が有利ですね。
130ヤードのセカンドショットなら、中級クラスの男性であればピンを狙っていけるでしょうから、アプローチとも言えますが、ここで何パーセントの人がグリーンオンできるのでしょうか。
ミドルホールなら2打でグリーンに乗せることをパーオンと言いますが、あるデータによると平均スコアが108のゴルファーはパーオン率ゼロパーセントだそうです。
なんとラウンド中、1回もパーオンできないという数字になっています。
では平均スコア90の人ではどうでしょう。
それでも16.7パーセントです。
それがシングルクラスになると一気に上がり、44.4パーセントのパーオン率です。
つまりシングルになるには、約半分のホールでパーオンしていく必要があるということですね。
今の課題は中級レベルのスコアアップですから、基本的にパーオンはできない想定で進めていきます。
このデータからほぼ全てのホールでアプローチショットをしなくてはいけないという状況になるのが分かります。
アプローチ対決。基本的なショットが残る方が有利か
では、先ほどの男性と女性のミドルホール対決に戻ります。
男性の130ヤードのセカンドショット、グリーンを狙うが右に逸れて傾斜のついたラフに落ちたとしましょう。
ピンに向いてアドレスしたとき、少し右手にはバンカーがあります。
一方女性、残り170ヤードはグリーンを狙えないので、120ヤードを安全に花道に運びました。
男性はエッジまで15ヤード、エッジからピンまで10ヤードというところですが、夏場でラフは深く、グリーンは砲台となっています。
ラフに沈んでいるため、転がすアプローチは難しいと判断しフェイスを開いてロブショットを試みますが、芝に食われてザックリしてしまいます。
フェイスも開いていたため右に出て、右のバンカーに転がり落ちてしまいました。
対して女性は50ヤードのアプローチショット。
サンドウェッジで平均的に打つ距離が50ヤードということもあり、気持ち良くスイングするだけでピンに寄っていくナイスショットとなります。
これをお先に決めて3オン1パットのパー。
男性はバンカーを上手くアウトし、グリーンに乗せるも寄らず、2パット。
結果4オン2パットのダブルボギーという流れです。
こんな状況、良くあると思いませんか?
ドライバーまでは、飛距離差60ヤードもあり断然男性の方が有利だったはずです。
しかし、アプローチから大きく差がついてしまうのです。
原因は、男性のセカンドショットがラフに入ってしまったのも大きいですが、そのラフから寄せていれば同じくパーだったところ、ダブルボギーとなってしまうような攻め方です。
ゴルフでは、基本はピンに近づけば近づくほど有利ですが、それがベアグラウンドだったり、アゴ付近に落ちたバンカーショットだったりすると、途端に難しいショットになってしまいます。
いかに打ちやすいライか、または自分が得意とする距離を残してアプローチを打てるかが重要となってきます。
アプローチの基本は状況を正しく読み取ることから
先ほどの例で見てみると、男性が130ヤードのセカンドショットでグリーンを狙っていったことが間違いだったとは思えませんよね。
しかし、ラフからのアプローチを失敗して、流れが悪くなってしまっただけです。
これがゴルフの怖いところでもあります。
アプローチの難しいところは、状況が複雑に絡み合い、どういうショットを打つか正確に把握する必要があるところです。
多くのゴルファーは、ピンばかりに目が行ってしまい、どういう弾道で落ちてからどのように転がるのかまでイメージしていません。
そして、イメージできたとしてもそれがライによってはものすごく難易度の高いショットになるかも知れず、ミスを誘発する可能性が高くなるのです。
アプローチのミスは、グリーン周りで行ったり来たりにつながり、何打も打つ可能性があります。
まずは、ピンに寄らなくても次にパターで打てるところに持っていくことが基本です。
今回の男性のミスショットでは25ヤードの近距離アプローチ、しかしラフに埋まっている状況でした。
転がすのは無理と判断して、上げようとする意識が強すぎてザックリし、運悪くバンカーに落ちてしまいました。
そのバンカーを1打で出せたという想定ですが、ここで2、3打かかってしまうケースも多々あります。
そうなると、ダブルボギーどころか、ダブルパーなどのトラブルホールになってしまう可能性すらあります。
もしも3打目で寄せることが難しければ、とにかくグリーンに乗せることだけ考えて無理に上げようとせずに、いつものアプローチショットで少しショートし、ピンまで距離を残したが2パットでボギー、という状況だったかもしれません。
こうしたことから3打目のアプローチを確実にグリーンに乗せることがいかに重要か理解できるでしょう。
アプローチの基本となる1本を作るとゴルフが変わる!
アプローチの重要性は分かっても、状況はその時々で千差万別です。
同じ状況は二度とないとまで言われます。
一般ゴルファーは月に1回、2回のラウンドが精一杯なのではないでしょうか。
そのラウンドで、アプローチの様々な状況を判断し、それをクリアするショットをしろというのはなかなか難しい話だと思います。
しかし今回の女性のプレイを振り返ってみると、花道からの50ヤードのアプローチです。
女性のサンドウェッジでの平均的な距離ということもあり、練習場でサンドウェッジを打つときに50ヤードを練習している可能性が高いと考えられます。
そのいつも練習していた距離を打つという状況であったことが成功した大きな要素です。
つまり、練習場でひたすらフルショットの練習をすれば良いわけではなく、自分が自然体で振れるスイングで出る距離をまず把握し、基準となるクラブを一本作ることが大事だということです。
まず、このクラブでいつものスイングなら9割くらいこの距離が出る、という自分の中の物差しを作るのです。
その基準から、少し振り幅を小さくしたり大きくしたり、回転の速さを変えたりすることで、想定した落としどころの距離をきっちり打つ感覚を身につければ、ひとまず安定したアプローチショットができるはずです。
その基準は状況判断にも活かされます。
ラフで芝に食われそうであれば、プラス5ヤード打つつもりでスイングする。
グリーン奥からアプローチするのであれば、グリーンが下っていることを計算して通常の半分の距離を打つつもりでスイングする。
ゴルフで一番の基本となるのは距離感と言われています。
その感覚を特に研ぎ澄まして打つのがアプローチとパターです。
まずは基準を軸に距離感を調整する練習をしてみてはいかがでしょうか。
アプローチとパターがゴルフスコアの7割を占める!
ゴルフのスコアでは4割がパターと言われています。
100のスコアでは40パター、90のスコアなら36パター。
3パットはOBと一緒、なんてことも良く耳にします。
では、そのパター数を縮める要素とは何でしょう。
それはアプローチに他なりません。
2パットで確実に入れられるところに寄せることがアプローチの基本です。
2パットを確実にするには、まず上りのパットが残るようにしたいです。
下りや横からのパターは、かなり難しく、3パットにもなりかねません。
ファーストパットをどういう状況で打てるかによって大きくスコアは変わり、その状況を作り上げるのがアプローチです。
ゴルフの基本はアプローチとパターと言われるのも納得です。
1打でもスコアアップするために、アプローチとパターはセットで考えましょう。