パターを選ぶとき、グリップを選び方の基準においていませんか?
最近大人気のため、店頭では太いウレタン製のグリップが装着されているパターがズラリと並んでいますが、それが本当に自分のパッティングに合っているのかを見極めなくてはいけません。
今回はパターグリップの歴史を振り返りながら、パターグリップの選び方を紹介します。
パターを購入するときグリップは選び方に影響を与えている?
パターを購入するとき、グリップは選び方に影響を与えていますか?
現在は、グリップによってパッティングの成果が違ってくることは周知の事実となっています。
「グリップが有利に働く」という理由でルール上の制限を繰り返してきたパターのグリップですが、その根拠が曖昧なため次々と新しいタイプが開発され、当初の面影はなくなってきています。
元々パターは木製シャフトでしたから、グリップする部分に樹脂を塗り重ねて、その上に皮革や布製のテープを巻いて使っていました。
木製シャフトの断面が円形だったこともあり、これがグリップの基本形となりました。
時代は移りゴム製のグリップが装着されるようになると、断面の形状を変えて作れるようになります。
最頂部を平らにすると方向性が安定することが分かり、多くのゴルファーが愛用します。
さらにグリップの裏側にふくらみを持たせるバックラインを入れて、最頂部の平らな表面を生かせるようになると、市販されたパターの大半はこの形状となり、統一的なパターグリップが完成します。
パターグリップの選び方に関する3つの条件
グリップメーカーが苦労して開発した形状ですが、人気商品が生まれれば安価な後発品が出てくるのは世の常です。
パターの出荷時には正規品が装着されていますが、グリップ交換は後発品を使うようになり、やがてシェア率で肩を並べるようになってきます。
そこで協会はルール改正をして、後発品を違反グリップとした歴史がありますが、これがその後の認定クラブへの複線となり、様々な縛りを設けるきっかけとなったわけです。
現行のルールでも円形の断面を基本としていて、プレーの補助にならないことが大前提なのですが、パターだけは例外として円形でない断面を持てることになっています。
グリップの断面は左右が対称であること、凹凸がないこと、全体的に同じ形状であること。
これら3点がルール上の要素となっていますが、これも例外があるので認定されたグリップが装着されていることがパターの選び方にとっては重要です。
ウレタン製のパターグリップで分かる強度による選び方
ゴム製のグリップ形状でゴルフ業界が揺れたあと、彗星のごとく現れたのがウレタングリップのパターです。
カップインを狙って緊張状態が高まると、グリップ強く握ろうとするのがゴルファーの心理です。
グリップを強く握ると腕が硬直してパターを正しく引くことができなくなります。
その強く握ることを抑制してくれるのが、ウレタン製の太いグリップだったのです。
長年ゴム製グリップが使われていたことで、破れやすいイメージが強いウレタン素材をグリップに使う発想はなかったのかもしれません。
重いゴム製のグリップと違ってウレタン製は軽いため、太い形状にしてもパッティングに悪影響ないと考えられたようです。
ちなみに当時でもウレタン素材の室内用練習ボールが使われていましたから、強度について破れやすいということはありませんでした。
それでもイメージで「ウレタン=弱い」の印象はあったのですが、選び方の対象に強固な材質を必要としていなかったのかもしれません。
このあとトッププロが使用したこともあって、爆発的にウレタングリップが普及していきます。
パターグリップの選び方は流行が最優先
パターのグリップの選び方は、その形状や材質が重視されるように思いますが、いつの時代も「流行」が選択肢の第1位だったようです。
トッププロが使用してロングパットを決め、ショートパットをポンポン入れるのを観ると、自分にもできそうな気がするものです。
ドライバーで300ヤードショットは無理でも、ワンピンのパットなら「プロとそう変わらない」と思わせてくれるのがパターです。
ただ流行を追いかけると失敗することもあります。
我々が感じる流行は、ある意味でメーカーが作り上げたものであって、ニーズから生まれたとは言えない場合があります。
特に同等の機能を有しているパターを買い換える場合には、「時代に先んじる」といった違う視点が提示されている場合があります。
松山英樹プロが渡米して世界ツアーに参戦したころ、当時人気だったウレタン製のピンク色のパターを使用していましたが、「恥ずかしい」という理由でシーズン中に白黒に変更したことがあります。
自分の年齢や技量なども勘案して、違和感のないものを選ぶのも大切なことだと思います。
選び方でもっとも重要な自由度
パターのグリップの選び方で気をつけなくてはいけないのは、1つ目はルールに適合していること、2つ目は流行を追わないこと、そして3つ目にパッティングスタイルは自由だと再認識することです。
太い形状のパターが必ず自分のパッティング合っているとは限りません。
アマチュア界ではウレタン製の太いグリップが席巻していますが、これはゴルフショップで取り扱っているパターの大半が太いタイプのグリップだからです。
世界で活躍するトッププロをみると、圧倒的に細い従来型のパターグリップが使用されています。
現在のトッププロが使用するウレタン製の太いグリップのシェアは3割にも満たないそうですから、効果は限定されていると考えたほうが良さそうです。
さらにルール上は、グリップには「くびれ・膨らみ」を認めていませんが、先細りするテーパーは認めています。
テーパータイプは、操作性が向上すると言われていますが、太いウレタン製のグリップはノンテーパーが主流になっているので、ストロークとの相性を確認する必要はあるでしょう。
何よりパターグリップの選び方に固執しないことが大事
またしてもグレーなルール改正で、パターにおけるアンカリングを禁止しますが、その余波が一見すると不思議なパッティングスタイルへと移行しています。
それまでは人差し指側をヘッド側に向けて握っていましたが、長尺パターでも分かるようにパッティングスタイルが変化して、人差し指側をグリップエンド側に向けて握るスタイルが増えてきています。
この握り方の場合には、太いグリップは必要なく、逆に細めのタイプのほうが扱いやすいようです。
パッティングはシーズン中に変えることはあります。
そのたびにグリップ交換をするのは大変ですし、複数のパターを使い分けするのはもっと大変でしょう。
特にパターヘッドやネックの形状との調和は、パターグリップの選び方とともに重要なポイントになっているはずです。
そういった理由からグリップに固執することなくパターを選び、調子が悪ければウェイトを貼るような気持ちでグリップ交換をして、気持ちを一新させるような選び方がベストだと考えます。
パターの選び方でグリップの優先度は低い
パターの選び方の1つにグリップがあるとしたら、その理由を自分に問いかけてみると良いかもしれません。
流行を追って太いウレタングリップが装着されたパターを選んでいるとしたら、本当に自分のパッティングに合っているか検証してから、納得の上購入することをオススメします。