ユーティリティは男性に比べて非力な女性には、大変ありがたいクラブで、特にレディース初心者には難しいロングアイアンの代わりとなるクラブです。
また女性だけでなく、老齢と共に筋肉が落ちてきた男性にも重宝されています。
ここでは、そんなユーティリティの特性と、初心者が実際コースに出て直面するユーティリティを使うべき場面について考えます。
レディース初心者にやさしいユーティリティ
そもそも、ユーティリティ(utility)とはどのような意味なのでしょうか。
英和辞典で調べてみますと、「実用的」「万能」「役に立つ」といった意味があります。
ゴルフクラブの進化に伴い、扱いやすく役に立つクラブとして開発されたのが、ユーティリティです。
海外では「ハイブリッド(複数の機能を持つもの)」と呼ばれることが多いようです。
ヘッドの大きさ、クラブ全長がアイアンとフェアウェイウッドの丁度中間にあたることが理由です。
YouTubeのレッスン動画などでも「ハイブリッドの打ち方」などと出ていることも多いですね。
ユーティリティのヘッドというと、現在はウッド型のほうが主流となっており、アイアン型は上級者やプロモデルとして設計されています。
この理由は後で述べますが、多くのゴルファーがユーティリティの特性を活かすには、ウッド形状の方が良かったということでしょう。
今回のテーマでもあるレディースのユーティリティ、また初心者向けという意味では、ウッド型のユーティリティの方が打ちやすいのは間違いありません。
ユーティリティ、フェアウェイウッド、アイアン、初心者は何を使うべき?
ゴルフクラブにはパターを除いて、ウッドとアイアン、そして両者の中間的な存在のユーティリティという、3種類の形状のクラブがあります。
ティーショットでは、ほとんどのゴルファーが1番ウッド(ドライバー)を使うことでしょう。
ドライバーはクラブの中で最もシャフトが長く、ヘッドも大きいので飛距離を稼ぎたいときに用いる作りだからです。
しかしながらショートホールやドッグレッグのホールなどで距離を出したくないティーショットでは、もちろん状況によりますがドライバーは使用しません。
レディースティーでいうと、大体のミドルホールは320ヤードくらいでしょうか。
レディース初心者を例に話をしますと、ドライバーでの飛距離は150ヤードくらいです。
すると残り170ヤードをどう攻めるかでクラブを選択します。
120~170ヤード程度の距離では、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアンのどれも使う可能性があります。
次項目では具体的に攻め方を考えてみましょう。
レディース初心者ならパーオンは捨てても構わない
ウッドと言っても1番から7番、モデルによっては13番までありますし、ユーティリティにもたくさんの番手があります。
先ほどの想定通り、残り170ヤードに絞って考えてみましょう。
中級クラスの平均的な飛距離の男性であれば、5番アイアンで2オンを狙っていくという感じでしょうか。
ただしそんな芸当は、レディース初心者には到底無理な話です。
それでは何で打つべきでしょうか。
ここをしっかりと初心者の皆さんには考えてもらいたい部分です。
『まだ170ヤードあるから、ドライバーの次に飛距離の出る3番ウッド(スプーン)だ!』となるのは、スプーンがしっかり打てる中上級ゴルファーの考え方です。
そもそもスプーンをティーアップせずに170ヤードきちんと打てるなら、初心者の域を超えているはずです。
したがって、打てもしないスプーンでダフッてチョロで50ヤードしか飛ばない、もっと最悪な事態として空振りで1打消化にもなりかねません。
レディース初心者は、残り150ヤード以上あったらまず2オンできる可能性はないと思います。
そこから3オン、もしくは4オンでもピンそばにつければ、ボギーを拾えます。
そのため無理に飛ばそうとせず、3打目でグリーンを狙える距離まで「安全に」運べるクラブを選択するべきなのです。
つまりこの場面では、確実に100~120ヤード程度運べるクラブを選ぶのが正解と言えます。
120ヤード打つことができたら、残り50ヤードです。
そうすると、ウェッジでも届く距離になってきます。
セカンドショットで170ヤード狙ってチョロして50ヤードしか進まなければ、まだ120ヤード打たないといけないということになり、精神的にもかなり追い詰められてしまうはずです。
こういう場面では、確実に打てるとまではいかないにしても、大けがをしないというのが鉄則となります。
ゴルフの飛距離とは?初心者はキャリーとランを意識して
今はレディース初心者の攻め方のシミュレーションですから、キャリーの距離が120ヤードという目安でお話しましょう。
キャリーとは、ボールの打ち出しから、ボールが落下したところまでの距離です。
それに対し、落ちてから転がった距離ををランと言います。
グリーンを狙うには距離をぴったりと合わせなければいけません。
その場合は、ランを含めた本当に進むトータル距離を把握する必要があるのです。
初心者でミスが多いのは、自分の球筋がどういうものなのか、あまり把握していないことによる距離の読み違いです。
上級者になればなるほど、どういう打球で打つかコントロールできるようになります。
例えば今の場面での残り170ヤードであれば、ユーティリティを使わず自信を持って5番アイアンでバックスピンをかけて、グリーンに直接落として止めるような攻め方をするかもしれません。
その時は、『170ヤード打てば良いな』と思ってショットしているわけです。
しかし、初心者にはバックスピンを思った通りにかけるなんてことはできません。
そのため170ヤードの内訳を自分のできるショットで考えることが重要になります。
『120ヤードをキャリーで運んで、コースが下ってるからランで20ヤードくらい転がって結果140ヤード。そこから残り30ヤードならサンドウェッジで行けるかな』と考える力がいるのです。
そして、今直面しているセカンドショットでは『120ヤード進めば良いや。でもそれ以上進んでくれたらラッキー』という状況ですので、とりあえず確実に前に進めましょう。
レディース初心者にとってアイアンで120ヤードは難しい
120ヤードキャリーで飛ばすということになると、平均的な飛距離のレディースゴルファーだとアイアンなら4番、ユーティリティなら5番というところでしょうか。
両方とも120ヤードのキャリーを出せるクラブとなっています。
しかし、ロングアイアンを打つのは本当に難しいですよね。
そもそも、ロングアイアン(4番・5番)をクラブセッティングに入れている女性は上級者くらいなもので、アベレージゴルファー泣かせと言われているクラブです。
ではなぜロングアイアンは難しいのでしょうか。
そもそもロングとつく通り、シャフトが長くクラブコントロールが難しいことに加え、ウッド形状のクラブヘッドよりもスイートスポットが狭いので、芯にボールを当てるには、相当精度の高いスイングが求められます。
冒頭で出てきたヘッド形状に関係しますが、アイアンはウッドのようにソールが芝を滑ってくれないため、ボールの上から正確に打ち込むことが求められるのですが、長いクラブを上から打ち込むためには、相応のヘッドスピードが必要です。
このような理由から、非力な女性にはやはり不向きなクラブだと言わざるを得ません。
レディース初心者にとっては、当てることすら難しいクラブなのです。
初心者でも失敗の少ないユーティリティ
では5番ユーティリティはどうでしょうか。
ユーティリティはウッドとアイアンの中間のクラブですから、アイアンと比べ、シャフトの長さは、ユーティリティの方が若干長いことが多いです。
しかしアイアンと比べて軽くヘッドも大きくソールも厚いので、スイングし易く真芯でとらえられなくても飛ぶ、多少ダフってもソールが滑りとりあえず前には進められる、というクラブになります。
まさに非力なレディース初心者にはもってこいのクラブと言えます。
ただし、方向性についてはアイアンよりも横にブレる可能性があります。
そのためユーティリティを使ったセカンドショットで大切なのは、セカンドOBを出さないこと、120ヤード以上飛んだ先で転がって入るようなバンカーや池があるなら、それを大きく避ける方向を向いて打つことが求められます。
もしくは届かないユーティリティの番手を持つといったリスクマネジメントが、スコアアップにつながるでしょう。
得意なユーティリティを作ることがスコアアップの近道!
実際コースに出てみると、練習場で打てていた球が全く打てないなんてことがほとんどです。
レディース初心者の場合、距離を大きく稼ぐことはできません。
では、どうしたら良いのでしょうか。
まずはドライバーでフェアウェイを捉えること。
そしてセカンドショットで得意なユーティリティを作ることです。
セカンドショットを安定させて、残りはショートアイアンで寄せていける、こんなゴルフを目指してみてはいかがでしょうか。