ドライバーの飛距離を伸ばすには、バックスピンの回転数を適正に保たなければなりません。
バックスピンはボールの浮力でもあるため必要なものですが、ブレーキとしてマイナスの効果もあります。
ここではドライバーのバックスピン量と飛距離の関係、またコントロールする打ち方を考えます。
ドライバーの放物線はバックスピンによって適正な角度になる
物を投げたときに最大飛距離を得られる角度は45度です。
45度の角度で打ち出せば、砲弾ならもっとも遠くに飛ばすことができます。
しかしながらゴルフボールの打ち出し角は14度が最適と考えられています。
その理由はゴルフボール自体が受ける空気抵抗と、バックスピンをしながら飛んでいることによる浮力にあります。
物が飛ぶときの理想的な角度45度と、ドライバーが放つゴルフボールの14度には、31度もの差がありますが、その差を埋めてくれるのがインパクトで発生するバックスピンなのです。
打ち出したときは、ボールの勢いが強くバックスピン量よりも推進力が勝っていますが、一定の距離を飛ぶことで空気抵抗を受けているため、バックスピンが効いてきます。
それが浮力となってボールを上昇させ、最頂点まで上がったら、あとは急激に落下していきます。
これがドライバーショットの適正な放物線なのですが、バックスピン量が大き過ぎると浮力が増して飛距離がダウンします。
適正なバックスピンがドライバーの飛距離を伸ばす
ドライバーで打ち出したボールに過度なバックスピンがかかると、途中で急上昇したのちに落下するため飛距離は伸びません。
インパクトでかかるバックスピンは、フェースの斜きが起こしているものですから、ロフト角がある以上必ずバックスピンは発生します。
ドライバーのロフト角は他のクラブに比べて小さいのですが、ヘッドスピードが速いのでインパクトで生じる摩擦も大きくなり、バックスピン量も大きくなってしまいます。
一般的に適正なバックスピン量は2400回転程度ですが、これは理想と言える数値であり、実際には3500回転までなら許容範囲だと考えられます。
そして吹け上がるような上昇をする場合は、4000回転以上だと言われています。
バックスピン量を適正にすることは飛距離アップにとって大事なことです。
そこで問題となるのが、バックスピン量を減らす方法を知らないことです。
普通にスイングをしてインパクトをしていても、ドライバーのバックスピンが少なくなることはありません。
ドライバーのバックスピンを適正にするアッパーブロー
ドライバーで打ち出したボールが適正なバックスピン量になるには、フェースの斜度を少なくしてインパクトをしなければなりません。
ロフト角があるから、インパクトしたボールは斜めのフェースで擦られて、バックスピンがかかるわけです。
大げさに言えばロフト角が0度であったなら、バックスピンはかからずに飛び出すことになりますが、それでは打ち出し角が0度になって適正な放物線を描くことができません。
ドライバーだけ長いティーを使ってティーアップしているのは、このバックスピン量を抑えつつも適正な打ち出し角でインパクトをするためです。
素直にティーアップをして、アッパーブローでインパクトができれば、バックスピンの回転数は減らせます。
そのアッパーブローは、ティーアップしたボールよりも手前に向けてダウンスイングをします。
何もない芝に向けてヘッドを下ろしますが、地面スレスレでダウンスイングは終了し、今度はそのままフィニッシュに向かって上昇していきます。
このタイミングで下からボールを打つのがアッパーブローのスイングです。
ドライバーショットのバックスピンを究極の適正化に!
ドライバーはアッパーブローでスイングをするので、インパクトでフェース面は上を向いています。
このときヘッドの軌道は下から上に移動しているため、その角度とフェース面の角度が合致していれば、ロフト角0度でインパクトをしたのと同じことになります。
ただ浮力のために適正なバックスピン量は必要になるため、0度にする必要はありません。
ドライバーのロフト角はおよそ11度ですから、そこに3度のアッパーブローにすれば、バックスピン量は少なくなります。
ただし、もっとバックスピン量は少ないほうが飛ぶという考え方もあります。
ここでは2400回転を適正な回転数としていますが、1800回転のほうがさらに飛ぶというデータもあるようです。
そうすると、ロフト角11度では回転数を落とすのが難しいため、ロフト角を9度もしくは7.5度に変えて、その分だけアッパーブローの角度を大きくすべきかもしれません。
そうすればフェース面はさらに0度に近づき、インパクトでの摩擦も少なくなって、バックスピン量は「適正」になるはずです。
適正なバックスピンはドライバーのスイング強化へ進む
ドライバーのバックスピンが適正になれば、理想とする放物線が描かれて飛球することになります。
ここで問題なのは打ち出す角度です。
本来は物を投げたときの最大飛距離は、45度の打ち出し角が適正なだと先述しましたが、ゴルフボールはバックスピンがかかった状態で飛球するため、打ち出し角は45度よりもはるかに低く、その足りない分をバックスピンによる浮力によってカバーしていたわけです。
つまり3500回転よりも2400回転のほうが、吹け上がりを抑えることができて飛ぶと言われていますが、さらに1800回転にしてしまうと今度は浮力が足りなくなって失速してしまいます。
この問題を解消するには、放物線の理想の角度である45度に近づけなければならないわけです。
そうすると、さらにアッパーブローの角度を大きくするか、もしくはインパクトの衝撃を大きくして摩擦力を上げるかのどちらかです。
アッパーブローの角度を上げれば、またバックスピン量が減るため、実際の方法はヘッドスピードを伸ばすしかありません。
バックスピン量を適正にする目的を確認しよう
ここまでまとめたように、ドライバーのバックスピン量を適正にするためには、アッパーブローの角度を大きくし、ロフト角の小さなドライバーに変え、さらにヘッドスピードを速くしなければならいということになります。
アッパーブローのスイング軌道の改善や、ロフト角の小さなドライバーへの買い替えはすぐできるかもしれませんが、今よりもヘッドスピードを速くするのは結構難しいかもしれません。
バックスピンはある程度までならコントロールできますが、理想の回転数を追い求めると、300ヤードの飛距離を狙うのと同じくらいの努力が必要だということです。
そのため一般ゴルファーの場合には、回転数の多い4000回転以上にならないようにすることが先決です。
次にスタンダードの3500回転以内を目指し、さらに適正とされる2400回転に近づけることを目指して、アッパーブローの正しいスイング軌道を心がけるようにしましょう。
あとは努力目標としておいておき、あえて実現できるロフト角のドライバーに買い替える必要はないと思います。
今よりもバックスピン量を改善することだけで、十分に目的は果たしているはずです。
ドライバーのバックスピンを適正するためのスイングを習得
ドライバーの飛距離を伸ばすときには、適正なバックスピン量を意識して、アッパーブローのスイングを見直してみましょう。
フェース面を上に向けて打つイメージが持てれば、それだけでもバックスピンは減るはずです。
理想を追い求め過ぎず、正しい軌道でスイングすることだけを意識するのが大切かもしれません。