ドライバーは横振りスイングのほうが飛距離は伸びる!

皆さん、ドライバーのスイング軌道はどうなっていますか。

ドライバーは横振りしたほうが飛距離は伸びると言われています。

感覚的には高いトップの位置からダウンスイングする縦振りのほうが勢いづいて強いインパクトを与えられるように思えます。

そこでここからは、横振りと縦振りの歴史を遡って、横振りの飛距離が伸びた理由を紹介していきます。

ドライバーの飛距離を狙いすぎたことで横振りが生まれた?

ドライバーは飛距離を求める道具ですから、遠くに飛ばすことができるスイングは大歓迎のはずです。

一昔前は「逆C型」と呼ばれる縦振りのスイングフォームが流行っていました。

トップで高い位置にグリップを掲げるのは飛ばし屋の条件のようなもので、そこから下に向けてパワフルなダウンスイングをしたものです。

ネーミングとなった逆Cは、フィニッシュでの海老反りのポーズが由来で、お腹をターゲットに向けてせり出して、フィニッシュでもグリップを頭よりも高い位置で掲げていました。

それまでのスイングとはまったく違い、爆発的な飛距離と精悍なスイングスタイルが、多くのゴルファーの憧れとなったのは当然のことでした。

ところが無理な姿勢をとる逆Cのポーズは、腰痛の原因となりツアープロの多くが腰を痛めることとなります。

それもあってか、腰に負担のかからないシンプルな横振りのスイングが徐々に浸透していくことになります。

最初のころは腰への負担がかからないシンプルなゴルフ、クリーンなレベルブローのスイングでしたが、クラブの進化も相まってやがて横振りでも飛距離を狙えるようになります。

捻転スイングがドライバーの横振りの起源を

当時プロゴルファーはもちろんのことアマチュアゴルファーの多くが、縦振りの逆Cのスイングスタイルを模していました。

ところが故障者続出で、「ゴルフ=腰に悪いスポーツ」とまで言われるようになり、ゴルファーの中では見直しの機運が高まってきます。

元々ゴルフスイングは振り子のような縦振りで、ドライバーなど飛距離を狙うときには、左足をヒールアップした右足体重からのダウンスイングでしたが、現在のような飛距離狙いではなくピンポイントに攻めていくプレースタイルが主流でした。

そこからパワフルな逆Cのスイングスタイルが確立し、現在のような飛距離を狙うスタイルとなったわけですが、日本では樋口久子プロが前者の振り子タイプで、岡本綾子プロが後者の逆Cタイプでした。

同じ時代に活躍した2人のトッププロですが、岡本綾子プロは故障に陥り、腰に負担のかからないスイングスタイルへの変更を余儀なくされます。

いわゆる捻転するスイングを取り入れるのですが、このスタイルがやがて横振りのスイングとなっていきます。

ドライバーの飛距離で有名だった岡本プロが横振りにした理由

左肩をあごの下に入れる肩を回すテークバック、頭の高さを変えずにシンプルなダウンスイング、ターゲットに向けるフォロースルーなど、それまでのスイングとはまったく違うスタイルを作り上げたのが岡本綾子プロです。

時代とともにスイングスタイルは変わってきますが、ソフトボールの選手として培った下半身の強さを武器に、スタンスをしっかりとって回転軸を意識したスイングは、現在の渋野日向子プロに通じるものがあるかもしれません。

ただ岡本綾子プロのスイングは、当時のゴルファーにとっては難しすぎて、誰も真似ができないものだったのです。

形だけを真似ても、飛距離が出なかったり、方向性が安定しなかったり、そもそも正確なインパクトに苦労することになります。

横振りは勢い良くスイングすると、ドライバーのシャフトが縦にも横にもしなり、ヘッドコントロールが上手くいかなかったようです。

また右腰の使い方も、それまでにないスイングだったことから、スイングそのものを理解できなかったのかもしれません。

ドライバーを横振りすると曲がらないけれど飛距離が出ない

横振りのスイングで飛距離を確立したのは海外のプロゴルファーでした。

すでに世界で活躍しているトーナメントプロの多くが、横振りのスイングを取り入れていて、その代表格にはニック・ファルドがいました。

ニック・ファルドはまさにゴルフの天才で、高校生のときにテレビ中継で「帝王」と呼ばれたジャック・ニクラウスのプレーを観て、近所の人にクラブを借りて練習、3年後には全英アマのタイトルを獲ります。

190センチの高身長で逆Cスイングの代表格であるニクラウスに憧れた彼が、デビッド・レッドベターという指導者として有名なプロの元でスイング改造をします。

これが横振りで有名なボディーターンで、一気にスターダムへと上り詰めることになったわけです。

ところがニック・ファルドのプロ人生は意外にも短いものでした。

マスターズは前年優勝者がその年の全米アマチャンプと一緒にプレーをすることになっていました。

もちろん前年優勝はニック・ファルドでしたが、一緒に回ったのは信じられないドライバーショット打つ、あのタイガー・ウッズだったのです。

エルスがドライバーを横振りにして飛距離を伸ばした

タイガー・ウッズのスイングは縦振りを連想しますが、大学生のころはもう少しフラットな横振りのスイングでした。

世界最高峰のマスターズ優勝者であるニック・ファルドは、大学生アマであるタイガー・ウッズの圧倒的なドライバーの飛距離と、それに裏打ちされたタイガーチャージを目の当たりにしたことで、なんと予選落ちすることになります。

この結果を踏まえてニック・ファルドは、翌年トーナメントから離れることとなりました。

そしてタイガー・ウッズは縦振りのスイングへと傾倒していき、数々のタイトルを獲っていくことになります。

そのため世界はまたも縦振りの時代がやってくるかに思われたわけですが、ニック・ファルドの師匠であるデビッド・レッドベターは、飛距離の出るボディーターンが打てる新たな選手を輩出します。

アーニー・エルスの横振りのスイングを、当時は新ボディーターンと呼んでいましたが、体に負担がかからずに飛距離を伴うという画期的なスイングスタイルでした。

ドライバーの横振りで飛距離が伸びたのはタイガーのお陰?

タイガー・ウッズとアーニー・エルスの結果は、ご承知のようにタイガーがタイトルを総なめしています。

特に2002年のマスターズではタイガーが優勝、エルスは2位という結果です。

勝利数だけを見ると圧倒的にタイガーの縦振りが結果を残したわけですが、タイガーのゴルフは憧れるだけで誰もスイングを真似ることはできません。

一方でエルスのスイングは世界のゴルファーに浸透していき、たくさんの亜流ボディーターンが作られていくようになります。

それまでは背骨を回転軸としていたシンプルなボディーターンから、足を基点にしたボディーターンが生まれ、右腰を回してパワーを伝えるスイングが確立していきます。

時代としてはドライバーのヘッドがパーシモンからチタンに変わる時期で、ヘッドの能力を最大限に生かせる横振りのスイングはピッタリとはまっていたことになります。

またカーボンシャフトが飛躍的に進化したことで、軸を中心としたスイングの外周を回るヘッドの軌道が安定できたことも、飛距離アップのひとつの要因になったようです。

その結果、今ではゴルフを始めるときから、フックグリップの握り方を覚えるようになってきています。

スイング技術とドライバーの進化がかみ合ったことで、横振りの飛距離が伸びたといっても良いかもしれません。

今後もドライバーは横振りのほうが飛距離は伸びていく

現在のドライバーは、縦振りするよりも横振りしたほうが飛距離は伸びます。

当初は腰への負担を減らすための横振りのスイングでしたが、徐々に改良を加えたことと、道具の進化によって曲がらずに飛ばせるようになりました。

今担ぐようなトップで打っているゴルファーは、低い位置に収める横振りスイングを試してみてください。