アイアンのグリップを太めのタイプにするときの注意点

アイアンのグリップを太めにすると、方向が安定すると言われています。

一方、太いとスライスするとも言われています。

今回はグリップの太さによって、方向が安定するけれどスライスするという矛盾のような問題について考えます。

アイアンのグリップを太めのサイズにする理由とは?

アイアンのグリップを太めのサイズにしているゴルファーがいます。

グリップが太いと手の中で遊びがなくしっかり握れるため、強く打ち込むアイアンの場合には有利に働くことが期待できます。

アイアンショットの基本はクリーンなショットであり、芝の上にあるボールだけを払い打ちして、芝を削らないレベルブローでスイングをします。

ただ、ボールがディボットにハマっていたり、ラフの長い芝に沈んでいたりすれば、払い打つことができません。

その場合は、芝に打ち込むようなダウンブローのスイングが求められます。

フェースはボールに当たったあと、ターフを削って草履のように残骸を残します。

このときヘッドが芝の抵抗に負けないように、グリップをしっかり握っておくことが重要です。

そのためには、太めのグリップのほうが力を入れて握ることができます。

打ち込むスイングにとっては、太めのグリップは都合が良いのですが、払い打ちのスイングだとスライスする可能性が高くなります。

太めのグリップにするときの3種類のサイズ

太めのグリップでアイアンショットをすると、スライスする可能性が高くなると言われます。

その理由は、自転車のギアを想像するとイメージしやすいかもしれません。

小さい(低い/遅い)ギアは回すのが容易ですが、大きい(高い/速い)ギアは重く回すのが大変です。

つまり太くて大きいグリップはヘッドを回転させるのに苦労するため、スライスしやすいのです。

ただしゴルファーの手のサイズによって、グリップが太いか細いかは違うものです。

そのため一概に外周何センチが太めなのか、細めなのかを決めることはできませんが、一般的なグリップのサイズは男女別で3種類あります。

男性用は「M」で表示され、女性用は「L」で表示されています。

サイズはグリップの内側の直径をインチの小数点を取った「58」「60」「62」で表しています。

男性の場合には一応M60が中間のサイズとなるわけですが、実際にはグリップを装着するときの粘着剤である両面テープの巻き方によっても変わってきます。

シャフトに両面テープをらせん巻きにして貼り、その上から縦貼りで重ねてグリップを装着すると、グリップの内径が太くなるため、グリップ全体が太めになります。

さらに両面テープを重ね貼りしていくと、62サイズでも完全に太くなっていると感じるはずです。

ただし、グリップをどこまでも太くすることはできません。

アイアンを太めのグリップにするなら目的を持つことが大切

アイアンのシャフトにグリップを装着するとき、両面テープを重ね貼りすると太くできます。

ただし両面テープを重ね貼りしすぎると、グリップの先端(挿入口)が裂けてしまうことがあるので注意が必要です。

特殊な巻き方の例として、最初にらせん巻きで両面テープを貼り、次にグリップの裏側だけを縦貼りで重ね貼りを繰り返すと、バックラインが浮き出たかのような感じがするようになります。

アイアンのグリップの場合は、ルール上は断面が円形でなければなりませんが、バックラインのように感じる程度であれば許容範囲として装着することができます。

それはわずかな感覚の違いではありますが、構えたときに方向性が合わせやすくなり打ちやすさを実感することができます。

このように部分的に太めにすることによって、相対的に太めのグリップと呼ばれることもあります。

バックラインのように目的がハッキリしているのであれば、一部太めのグリップには一定の効果はあるのは間違いありませんが、あとは手のサイズと握力によって個々のゴルファーが好みのタイプを選ぶことになります。

今のグリップが自分にとって太めなのかを判断する基準

今使っているアイアンのグリップが自分にとって太めの場合は、スライスを警戒しなければなりません。

先ほど説明しましたが、太めのグリップは回しにくくなるため、スライスボールが出やすくなると言われています。

一方で細めのグリップは、手首を使って簡単に回せるため飛距離アップのメリットがありますが、その分フックを警戒しなければなりません。

ピンポイントにボールを運びたいアインショットで、スライスは致命的なデメリットです。

それが分かっていても、多くのゴルファーが太めのグリップを好んでいるのは、方向の安定性があるからではないでしょうか。

スライスボールの危険性と方向の安定性という、相反する2つの要素がありますが、どちらも間違ってはいません。

グリップの太さによって、打ち方が変わることを指しているのです。

通常のスイングは左手首のコックを使うので、手首を動きやすくできる細めのグリップが扱いやすいはずです。

この場合はクリーンなショットを前提としたレベルブローのスイングのときです。

対して芝にヘッドを打ち込むダウンブローのスイングでは、手首を固めることができる太めのグリップのほうが打ちやすいのです。

アイアンを打ち込むとき太めのグリップは手首を固定しやすい

最下点の安定が求められるダウンブローのアイアンショットであれば、太めのグリップのほうが安心感は得られます。

正確なスイング軌道があれば手首を使うダウンブローに不安はありませんが、皆がプロ並みの安定したスイングができるわけではないので、太めのグリップをしっかり握り、手首の動きを使わずに鋭角的に振り下ろすのがシンプルです。

最下点とボールの接地部分が同じであればレベルブローのスイングになります。

そのボールを半個ほど右側でセットして、同じレベルブローのスイングをするだけで、ボールを斜め上からとらえることになり、ダウンブローのスイングの完成です。

このとき、わずかに「打ち込む」イメージがあれば、ボールよりも左側のターフが削れることになるでしょう。

それと違い、実際のダウンブローの多くは縦振りの傾向が強く、左手甲をボールにぶつけていくようなスイングになります。

もし普段のスイングイメージが上記のようなダウンブロー気味であれば、なおさら太めのグリップのほうが打ちやすいと感じるはずです。

操作できる範囲で太めのグリップを選ぶ

アイアンに限らずグリップのサイズが太めであれば、手首の動きは抑制されノーコックに近いスイングになります。

構えたときの手首の形を変えずにスイングしスクエアフェースが保たれるので、曲がりが少なくなると考えてもおかしくありません。

確かにパッティングやショートアプローチのように正確なストロークやショットが要求される場合は、プロでもノーコックで振ることが多く、手首を使わないスイングは方向性が確保できるでしょう。

ただし大きなスイングアークの場合には、手首の動きがあるからこそアジャストできるとも考えられています。

インパクトのときに、コピー用紙1枚の厚さの違いでボールのスピン量が変わるアイアンショットでは、手首を使ったほうが自動調節をしてくれます。

コース内は前後左右の傾きがあり、練習場のようにフラットな場所はないはずです。

それを0.1ミリの狂いもなくアジャストするには、脳から指示を出す動きよりも、体に任せたほうが良い結果が得られるはずです。

そのため手首の動きを邪魔しない範囲で、しっかり握れる太めのグリップを選ぶのがベストではないでしょうか。

アイアンのグリップを太めにすることの意味を知る

アイアンのグリップを太めにすると方向が安定すると言われ好まれていますが、一方ではスライスの危険もあると言われています。

この相反する結果はスイング方法が変わるからであり、どちらも正しいと考えられます。

ただしコックを使うスイングが基本になりますから、太めのグリップを選ぶ場合は手首が動かせる範囲のサイズにしましょう。