アイアンに鉛を貼るならシャフトにカウンターバランスが必要

アイアンショットがスライスやフックする場合、ヘッドに鉛を貼って抑えるという手段があります。

ただしヘッド側だけが重くなるのは振りにくさにも繋がるため、カウンターバランスでシャフトにも鉛をつけなくてはいけない場合があります。

今回はアイアンに鉛を貼るときの注意点と効果についてまとめます。

アイアンヘッドに鉛を貼ったらシャフトにも鉛をつけて!

アイアンのバランスが合っていないときは、ヘッドに鉛板を貼って調整をします。

ヘッドに鉛を貼ってバランスをとろうとするとき、インパクトでボールをつかまえてジャストミートをするためか、スライスやフックなど球筋を抑えて自分の意思でボールを打ち出したいと考えているはずです。

ヘッドを重くすると、スイングの最下点でヘッドが返るように感じられ、インパクトの瞬間を長くとることができるようになります。

これは「ヘッドが効く」状態で、そう感じられると思いっきりスイングをしても、フェースが開いてスライスしたりプッシュアウトしたりすることがなくなるので、安心して振り切れるようになります。

一方でヘッドの効きが良すぎると、フェース面にボールがくっついたように感じられて、インパクトで引っ張りすぎて左側に引っ掛ける場合もあります。

ヘッドが返りすぎてしまい、フェース面が左側を向いてインパクトを迎えてしまったからです。

このようなケースでは、シャフトに鉛テープを巻くことでバランスを整えて対処するのが一般的です。

アイアンのバランスを保つためにシャフトに鉛テープを貼る

アイアンの軌道を安定させるために、ヘッドに鉛を貼ったことでバランスが崩れたのであれば、シャフトに鉛テープを貼りましょう。

ヘッドが重いと感じたときは、グリップ側に鉛テープを貼れば、バランスが復活します。

ただし貼りすぎると、ヘッドに鉛を貼る前と同じバランスになってしまうため、ヘッドの重さが残る範囲で鉛テープを巻きます。

ヘッドを重くしたことでヘッドが効きすぎるのであれば、鉛を剥がせば良いという考え方もありますが、鉛を貼るのはヘッドの効きばかりが目的ではありません。

アイアンショットでスライスが出るときは、シャフトの下部(ヒール)側に鉛を貼ると改善しますし、フックするときはヘッドの先端(トゥ)側に鉛を貼るだけで修正できます。

曲がりを抑えるために貼った鉛を剥がすと、その効果もなくなってしまうため、それを残すためにはシャフトに鉛テープを巻くカウンターバランスが必要になるのです。

一応は天秤ばかりのようにアイアンを吊るして、バランスを測る方法もありますが、元々感覚によるものですから、貼っては打つの繰り返しで確認したほうが良いでしょう。

シャフトに鉛テープを貼るときは感覚で決める

アイアンのシャフトに鉛テープを貼るときは、貼りながら自分の感覚にあったバランスに調整するのが良い方法です。

シャフトに鉛テープを貼ることにはルールによる規制があるため、「少しだけ多め」「少しだけ減らす」という微調整が難しく、感覚に頼るほうが簡単に合わせることができます。

ルールの上ではシールなども含めて、シャフトの性能に影響を与えるものを貼ってはいけないことになっています。

ただしメーカーが出荷時に貼っている製品表示や鉛テープを貼ることは特例として認められています。

したがって自分のクラブと分かるようにと、シールのようなものをシャフトに貼ると、ルールに抵触する恐れがあるので注意が必要です。

まずはルール違反にならないように貼ることが大原則になるので、その貼り方について確認しておきましょう。

シャフトの断面図が円筒になっていないとルール違反になるため、鉛テープの両端が重なったり隙間が開いたりしてはいけません。

鉛テープを巻くときの注意点

鉛テープを貼るときは、クルっと1周巻いて、両端をピッタリ合わせることが大切です。

その鉛テープの幅を変えることで、重さを変えることができます。

数ミリ幅を短くすればそれだけ軽くなりますし、2枚の鉛テープを2/3の幅でカットして並列に貼れば、少しだけ重くできます。

ただこの調整方法だと、貼ってから合わなければ、貼った鉛テープを剥がして、新たにサイズの違う鉛テープを貼り替えるしかありません。

すると1本のアイアンのバランスをピッタリ合わせるには、数枚の鉛テープが必要になり、労力的に考えてもアイアンセットのすべての番手を合わせるのは大変な作業になります。

そこで微調整はヘッド側の鉛板の増減で対応すべきです。

ヘッドの効きが悪いと感じるようなら、その分をヘッドのバックフェースの下部に貼ります。

スライスやフック対策のためのバランス調整でも、バックフェースの下部に貼ると、ボールが上がるようになりますし、直進性も増してくるはずです。

アイアンのヘッドとシャフトが鉛だらけではダメ?

ヘッドに鉛を貼るとそれなりの効果はありますが、いくら効果があるとしても限度はあるものです。

同じことはシャフトに巻く鉛テープにも言えて、たくさん巻くのであれば、最初から違うバランスのものを使うべきです。

ヘッドにつける鉛板やシャフトに巻く鉛テープは微調整に使うものであって、クラブ全体を変えるくらいの修正が必要であれば、新しいアイアンを購入したほうが間違いなく安心できます。

ただし、ヘッドのフィーリングが合っている、ライ角がしっくりくる、構えたときに安心感があるので変えたくないということがあるかもしれません。

その場合にはシャフトの中に挿し込む鉛棒を使います。

シャフトの先端につけるタイプと、グリップエンド側に挿し込むタイプがあります。

鉛板は2.5グラム程度ですが、鉛棒は2グラムから10グラムくらいまで、いくつかの種類があります。

これをシャフトの内部に入れてから、0.3グラムから0.5グラム単位で調整すると「ピッタリ」のバランスを得られるはずです。

ヘッドやシャフトに鉛を貼っても無駄になる?

アイアンに鉛を貼るときの効果は、ドライバーのように目に見えて変わるというよりも、安心感や信頼感が得られるような感覚的なものが大きいようです。

極端なスライスやフック、また打ち出すボールを上げたいと思って、鉛板を貼ったとしてもそれほどの効果はないかもしれません。

もしも、マッスルバックのようなプロモデルタイプのアイアンを使っているのであれば、ゴルファーの意思がダイレクトに反映され、鉛板の効果も敏感に反応するかもしれません。

しかしながら一般ゴルファーの多くはキャビティタイプのアイアンを使用していますので、鉛板の効果よりもアイアンの性能のほうが上回っていることが多いようです。

もちろんキャビティタイプでも、鉛をヒール側に貼ればフェースの開きを抑える効果は得られますが、元々フェースが開くのなら、それを防いでくれるアイアンがすでに作られているため、そちらを使うべきでしょう。

そう考えるとアイアンのバランスが自分にとって合っているのかが鉛を使う目的になるはずです。

ヘッドを重くしたりシャフトを重くしたりして自分好みのバランスを作ることが安心感や信頼感に繋がるのであれば、過度にならない程度にヘッドとシャフトに鉛を貼って安心できるアイアンに仕上げるのは良いことだと考えられます。

アイアンヘッドに鉛を貼ったらシャフトにもカウンターが必要

スライスやフックを抑えるためにアイアンのヘッドに鉛を貼るだけでは、ヘッド側だけが重くなってしまうので、カウンターバランスでシャフトにも鉛を貼ったほうが良いでしょう。

ただし、現行のアイアンは鉛の効果を吸収するほど元々の性能が高くなっているため、振りやすさや安心感を求める程度で、ヘッドやシャフトに鉛をつけたほうが良いかもしれません。