アイアンとドライバーのスイングはまったく違うもの!

アイアンショットとドライバーのティーショットは、体の使い方は同じようでも、同じスイングではありません。

ゴルフを始めたときにアイアンを使ってスイング練習をするのが普通ですが、ドライバーのスイングは根本的に違います。

今回は2つのスイングの違いと打ち方を紹介していきます。

アイアンでスイング作りをしてもドライバーは上手くならない

アイアンのスイングとドライバーのスイングは根本的に違います。

ゴルフを始めたときは、7番アイアンを使ってスイング作りをするのが一般的ですが、そのスイングのままドライバーを打っても上手くはなりません。

なぜならアイアンのスイングはボールを「払い打つ」のが基本だからです。

練習場の人工芝の上をアイアンのソールが擦って「シュッ」と音を立てるのが、払い打つレベルブローのスイングです。

このレベルブローがスイング作りになる理由は、シンプルにスイングの最下点がボールの真下になるためです。

トップから徐々に下りてきたアイアンのヘッドは、ボールに当たると同時にスイングの最下点に入り、インパクト後には浮かび上がってフォロースルーをとります。

つまりアドレスで離れたソールはインパクトの一瞬しか接地しないということになります。

接地が早すぎれば手前に打ち込んでダフリになりますし、遅すぎればボールの頭を打ってトップします。

ちょうど良くスイングの最下点がボールの真下になるように練習することで、スイング軌道を安定させることができます。

アイアンのスイングがドライバーのスイングと違う理由

7番アイアンを練習することでスイング軌道が安定したら、徐々に使えるアイアンを増やしていけるように番手を変えて練習を繰り返すことになります。

一般的にアイアンは1番手違うと、シャフトの長さが半インチ違うため、次の練習クラブを6番アイアンにすると、難易度は高くなります。

そうしたステップを経て、ある程度の長さ、例えば5番アイアンが打てるようになったら、フェアウェイウッドで同じレベルブローの練習をします。

アイアンと比べると一気に長くなりますし、重量は軽く感じますが、スイング自体は変わりません。

すべてのアイアンとフェアウェイウッドが打てるようになったら、いよいよドライバーを練習します。

ドライバーのスイングはレベルブローではなく、アッパーブローでスイングをしなければなりません。

アッパーブローはボールを下から打ち上げるスイングのため、レベルブローとは全く違うものです。

唯一同じ部分は、スイングの最下点があるということです。

アイアンと全く違うドライバーの独特なスイング

ドライバー独特のアッパーブローのスイングを確認しましょう。

まず高くティーアップしたボールを打つのは、ドライバーのみだということを確認しましょう。

アイアンのような他のクラブでティーアップするときは、スイングの最下点に影響を及ぼさないように限りなく低いティーアップにしなければなりません。

しかしながらドライバーはボールよりも手前にスイングの最下点を定めて、ボールの置いていない最下点を空振りした状態で、ヘッドが浮いたときにティーアップしたボールを下からインパクトします。

これがアッパーブローのスイングなのですが、それまでの練習では最下点がスイングのスピードのマックスで、その後は方向性を重視するためのフォームとしてフォロースルーやフィニッシュの形を作っていたことでしょう。

ところがドライバーはスイングの最下点よりも、そのあとのヘッドが浮かび上がるときのほうが速くなければなりません。

考え方にもよりますが、最下点以降に加速するスイングをしないと、ドライバーの飛距離は伸びないということになります。

目的が違うからアイアンとドライバーのスイングも違う

そもそもアイアンの役割はターゲットを決めて、そこに向けてピンポイント(点)にボールを運ぶものです。

一方ドライバーの役割はゾーン(帯)を決めて、できるだけ距離を伸ばすためのスイングをするものです。

アイアンは「ミスが許されず」、ドライバーは「リスクを恐れず」と両極にあるものですから、当然スイング方法に違いはあります。

その1つの例がスタンスの幅です。

ゴルフのスタンスは肩幅を基本としていますが、正確な距離が欲しいときのアイアンはスタンスを狭めるナロースタンスをとります。

スタンスが狭いほど回転軸である背骨が移動しないため、コマが回るように軸と外周が等距離を保ちやすく、正確なインパクトが期待できます。

一方ドライバーショットは、距離を重視するため肩幅よりも広いワイドスタンスをとります。

スタンスを広げると、「下半身が安定してスイングがぶれない」というのは正解ではないかもしれません。

スタンスを広げることで回転軸がスタンス間で移動し、それが体重移動となって飛距離に影響を与えることになるからです。

体重移動がアイアンとドライバーのスイングの決定的な違い

ワイドスタンスをとるドライバーは、テークバックで右股関節の上に重心を乗せ、ダウンスイングで一気に左股関節の上に移動します。

この重心とは背骨の位置のことで、その背骨は円のスイングをするときの回転軸になるものです。

そのスイングは、ドライバーヘッドが丸い円を描きながら、体は左側にスライドしていきます。

2つのパワーが一致するところがちょうどインパクトであれば、下から浮き上がるヘッドは加速されているはずです。

ちなみに、この横へのスライドはスタンスの内側だけで行われていて、外側に出るとスウェーしていると言われますし、右の壁や左の壁がないと言われることもあります。

対してアイアンは飛距離を求める必要がないため、わざわざ体をスライドさせてインパクトの難易度を上げる必要はありません。

コンパクトなスイングで確実にミートすること、また残り距離によっては5ヤード短く打つ、ハーフスイングで打つといった目的に合ったショットが求められます。

ドライバーとアイアンのスイングの違いと同じ目的について

説明したようにアイアンとドライバーは目的が違うわけですから、スイングの考え方も打ち方も違います。

一方目的に合ったスイングをするためには、正確なスイングが求められているのは、どちらも同じことですから、回転軸を重視したスイングスタイルは同じ部分でもあります。

なお使用回数を引き合いにして、ドライバーは最大で14回、アイアンは22回使って、パターが36回ならパープレーの72打になるという考えがあるようですが、その考え方は間違っています。

どの1打も重要な1打です。

ドライバーがトラブルショットを引き起こすからこそ、アイアンショットの難易度は高くなりますし、逆にフェアウェイからのアプローチでも外すことは良くあることです。

全体的にスイングの最下点が安定し、ドライバーとアイアンの調和が取れた攻め方をしながらであれば、1つ1つの道具の目的は違っていたとしても、最終目標であるカップインに繋がっていくはずです。

スイング軌道が違うアイアンとドライバー

7番アイアンでスイング作りをしても、同じスイング軌道でドライバーを扱うと、いつまで経っても上手くなれません。

アイアンはレベルブローのスイング、ドライバーはアッパーブローのスイング、それぞれに違うものとして習得し、結果として同じ目的のために良い結果に繋がっていくような考え方を持つことが大切です。