アイアンのシャフト交換を自宅でDIYしようとするとき、大事なことは必要な工具を揃えることと、作業前に手順をマスターしておくことです。
シャフト交換に必要な工具と作業の手順、そして少しだけ知っておくとスムーズに作業ができるコツを紹介しますので、チャレンジしようと考えている方は参考にしてください。
アイアンのシャフト交換をDIYすれば安上がり?
アイアンのシャフト交換を工房に依頼すると、それなりの工賃がかかることから、シャフトやグリップの購入費用を含めると一大決心が必要です。
しかしそんな大袈裟な覚悟を持たなくても、自宅でDIY(自作)すれば工賃はかからず、しかもネットショップで掘り出し物のシャフトを購入できるかもしれません。
アイアン用の安いシャフトが見つかって手に入ったときには、ぜひDIYに挑戦してみましょう。
まず簡単な工程を説明し、作業に必要な道具や部品(シャフトなど)とともに、詳しい作業手順を紹介していきます。
まず簡単な工程ですが、ヘッドから既存のシャフトを外して、新しいシャフトを接着します。
その上で新しいグリップを装着して、フェースの向きを合わせて完成です。
必要となる工具は、シャフトを抜くときに使用する「ヒートガン」、シャフトを接着するための「接着剤」、グリップを接着するための両面テープ、それとグリップ接着剤を溶かすための「溶剤」です。
あとカッターや雑巾など自宅にありそうなものは後述します。
DIYでアイアンのシャフト交換に必要なヒートガンの使い方
DIYでアイアンのシャフト交換をすると、室内には溶剤の臭いが充満します。
しかも作業をしているときだけではなく、完全に乾燥するまで異臭が漂うため、居間のようなところでははなく、ベランダや庭先、もしくはガレージなどで作業をすることをおすすめします。
それでは既存のシャフトを外すところから始めましょう。
まず接続部分についているプラスチック製のカバーであるソケット(フェルール)を、カッターで切断して外します。
硬くて切れないようならヒートガンで軽く熱して、軟らかくしてからカッターの刃を当てましょう。
ソケットが外れるとシャフトの先端が入っている部分は分かりますので、油性ペンでぐるっと色を塗っておいてください。
抜いたあとに先端からそのラインまで測ると、接着に必要な深さが判断できます。
その後その周辺を熱します。
このときヒートガンの熱量は最低でも1000W、可能であれば1500Wのものを使うと、1分程でエポキシ系の接着剤が壊れるので、ヘッドをひねってシャフトを外すことができます。
1回の熱で外れないことがありますので、急がずに何度か繰り返すつもりで火傷に注意して外すようにしてください。
熱する向きによってはヘッドが熱くなって触れないほどになりますから、雑巾を濡らしておくと良いでしょう。
シャフト交換前半最大のヤマはアイアンヘッドから抜く
DIYでアイアンのシャフト交換をするとき、前半最大のヤマがシャフトの「抜き」作業だと言えます。
あせらずに丁寧に熱してからヘッドをひねって外すと、そのあとの作業が簡単になります。
ヘッドの中には接着剤の残りカスが残るため、細いマイナスドライバーでコシコシと側面から剥がして取り除き、そのあと脱脂綿やキッチンペーパーなどに溶剤をつけて割り箸の先でグルグルしましょう。
これでヘッド抜きは終了です。
続いて新しいシャフト装着に入りたいところですが、シャフト交換には新しいグリップが必要です。
シャフトと合わせて新規購入すれば楽ですが、既存のグリップがまだまだ元気であれば再利用してみましょう。
ただ装着されているグリップが2年以上経過して劣化しているようなら、新しいものにしたほうが良いです。
用意するものは先端の細いスポイトと溶剤です。
ちなみに溶剤とは、揮発油や灯油、ホワイトガソリン(オイルライターの油)が使えるので、自宅にあるもので十分です。
スポイトの先をグリップラバーの先端をめくって差し込み、少しずつ溶剤を入れていきます。
シャフトとグリップラバーの間に溶剤を入れたら、別の角度からも同じように入れて、グリップラバーを揉んでいくと接着している部分が外れてくる音が聞こえてくるはずです。
グニュグニュと全体を揉んでから引っ張ると、グリップは外れます。
アイアンのシャフト交換するときは溶剤を上手く使う
アイアンのシャフトから外したグリップの内部は、溶剤で綺麗にしておきましょう。
新品とは違い、中にテープの粘着カスが残っていることがあるからです。
そのまま残して装着するとグリップがデコボコになって使い物になりません。
ここまでの工程でヘッド、シャフト、グリップの3つに分割されましたので、あとはすべて接着するとDIYのシャフト交換は完了します。
抜いたシャフトの差し込み量を参考に、先端から新しいソケットを同量差し込んで、シャフトの先端とヘッドの内部に2液タイプのエポキシ接着剤をつけます。
しっかり奥まで入れたら、ソケット部分からはみ出た接着剤をきれいに拭き取って一旦終了です。
2液タイプの接着剤は2時間程度で乾燥しますが、安全を考えて半日は放置することをおすすめします。
それまでは移動厳禁でズレないように壁や作業台に立てかけておきましょう。
放置している間に、受け皿(ボールやバケツ)を用意しておきます。
乾燥が終わったアイアンのグリップ部分に両面テープを貼っていきます。
簡単な方法は、グリップの先端側からグリップエンドに向けて縦に貼り、切らずに折り返して裏側も同じように貼ることです。
余程肉薄のグリップでない限り、段差は気になりません。
両面テープの保護紙を剥がしたら、グリップラバーの空気穴をウッドティーや指で栓をして、溶剤を入れたスポイトでグリップラバーの中に満遍なく溶剤がかかるようにします。
DIYを安全に終わらせるためにも火気厳禁
グリップラバーの中に入った溶剤をシャフトに貼った両面テープに回しかけると、ベタベタしていた両面テープの表面はニュルニュル状態になるため、ゆっくりグリップを挿入しましょう。
回しかける際はグリップの下に受け皿を置くことを忘れないでください。
ここで注意点があります。
揮発系の溶剤を使うため、周辺は火気厳禁です。
また作業に入る前にすべてを手に届くところに用意してスムーズに進めないと、溶剤が揮発してしまい、ドロドロに溶けた両面テープが乾き、グリップが途中で止まってしまう可能性があります。
時間との勝負になるので、1本ずつ確実に完成させていくことが大事です。
グリップの口から挿入したら、とりあえずグリップエンドまでしっかり入るように押し込んでください。
口側だけ滑らせていくと、グリップエンドが伸びて余ってしまうことがあるからです。
全部が入ったら、向きの微調整を行います。
グリップには、最頂部が分かるように印がついているものが多いため、シャフトの頂点と一致するようにしましょう。
完全に装着できたら、アイアンのフェース面を敷居の段差のようなところに当てて、フェース面とグリップの頂点が一致するように調整します。
これでDIYのシャフト交換は完了ですが、完全乾燥まで2日間は触らないで壁に立てかけておくことをおすすめします。
DIYでアイアンのシャフト交換をしたら乾燥場所を確保
DIYでアイアンのシャフト交換をスムーズに行うためには、溶剤がこぼれても良い場所を選ぶことです。
居間のフローリングの上にこぼしてしまうと、床材が変色してしまう可能性が高いですし、ニスなどの塗料もはげてしまうかもしれません。
また電源がないと不便ですから、必要な場合は延長コードも用意しておくようにしましょう。
雑巾やキッチンペーパーはたくさんあったほうが便利です。
特に溶剤がついた布や手でグリップの表面を擦ってしまうと、シャフト交換が終わってからも、グローブや手に溶けたゴムの色がつく場合があります。
シャフト交換におけるグリップ装着は、後半のポイントになる部分です。
失敗しそうなときは無理をせず、両面テープの貼り替えからリセットして、丁寧な作業を心がけましょう。
グリップの溶剤の揮発が室内は難しいため、直射日光が当たらないところであれば、乾燥は屋外でも問題はありません。
なお最後に大事なことをお伝えします。
シャフト交換は自己責任で行うことになりますが、使用中にヘッドが外れて事故が起きた場合は、「改造したクラブ」であることから間違いなく保険対象外に当てはまることを納得してから、使用するようにしてください。
アイアンのシャフト交換をDIYするときは工具が大事
アイアンのシャフト交換をDIYするときは、必要な工具を準備しなければなりません。
その上で手順を覚えて確実に装着することが、安全面からも大切なことです。
またグリップ装着は失敗したときのことを考えて、再利用手順を覚えておくと良いでしょう。