アイアンよりも簡単と言われるユーティリティですが、打ち方が難しいと感じる人もいるようです。
そこでアイアンの打ち方とユーティリティの打ち方の違いをまとめます。
またユーティリティにある2つのタイプについても説明します。
アイアンのようにユーティリティを扱える打ち方とは?
苦手なアイアンの代わりになると言われている便利なユーティリティですが、実際に使ってみると想像しているより難しいと感じることがあります。
その最たる理由は、アイアンよりもシャフトが長いため、上手くミートができないということのようです。
シャフトが長いと感じたとき、それをカバーする打ち方は、グリップを短く握ることがセオリーとなっています。
多くのゴルファーは短く握ることに対して抵抗を感じるようですが、目的はミスショットを防ぐことですから、気にする必要はありません。
メーカーによって違いはありますが、一般的にはユーティリティ5番と4番アイアンが同じようなロフト角です。
しかしシャフトの長さは、ユーティリティが39.5インチ程度なのに対して、アイアンは38.25インチです。
これを同じシャフトの長さにするためには、グリップエンドから親指の太さ1~2本分を空けるだけです。
これで長さについて違和感はなくなるはずですし、さらにユーティリティの重心近くを握れるようになったことからヘッドの振り抜けも良くなり、より強いインパクトができるようになるはずです。
アイアンの打ち方でユーティリティを扱うには「指1本」
ユーティリティが打ちにくいときは、先ほど説明したようにアイアンと同じ長さになるようにするべきです。
ユーティリティとアイアンをロフト角で合わせて、シャフトの長さを比べると、およそ1~2インチの違いがあります。
1インチはおよそ2.5センチですから、親指の太さでみると1本分になります。
正確に長さを合わせる必要はないでしょうから、グリップエンドに右手の親指を置いてから、そこに並べて左手を握れば簡単に対応できるでしょう。
その長さに対する違和感がなくなってきたら、徐々にグリップエンドの間隔を詰めていくだけで、やがてユーティリティが本来持っている距離でショットができるようになります。
まずは確実にミートができることが大事で、次に距離を狙っていくようにすると、実践では使いやすい道具になるはずです。
ちなみに1インチ短く握る打ち方によって、飛距離はおよそ5ヤードの短くなる計算にはなっていますが、ユーティリティはアイアンよりもランが出やすいため、1インチ短く握ってもボールの位置はアイアンの先まで届くことでしょう。
ユーティリティの打ち方はアイアンのように鋭角的ではダメ?
ユーティリティを短く握る打ち方をしても、インパクトで違和感があるようなら、アイアンの打ち方をしているのかもしれません。
ユーティリティのヘッドの形を確認すれば一目瞭然ですが、ユーティリティはフェアウェイウッドと同じ打ち方が必要です。
アイアンのように、ヘッドを鋭角的に振り下ろす打ち方は向いていません。
ましてターフを削り取るダウンブローのスイングは、ユーティリティの良さを半減させてしまうので注意が必要です。
ゴルフスイングの軌道は大きく分けて3つあります。
ドライバーのティーショットで使うアッパーブロー、フェアウェイでクリーンなショットをするレベルブロー、ラフやディボットの中に打ち込むダウンブローの3つです。
このうちアイアンショットで使うのはレベルブローとダウンブローの2つですが、日ごろから強く打ち込むダウンブローのスイングをしていると、他のクラブでもスイング軌道が鋭角的になりがちです。
この鋭角的なダウンスイングのインパクトは、ユーティリティにとってマイナスに作用します。
アイアンの打ち方とユーティリティの打ち方の決定的な違い
日ごろから鋭角なスイング軌道でアイアンショットをしていると、スイングアークがアップライトになってきます。
アップライトなスイングとは、いわゆる縦振りの打ち方になることです。
トップの位置を高く掲げて、ダウンスイングでグリップは体の近くを通過し、上からボールを潰すようにヘッドを打ち込みます。
そのためには、ボールの位置を中央よりも右側に置くことになるわけですが、これによってスイングの最下点が右側に動いたことになります。
常にインパクトの位置が右寄りになっていて、しかも縦振りのスイング軌道になっていることから、フェース面は下を向いて低い打ち出し角となることが予想できます。
アイアンの場合には低く打ち出しても、強いバックスピンによる浮力で撃ち落とされることはありませんが、ユーティリティはアイアンほどのバックスピンはかからないため、打ち出し角が足りずに想定した飛距離を出すことができない可能性があります。
ユーティリティはアイアンが進化したわけではないため打ち方が違う
ユーティリティには、アイアンの改良型とフェアウェイウッドの改良型の2種類があります。
日本国内では、アイアンの改良型をハイブリッドアイアンと呼び、ソール幅の広いアイアンと認識していることが多いようです。
それっが世界市場で見ると、そのハイブリッドがスタンダードであり、フェアウェイウッド型のユーティリティのニーズは少ないようです。
ラフからでもレベルブローの打ち方でアイアンショットができるのがハイブリッド型ユーティリティの良いところですが、フェアウェイウッド型ユーティリティは苦手とするロングアイアンをカバーするクラブとして生まれたことに違いがあるようです。
この2つのユーティリティは、そもそものコンセプトが違うため、目的とするものも違ってきます。
ハイブリッドは既存のアイアンに広いソール幅を「掛け合わせたもの」ですし、ユーティリティは難しいと感じるクラブやライで「役に立つもの」という意味ですから、打ち方が違うのは当然のことなのかもしれません。
打ち方をアイアンからユーティリティに変えることが大事
日本人の多くは欧米人に比べるとパワーが不足しているため、ラフからのアイアンショットで芝の抵抗に負けてしまう傾向があります。
さらにフェアウェイでは3番アイアンを使っても5番アイアンと飛距離が変わらないような結果になることが多いようです。
そこで確実にボールをとらえることができて、想定した飛距離を狙えるクラブとして「タラコ」が作られ、やがてユーティリティとなっていきます。
ユーティリティには打ちやすさを求める部分もありますが、根本は飛距離を確保するための道具です。
払い打つレベルブローの打ち方によって飛距離は確保できます。
力を入れずにコンパクトなスイングでミートすれば、あとはクラブの性能で確実な距離と方向を出すことができるわけです。
フェアウェイはもちろんのこと、ラフからでも同じような打ち方で使えるところに、ユーティリティの簡単さがあるわけです。
ただし、アイアンのようにダウンブロー気味にヘッドを打ち込むと、ヘッドスピードが落ちてインパクトは弱くなり、しかもスピン量が増して打ち出したボールは吹け上がる可能性があります。
ユーティリティは正しい打ち方をすることで、その良さを最大限に活かすことができるクラブなのです。
ユーティリティが難しいのはアイアンの打ち方が原因?
ユーティリティが上手く打てないとしたら、アイアンの打ち方をしてしまっているのかもしれません。
アイアンは上から打ち込むダウンブロースイングをするとしても、ユーティリティは横から払い打つレベルブローのスイングによってその特性を活かすことができます。
ユーティリティは正しい打ち方さえできれば、簡単なお助けクラブとして扱えるようになるでしょう。