シャフト選びではスチールとカーボンの材質による種類の違いや、フレックスやバランスなど性能による違いがポイントになってきます。
しかしながらアイアンのシャフトの場合には、「安心感」も大きな位置を占めているようです。
そのため今回は、そういったことも含めてアイアンのシャフト選びについて考えます。
アイアンのシャフトは硬さの種類を選ぶことが重要になる!
アイアンのシャフト選びは、最初のチェックポイントとして、フレックスに注目することが多いようです。
フレックスは、シャフトの「R」や「S」のような硬さを表したものです。
硬さにはいくつかの種類があり、その中から自分のスイングに合ったものを選ばなくてはいけません。
基本的なフレックスの区分は、L→A→R→S→Xと順に硬くなっていきます。
最近のフレックスは、さらに細分化されてRとSの間にSR、Xより硬いTSやXXなどをメーカー基準として盛り込んでいます。
こういったシャフトの硬さを間違った基準で選んでいることがあるようです。
「硬さ=パワー」と考えているゴルファーが多いようですが、それはパーシモンシャフトからスチールシャフトに移行した時代のことです。
当時は「折れないシャフト」が主眼にあったため、スイングスピードの速い上級者はこぞって硬いシャフトを求めたようです。
しかしながら時代は移行し、シャフトには飛距離アップや球筋の安定など、たくさんの役割が求められるようになっていき、それに合わせたスイングが作られていくことになりました。
アイアンのシャフトは硬めの種類を選ぶことが多い
たくさんの種類があるシャフトの中で、フレックスに注目するのはスイングによるシャフトのしなりと関係があるからです。
すでに時代が進んで技術進化のおかげで「折れ」についての心配はほとんどなくなり、いかに自分のスイングに合ったシャフトを選び出せるかに注目するようになります。
特に飛距離を狙うドライバーのシャフトについて、その役割は大きくなっているようです。
多くのゴルファーが実感しているように、飛距離を伸ばそうとするならスチールシャフトよりもカーボンシャフトのほうが有利です。
カーボン繊維の特色である「軽量」かつ復元力が、スイングスピードを速めて、さらにシャフトのしなりを利用してヘッドスピードも加速させることができるようになったからです。
一方アイアンショットでは飛距離アップを求める必要はないため、シャフトのしなりを利用するショットを求めるゴルファーは少ないようです。
そのためアイアンに装着されているカーボンシャフトは今も少なく、改良型のスチールシャフトの使用率が圧倒的に多くなっています。
硬い種類のアイアンシャフトにするのはしなり量が理由
アイアンショットで求められるのが「しなりのないシャフト」であれば、すべてXXシャフトにすれば良いはずです。
しかしながら実際には、XXシャフトが硬すぎると敬遠するゴルファーが大半のはずです。
そもそもシャフトのしなりは、体の大きさや筋力が影響するわけではありません。
確かに体力によってスイングスピードは速くなりますが、「シャフトの硬さ」はシャフトのしなりを戻すときの強さですから、しなりを戻す技術を表しているとも言えるわけです。
まずは「シャフトのしなりを戻す」ことについて、理解しなければなりません。
トップで切り返してダウンスイングを開始すると、グリップの先にあったヘッドが遅れてきます。
そのヘッドの遅れはインパクトの手前で戻さないと、フェース面が開いて打ち出すボールはスライスします。
そのため一般的にはコックをリリースすることで、遅れていたヘッドを元の位置に戻します。
しかしその動作によって軟らかいシャフトだと戻りすぎ、グリップよりヘッドが先行する結果となって、フェースが閉じてフックボールを打ち出すことになります。
つまりシャフトのしなり戻りが強くならないように、硬い種類のシャフトを選ぶことになるのだと考えられます。
アイアンのシャフトで硬い種類を選ぶ本当の理由とは?
ダウンスイングでコックをリリースすることによってシャフトのしなりを戻します。
そのしなり戻りのコツをつかむと、ゆったりしたリズムでスイングをしても、ヘッドスピードが速くなり飛距離を伸ばすことができます。
ただアイアンの場合には、ターゲットまでボールを運ぶことが主目的ですから、距離に合わせた番手を選べば良いだけなので、シャフトの硬さを重視することは少ないはずです。
それよりもシャフトのしなり戻りによってフェースの角度が変わり、方向性が安定しなくなることを嫌う傾向があります。
つまりシャフトのしなりや、しなり戻りの幅の少ない硬い種類のシャフトを選ぶ傾向が強くなるわけです。
結果的に、「アイアンのシャフトは硬いほうが良い」というゴルファーが多くなる要因はここにあるようです。
ところでアイアンのシャフトは、本当に硬いほうが良いのでしょうか。
すでに答えとして前述しているように、硬いXXシャフトが優れているとは思っていないはずです。
シャフトに適度な硬さが必要なのは、やはりしなりを利用してスイングをしているからなのです。
シャフトの種類が合わないとアイアンが鉛だらけになるかも?
たくさんの種類があるシャフトの中から選ぶときは、インパクトの前後でヘッドをコントロールできる「操作性」がポイントになります。
例えばSシャフトの3番アイアンとRシャフトの9番アイアンを比べると、シャフトが硬いのは9番アイアンのほうです。
同じシャフトの硬さでも、シャフトの長さが短くなるほどしなり幅が減るため硬さは増していきます。
ただシャフトが硬くなっていることが気にならないのは、9番アイアンのヘッドが重たいからです。
シャフト選びのもう1つのポイントはバランスです。
同じ総重量のアイアンでも、ヘッド側のバランスが強いと重く感じられます。
ヘッド側が重いアイアンは、「球のつかまりが良い」と言われていて強いミートができます。
ただし球のつかまりが良すぎると、インパクトでフェースが押し込むようになってフックします。
これはヘッド側が重いことでトップでシャフトがしなり、インパクトの直前のしなり戻りが強すぎてフェースが返っていることが原因です。
こうしたフックを防ぐためには、硬いシャフトに変更する方法と鉛を使ってバランスを修正する方法があります。
一般的にはお手軽な後者の鉛を使って修正しますが、元々ヘッドの効きは感覚的なものですから、気が付くとシャフトが鉛テープだらけになる可能性があるため、張り過ぎには注意が必要です。
たくさんの種類のアイアンから自分に合ったシャフトを選ぶ
たくさん種類があるシャフトの中からアイアンに合うシャフトを選ぼうとすると、硬くて重いタイプを選びがちになるのは、ここまでの内容で伝えました。
しかしドライバーのカーボンシャフトが進化しているように、アイアン用のシャフトも進化しています。
アイアンに使われているシャフトで多いのが、「N.S.PROシリーズ」と言われる軽量タイプのスチールシャフトです。
重量的にはカーボンシャフトに近づいていますし、光沢のあるメッキにスチールらしい安心感があることも人気の理由となっているのかもしれません。
本来はRシャフトで使い勝手が良くても、軽量スチールシャフトにすると、スイングスピードが速くなるため、シャフトを硬くしないと合わなくなることがあります。
もちろんアイアンの場合は、すべてのスイングがフルショットではないため、軽量化されたことでより繊細なタッチでボールをコントロールすることも期待できます。
固定概念で「私はRシャフト」と決めるのではなく、アイアンの種類によって硬さに違いがありますし、バランスや材質によってはSシャフトのほうが良い場合もあります。
自分のスイングに合ったシャフト選びをするには、なるべく多くの試打クラブで実際に打って感じて確認することが良いのです。
アイアンのシャフトの種類からお気に入りを探し出す方法
アイアンのシャフトを選ぶときには、カーボンやスチールといった材質よりも、フレックスやバランスを重視したいものです。
今の製造技術のおかげで、それぞれの素材のターゲットゾーンっが大きく重なってきているからです。
たくさんの種類の中から、自分のスイングに合ったアイアンを見つけることは意外に難しいものですが、試打の機会をどんどん利用すれば絞り込みは容易になるはずです。