ドライバーの重量は使われる素材開発に伴って軽量化したことで、飛距離は格段に伸びてきています。
ただ今日に至るまで、紆余曲折が合っての軽量化だったようです。
ユーザーのニーズと作り手と努力が一致するまでの軌跡を追っていきながら、軽量化したドライバーについてお話しします。
ドライバーの飛距離アップの要因は重量を軽量化したこと
ドライバーで飛距離アップを狙うのであれば、最新技術の結晶とも言える軽量化したクラブを使うことが重要です。
飛距離アップには、チタン製のヘッドにカーボンシャフトが鉄壁のセッティングです。
ヘッドの素材となっているチタンは、ロケットの先端に使われるほどの硬さを持ち合わせていますから、ヘッドを極薄の肉厚で作っても壊れることはありません。
ドライバーのフェース面は、厚さが3ミリ程度なのに、ボールを打っても割れないしヒビだって入りません。
いくら素材が重そうなイメージのある金属でも、極薄で内部は空洞ですから、昔の木製ヘッドよりはるかに重量は軽くなっています。
それにつけるのが、細くて軽い炭素繊維をよって1枚のシートにして、それを丸めて1本の筒状にしたカーボンシャフトです。
すでに釣竿で大活躍していたのですが、剛性や重量に変化を加えてゴルフのシャフトにも使えるようにしたのです。
このようにヘッドもシャフトも軽くなったことで、誰が使ってもスイングスピードが上がり、結果として速くなったヘッドスピードがボールに強いインパクトを与えて飛距離アップが実現したわけです。
重量が軽くなってドライバーの飛距離が伸びさらにもう1歩進む!
さらなる飛距離アップを狙うためにもう1歩進化させたのが、シャフトを長くすることです。
ドライバーが軽量化したことで、以前と同じようなバランスにすると、その分だけシャフトを長くすることができるようになります。
軸を中心に円のスイングをするので、シャフトが長くなると外周を回るヘッドのスピードがそれまで以上に速くなり、もっと強いインパクトができるようになります。
すでに大満足のはずですが、ドライバーを長いままにしてもっと軽くすれば、スイングスピードが速くなってさらなる飛距離アップに繋がると考えるようになります。
チタンとカーボンを使って軽量化されたドライバーは、さらに軽くなるようにブラッシュアップしていくことになります。
木製ヘッドにスチールシャフトの時代から見ると、50グラム以上の重量ダウンに成功していましたが、さらに20グラム程度の軽量化に成功して、ドライバーの総重量は300グラムを切るのは当たり前、290グラム以下もザラになりました。
さぞかし飛距離が出ると思っていたら、ゴルファーによって違う結果となります。
重量が軽くなって長くなったドライバーの飛距離が伸びない
ドライバーが軽量化したことで長尺ドライバーが登場し、さらに改良されて総重量が落ちたことで飛距離が伸びると考えたわけですが、実際には飛距離を伸ばせる人は一握りだけだったのです。
長いシャフトのドライバーを使いこなすだけのテクニックがないと、飛ばないばかりかフックやスライスで打ち出すボールは荒れて収拾が付かない状態になります。
軽くて長いドライバーをわざわざ短く握ってゆったりとしたリズムでスイングをしなければ、ボールがどこに行くのか分からないようになってしまったのです。
「1周回って元の位置に戻る」で、結果的にそれなりに重たいシャフトが見直されてきます。
ただ振り出しに戻って重たいスチールシャフトを使うわけではなく、「扱いやすさ」重視へと変わってきました。
ドライバーの重量が軽すぎて飛距離ダウンになる?
ドライバーの飛距離について専用の機械を使ってデータをとると、重量が軽くて長いシャフトが絶対的に有利なことが分かります。
ただ機械と違って人間がスイングすると、長いシャフトによってミート率が落ちてしまい、飛ばなくなるようです。
せっかく重量を軽くしたのに、それを活かすことができない時期が続きます。
ところがゴルフメーカーは、クラブの改良が重量や長さだけを行っていたわけではなく、フェース面のスプリング効果についても改良を重ねていました。
ヘッドを大きくすることでスプリング効果は増大し、トランポリンのように弾むフェースを作ったのです。
スイートスポットから多少ずれても、フェース面全体がボールを弾き飛ばしてくれるので、誰もが飛ぶようになります。
やがてコースの距離やバンカーの位置を改造しなければならなくなるほど飛距離は伸びてしまいます。
結果的にルールによって、フェースの反発力を抑える規制を設けることになります。
「より飛ばすクラブを!」と改良を重ねてきたことが新たなルールを生むことになったわけです。
ドライバーの飛距離が伸びる重量の軽さのデメリットを解消
ドライバーの改良を重ねてきた技術者は、究極の飛距離を求めて開発してきたであろうに、結果が良すぎたために飛距離アップを抑えるルールにガッカリしたことは想像がつきます。
そうして飛距離に対する規制が加えられても、万人に向けたドライバー作りは続けられます。
スイートエリアを広く取り、多少インパクトポイントがずれても、芯で打っているのと変わらない飛距離が実現します。
高反発ではなく広反発の時代へと変わります。
また長くて上手く当たらなかったシャフトを短くしても、同じだけのヘッドスピードが出るような粘りのあるシャフトを作り上げていきます。
さらにロフト角やライ角の変更や、重心位置を変えることで捕まりが良くなるタイプやスピンを減らすタイプを、自分で調整できる機能を備えたものまで生み出します。
ドライバーを自分好みに変えられるようになったことで、それまでの重量の軽さのデメリットは解消されて飛距離と方向の安定を得ることができるようになったのです。
重量はセッティング全体で揃えることが大事
ドライバーの重量の軽量化の波は一旦収束し、飛距離追及は別の視点で求められるようになったと説明しました。
軽量化の流れに合わせて生まれたシャフトの長さは、徐々に短くなっているようです。
世界のトッププロの中には、それまでの長めのシャフトをやめて、短尺ドライバーに切り替えた選手もいます。
相対的には軽量化されてはいますが、実際にどのくらいの重量が適正なのかは気になるところです。
自分で調整できるとは言え、重量フローでアイアンとギャップが生じるのは避けたいはずです。
つまりドライバーだけが突出して軽量化し、他のクラブの重量は変わらないのであれば、スイングリズムが崩れて調子が悪くなってしまう可能性が高いです。
確かにドライバーは飛距離を狙う道具ですから、それに合わせた重量の物が欲しいのは当たり前のことですが、同時にドライバーだけが良くてもゴルフのスコアは良くならないということです。
さらに重量配分であるバランスや、シャフトの剛性を示すフレックスなどとの兼ね合いも考えて、トータルで重量について考えていくことが重要です。
自分に合ったドライバーの重量が飛距離アップに繋がる
ドライバーの飛距離を伸ばすには、重量の軽いタイプを選ぶと一定の効果は鰓えます。
ただし軽すぎるとスイング軌道が安定しませんし、重すぎるとスイングスピードが落ちてしまいます。
自分の技量に合った重量であることはもちろんですが、すべてのクラブとの重量差を考えて揃えていくことがスイングの安定、さらにはスコアの安定にとって重要だと言えます。