シャフトを選ぶ際、フレックスばかり気にしていませんか。
フレックスはもちろん重要ですが、実は重量を間違えるとスイングに大きく影響してしまいます。
また、合わせてバランスも気にする必要があるものです。
一般男性の場合、D0~D2が標準と言われますが、本当にそれで良いのでしょうか。
クラブの重量はシャフトが鍵を握る
クラブを選ぶ際に大切になってくるのが総重量です。
クラブの重量が適切でないとスイングが緩む(軽すぎる場合)、ダフる(重すぎる場合)といったミスにつながります。
クラブの総重量は、ほぼクラブヘッド、シャフト、グリップの合計で決まります。
その中で、なぜシャフトが重量の鍵を握るのでしょうか。
なぜならクラブヘッドは、長さに対して基本的には重量が決まっています。
45インチで195グラム平均です。
ヘッドの重心バランスを変えるためについているウエイトを重いものに変えたりはできますが、数グラム単位です。
グリップも純正品だと45グラム程度と決まっています。
こうしたヘッドやグリップの重量変化はバランスに大きく影響するためあまり好ましくありません。
一方、シャフトは10グラム以上の単位で変更してもバランスへの影響が少ないため可能です。
つまり重量を考えるときにシャフトの重量を考えることが効率的なのです。
またシャフト次第ですが、敢えてバランスポイントを変えることができます。
例えば一般的にあるD2バランスのドライバーのシャフトを10グラム重くするとD3に変わったり、軽くするとD1に変わったりします。
そのような観点からも、シャフトの重量選びはとても大切であることが分かります。
シャフト重量を正しく選ぶためにはバランスの理解が必要
シャフトの重量はとても大切です。
正しいシャフト選びには、前提としてバランスを理解する必要があるということです。
はじめに理解したいのは、クラブから感じられる重量にはふたつあるということです。
①実際のクラブの総重量
②クラブをスイングしたときに感じる重量
まず①はすぐに理解できると思いますが、②が今回説明するバランスです。
バランスを理解するには野球のバットをイメージしてください。
片手でバットのグリップエンド側を持った場合とヘッド側を持った場合でどちらが軽く感じるでしょうか。
多くの人が、ヘッド側を持ったほうが軽く感じるはずです。
同じ重量のバットでも持ち方次第で感じ方が違う、これがバランスです。
ゴルフクラブにも同じことが言えます。
バランスは重心がどの位置にあるかによって変わります。
重心が手元に近いほど軽く感じ、遠いほど重く感じるということです。
一般的な男性用のアイアンだと、D2と呼ばれるバランスです。
アルファベットのA~E、数字の0~9を使ってバランスを表現しています。
アルファベット、数字とも増えるに連れてヘッド寄りに重心が移動するため重く感じます。
D2を基準に考えた場合、C9やD0は軽く、D3は重く感じるということです。
バランスがスイングに与える影響
バランスが異なるクラブの場合、一般的には『ヘッドの効き(ヘッドが走る)』が異なると言われています。
同じ重量でバランスがC9とD2のドライバーがあるとしましょう。
C9のドライバーは、手元が重心に近いため、持ち上げて手元を左右に動かすと手元の動きに対してヘッドもついてきやすいです。
対してD2のドライバーは、手元が重心から遠いため、手元の動きに対してヘッドが遅れてくるようになります。
つまり手元の動きとヘッドの動きにずれが生まれるわけです。
これがダウンスイングでタメ(ラグ)を作るひとつの要因です。
バランスが重いほうがシャフトもしなり、タメが作りやすいということです。
それでは、バランスが重いほうが良いと考えるかもしれませんが、そうではありません。
ずれが大きいということはインパクトまでにそのずれを戻す必要があるからです。
戻せる体の使い方(ヘッドが戻るまで体が開かない)、そしてパワーが必要になります。
ヘッドが効くからといって自分のスイングに合わないバランスにすると、スイングを崩す恐れがあるため注意してください。
次のようにバランスの目安を持つと良いでしょう。
重すぎる:振り遅れ
軽すぎる:フェースがかぶりすぎる
一般男性向けにD0~D2バランスが多いのはなぜか
一般男性向けのアイアンは、多くのクラブがD0~D2のバランスセッティングになっています。
もっとも多いのがD2のバランスです。
しかしながら、どうしてD0~D2が多いか説明しているものはありません。
これは過去の実績や統計から導き出された結果であると予想されます。
その他、考えられるポイントとしては、ヘッドスピードとの関係です。
バランスが重いものはパワーが無いと難しいと言われますが、実際はパワーがあってもヘッドスピードが無いと扱うことが難しくなります。
一般男性ですと、40m/s前後、少し速い人で45m/s程度です。
バランスが重いほど、手元とクラブヘッドにはずれが起こると説明しました。
つまりヘッドスピードが遅いと、手元がインパクトを迎えるタイミングになっても、ヘッドが戻らず振り遅れに繋がります。
そのため一般男性向けにはヘッドスピードとの兼ね合いで、D0~D2が良いとされているのでしょう。
シャフトの重量やグリップでバランスはD2から簡単に変わる
平均的なバランスはD0~D2とお伝えしました。
少しクラブに詳しくなってくると、シャフトを変えてみたり、グリップを変えてみたりするようになるでしょう。
しかし、何も考えずシャフトやグリップを変えるとバランスが変わる可能性があります。
バランスが変わるパターンについてまとめますので参考にしてみてください。
《シャフトを変更した場合》
・シャフトを重くした場合:5~10グラムの変化で1ポイント重くなります。
・シャフトを軽くした場合:5~10グラムの変化で1ポイント軽くなります。
《グリップを変更した場合》
・グリップを重くした場合:5グラム前後の変化で1ポイント軽くなります。
・グリップを重くした場合:5グラム前後の変化で1ポイント重くなります。
シャフトやグリップを変えた場合は、バランスを確認するようにすると良いでしょう。
アイアンがD2なら全てD2にバランスを揃えるのは正しい?
シャフトの選び方やバランスについて説明してきました。
興味を持った人は、バランスを揃えるというセオリーにたどりつくかもしれません。
このバランスを揃えるという考えは古くからあります。
その理由は、バランスがD2ならD2で同じであれば『振り心地が同じ』という考えからです。
確かにアイアンがバラバラのバランスであれば振りにくいはずです。
揃っていたほうが良いのは間違いありません。
しかし、ある一定のルールに沿っていれば、バランスが異なっても良いのです。
クラブはドライバーが最もシャフトが長く、番手が下がるにつれて短くなります。
先に話した、手元とクラブの距離も変わるので、バランスが変わってもおかしくありません。
《バランスを変える場合に守りたいこと》
・重量フローを守る
ウェッジが最も重く、ドライバーになるにつれて軽くなる重量フローを守りましょう。
重量間隔は均等でなくても、重量が逆転しないように注意してください。
バランスを軽くするならカウンターバランス
シャフトの重量選びやバランスについて興味を持ってみることは良いことです。
それが必ずスキルアップにつながります。
重すぎるものを軽くしたいというケースであれば、カウンターバランス用のウエイトを活用して調整にチャレンジしてみてください。
もしくはグリップ重量を5グラム程度重いものに交換するのも試したいところです。